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“早稲田”で警察から学生救出した外山候補 2007/04/04
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2005年12月20日、早稲田大学キャンパスでビラをまいていた男性が、建造物侵入容疑で逮捕・拘留されました。男性がまいていたビラは、01年に学生会館が移転する際、反対運動をしていた大学OBら3人を構内立ち入り禁止とした処分の撤回などを求める内容でした。男性は牛込署に9日間拘留されたのち、「事案が軽微」だとして釈放されました。
このビラまき逮捕などに抗議し、4月1日(日)午後6時30分より、パフスペース(東京都新宿区)で、早大サークル有志らの主催による、シンポジウム「地獄の早稲田にWELCOME!」が開催されました。発言者は、文芸批評家、劇作家、大学教員、映画監督の4名です。
学生会館移転反対運動で学内立ち入り禁止となった男性が、ビラまき逮捕の経緯について説明したあと、ビデオ上映がありました。当日は入学式だったので、法学部の学生が学校の近くで新入生などに、ビラまき逮捕などに対する抗議の訴えをしようとしていたそうです。学校当局に止められ、訴えはできなかったそうですが、ビデオはそのときの様子を撮影したものでした。
法学部の学生を早稲田大学の腕章をつけた男性数名が取り囲み、この場を立ち去るように説得している様子を伝える映像が流れたあと、男性数名が学生を抱えて強制的に横断歩道を渡り、警察官のいるところに運んで行く映像が流れました。
警察官が学生に対し、道路交通法違反であるとして戸山署に連れて行こうとしたとき、都知事候補の外山恒一さんが来て、学生らに腕章を渡し、「この学生らは外山恒一の選挙の応援演説をしているのであり、道路交通法違反にはあたらない」として、警察官に学生を解放するように求めました(選挙期間中、候補者は街頭演説をすることが許可されており、その応援をしている人が演説をすることも許可されている)。
警察官の前で大学の職員と見られる若い男性が、警察官の質問に無言を貫いている学生に対し、「学生として真摯な態度を見せなさいよ」とか、「法学部の学生らしく、男だったらちゃんと言えよ」とか、「目がおかしい。(警察に)警告されましたよ。わかった? ハイは? わかんない?」としきりに挑発している姿は、これが教育に携わる人の態度だろうかと疑問を感じないではいられませんでした。外山さんが来て、学生が解放されたとき、ビデオを見ていた人たちから拍手が起こりました。
外山さんは道行く人々に、「政府転覆の外山であります。ちょっとしたビラまきですぐ逮捕する。そういうことをやめてほしいということで急遽応援に駆けつけました。少数派の声を押しつぶすのはよくない。学生は学生運動をやるために大学に入るんでしょう。学生なんだから、学生運動をやらなければならない」とさすがに「政府転覆」を公約に掲げる人だけあって、学生に対しても学生運動をすることを呼びかけていました。
どうやら、外山さんはたまたまこの辺を通りかかり、事情を知って、急遽、学生らを助けるために駆けつけたもののようでした。外山さんの演説に対し、携帯でメールを打ちながら通り過ぎる若者や、ビラを読む人など、反応も様々です。外山さんが、大学当局者に対し、「ビラぐらい自由に学生にまかせてやってください」と言うと、関係者の人たちは苦りきった表情をしていました。
その外山さんの横で、学内立ち入り禁止になった男性が、学校関係者らを前に抗議の声をあげていました。学生を挑発していた男性が、「これが選挙応援なの?」と外山さんに聞いていました。その声が聞こえたのか、抗議の声を挙げていた男性が「ということで、都知事候補の外山さんと一緒に連携をとり、闘っていきたいと思います」とこれが選挙演説であることを強調した上で、最後に外山さんらと一緒に「新館規制は許さないぞー。文学部ビラまき逮捕許さないぞー。法学部転向教育は許さないぞー。都知事候補外山恒一と連帯して戦うぞー」と一際大きな声でシュプレヒコールをしていました。
ビデオ上映後、参加者4名によるシンポジウムが行われました。
元早大教員の文芸批評家の男性は、「ビラまき逮捕は一見些細に見えるが、これは大学だけでなく社会にも関わる大きな問題」との認識を示しました。このような状況を許している教員にも問題があるとし、教員らの立ち上がりの鈍さを指摘しました。大学側からの教員に対する締め付けの厳しさについても言及しながら、外では「イラク戦争反対」「9条反対」をやっても、足元でなにをやったかを総括することが必要である、との考えを示しました。
早稲田では教員有志ら5、6名がこの問題について学校側に説明を求めたが、それで終わったことに対し、「弱い」と述べ、「そういう奴が外でえらそうなことを言ってほしくない」と批判しました。「ナイーブなことでも言わなければいけない。ことここに至ってどうかという状況にきている」というのが、自らビラまきなどに参加してきて感じたことであると述べました。
早大で2年間客員教員として教鞭をとっていた劇作家の男性は、この事件については伝聞で聞いていたが、(ビラを配った男性が)逮捕されたことについては知らなかったそうです。事件については、「素朴におかしい」と思い、反対の署名をしたそうです。そのことをブログに書くと、あるセクトが関係しているのではないか、といったメールがきたそうです。劇作家は「そうであってもかまわない」とした上で、「逮捕されたということに対して、早稲田に対する不信感を表明した」と述べました。
また、この問題の背景に学生たちの関心の薄さがあると指摘しました。学生たちは日常的に不満をもっており、サークル活動禁止や抑圧に対して不満をもっているが、形にせず、愚痴で終わらせる。このエネルギーが表に出ていない状態をどうしていくか。そこに問題があるとしながら、答えについては「わからない」と率直に述べました。
また、「大学で演劇について学問をすることの原理が問われなければならない」と述べ、早稲田とジャニーズの合同舞台で舞台を主導したのがステージマネジメントであったことに対し、「演劇を学問として学ぶことが置き去りにされている」と警鐘を鳴らしました。
ステージマネジメントは重要であるが、経済問題は表現を超えるものではない、との考えを述べた上で、「システム化されたステージマネジメント教育は産学協同であり、ジャニーズに取り込まれる大学に意味があるのか。演劇が本来もっている力を転倒させたいまの大学のあり方を示している」としてその姿勢に疑問を投げかけました。
国立大学法人で教鞭をとっている大学教員の男性は、国立大学が独立行政法人となってから、「大学が行政化し、明らかに変わった」との認識を示しました。寮をつぶして新しく建て替え、監視を強めるなど、「大学の再開発が進んでいる」と指摘しました。市場原理が推し進められ、圧力が吹き荒れている中で、おかしいと思いながらも、対立軸を作れないでいることに対し、もどかしいとの思いも吐露しました。
競争原理、市場原理で、労務管理もはっきり変わってきたそうです。ことに非常勤講師については厳しい状況が続いているそうです。研究などについても、教員が自ら企画立案し、プレゼンをする仕組みになっていて、教員一人1人ひとりは良心的な人であっても、お金をもってくる教員の発言力が強まるといった状況になっており、「研究の土建化が進んでいる」と指摘しました。
「教育現場に市場原理が入ってきている情けない状況」であるとしながら、一方で官僚の統制が厳しくなっていることにも言及した上で、「市場原理と官僚統制を足して2で割ったのが(自分がいま働いている)大学の現状」であると語りました。
学生はおとなしく、非常勤講師などもバッサリ切られるような厳しい労働状況の中で、批判的な活動をする場としての大学が衰弱してきている、と指摘しながら、このような状況は日本だけでなく、韓国や中国などでも同様であると述べ、韓国などではすでに学校で自由な議論はできないとして、学校以外の場で組織を離れた個々が集って自由に議論をする場を作る動きが広まっている、と話しました。
映画監督の男性は、大学でリベラルとされている教員が外で発言することができても中では言えない状況について、背景に「国家と資本の介入がある」と指摘し、不自由が蔓延している大学の実情を伝えました。映画監督の母校の法政大学でも学生会館が取り壊され、監視カメラ付の学生会館ができたそうです。
かつて法政大学には映画サークルが7つあったそうですが、いまも細々と続けている映画サークルから勉強会に来てほしいという依頼があり、「嬉しかった」そうです。明るい兆候であると述べ、新学生会館の中で自分たちの文化、表現の場を獲得しようとしている後輩たちを、応援していきたいとの考えを示しました。
また、芸大の大学院の映画学科に穴埋めで何回か呼ばれたとき、そこで求められているものが産学協同であることに違和感を抱いたそうです。映画難民が出ている状況についても言及しながら、学生たちについては、「映画を大学で学べると思っている人たちがモノ欲しそうな顔で集っている」との感想を述べた上で、(こういうところにくれば)ある協会に入って立身出世をし、何者かになれるという幻想を抱いている、と述べ、「ブルーになる状況」であるそうです
参加者の発言のあと、会場に集った人たちがそれぞれ感想を述べました。
フリーターの労組を呼びかけたという男性は、労働運動は職場生産点の闘争でなければいけない、と述べ、孤立した人間同士が集まって、それぞれの職場にもっていく。職場生産点へ組合として打って出ることができるようにするには、小さくてもいいからきちんとした組合にすることが大事であるとの考えを述べました。
緩やかなネットワークではなく、自分の職場にもっていくことができれば、少数でも核となるのではないか、と述べ、自分が働いているところから変えていかないと、世の中変わらない、との見解を示しました。ただ、現実はそうじゃない方向に行っており、「壁がある」との厳しい認識を示しました。
大学で教鞭をとっている教員は、勤めている大学で任期制の教員を採用することになり、教授会で反対したのが自分1人であったことについて話しました。反対意見を言うと必ずつぶす人がいるそうです。終わったあとに、10人ぐらい(教授会は40名ぐらい)の人たちが個人的に「あなたの意見に賛成です」といったことを言ってきたそうです。「サイレントマジョリティーはこっちにある」としながら、思っていても声を挙げないのは、経営の論理が働き、「つぶれちゃうぞ」という一言で沈黙してしまうような、企業と同じ構造が(大学にも)あるからではないか、との見方を示しました。
緩やかな連帯では自分の権利を守ることはできない、と述べ、大学の非常勤講師の場合、組合に加入するとクビにならないのに、どうして闘わないで負けてしまうのか、と疑問を呈しました。ただ、組合に入っていると白い目で見られると思い、組合に入らないのではないか、とも述べ、その背景に専任になりたいという希望があることを指摘しました。
音楽をやっているという若い女性は、ビデオを見て、大学自体が硬直化していると語りました。運動をする人が少なく、手作りでやっているので大変だと思った、と述べ、分断され、学生の間で会話ができない状況がある中で、表現を通して自らの主張を訴えたいとする劇作家や映画監督の人たちの姿勢に共感したとの感想を述べました。
筆者の感想
シンポジウムのあった翌日、新聞(東京新聞)に早稲田大学に入学したハンカチ王子の斎藤佑樹選手と卓球の福原愛選手の写真が載っていました。満面の笑顔を浮かべて早稲田大学に入学する人たちがいる一方、学生会館移転に反対して学内立ち入り禁止になった大学OBたちや、そのことに抗議をしてビラを配布した男性が逮捕されるといったことが同じ大学で起こっている。そのことに納得のいかないような思いを抱きました。
とくに、入学式のあったその日、大学の措置に抗議の声を挙げようとした法学部の学生に対し、教職員らが取り囲んで力づくでやめさせ、まわりには見えないように何人もの人たちがこの学生を抱きかかえて警察に連れて行くといったやり方には、これが大学のやることだろうか、と疑問を感じないではいられませんでした。都知事候補の外山恒一さんがきてこの学生を警察から「救出」したときは、筆者も思わず拍手をしていました。
シンポジウムに参加した方々のお話では、学生だけでなく、教員にとっても学校が自由な議論のできる場ではなくなっているということですが、そうした中で、ビラまき逮捕などに抗議の声を挙げ、早大サークル有志らが主催するこうしたシンポジウムに参加して発言している勇気のある人たちもいることを思い、ほかの教員たちも勇気を持って1人ひとりが声を挙げてほしい、と強く思いました。
(ひらのゆきこ)
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