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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成19年(2007年) 3月8日(木曜日)
http://www.melma.com/backnumber_45206/
(読者の声1)アメリカの議会に「従軍慰安婦問題」をまた、何を考えて持ち出すのか。それは弁護士が日本政府から謝罪を勝ち取って、カネを巻き上げようと言うのがホンネだろう、とする分析があります。
へたにカントの恒久平和論など抽象論を学んだ人からは出ない発想です。しかし、アメリカでは、これがビジネスマンの普通の発想です。
小生は、どちらかといえば親米派ですが、アメリカの嫌らしさ、醜さを誰よりも身に沁みて感じている。
アメリカを特徴づけるいくつかのコトバで表現できるが、その第一は、「小さなことはamicable(友好的に)謝っても、大きいことは絶対に謝ってはいけない、認めてはいけない」ということです。
日本には免許取り立ての運転者の車に若葉マークなどというものをつけますね。
これは「私は運転が下手だから周りの人は注意してください」と意思表示しているのですが、なんという甘えの構造でしょう。
もしこの車が事故を起こせば100%責任を取らされます。
というのは、事故を起こす前から「事故を起こす可能性がありますよ、運転技術が下手だから」と言っているようなもので、これで事故を起こせば、責任を逃れるわけには行きません。一発でアウトです。
最近、アメリカのどの州だったか黒人奴隷の問題を謝罪しました。
しかしこんな謝罪は アメリカの白人にとって人畜無害、痛くも痒くもありません。白人(あるいはアメリカ政府、州政府)がそのことで膨大な補償金を黒人に出す羽目になるような環境なら、アメリカ人は絶対に謝罪などしない。自分には類が及ぶことなく、しかも人道の(偽善の)カッコよさをPRできるので、ドンドン謝罪しちゃう。アメリカ人の謝罪にはTPOがあるのです。
すなわちどんな補償や弁償の支払いが身に降りかかるか否かが判断の鍵です。戦争中の在留日本系米国市民の収容所についても補償したとはいえ、大したカネでもないのに、いかにも正義の装いで格好(=偽善と自己満足)をつけることが出来るのです。
いつか将来広島・長崎の原爆投下を謝罪する日が来るかもしれませんが、人畜無害の確信が得られたときでしょう。
中国の問題にせよ、アメリカの問題にせよ、日本人はあまりに自分の「非」の痕跡を文書で残しすぎてきた。河野談話もその一例ですが、この「非」の痕跡こそが、後世に、子孫にとんでもない災害を及ぼすことになります、いや既になってしまっている!!! ましてや、韓国からはその追及はこれが最後といわれたからとか、諸般の状況からそれで収まると思ったとか、アメリカ人なら幼稚園児も言わない言い訳です。
私の国際経験の一つの結論は、「国際」には、上半身と下半身がある。性善部分と性悪部分がある。上半身は国際親善、国際友好、国際貢献、外交プロトコールの部分。下半身は警戒、猜疑、弱みを見せない、尻尾をつかませない・・・ことです。
前者は相手を信用する部分、後者は相手を疑う部分です。
この上半身、下半身が一体となって初めて平和が維持できるのです。かのレーガン大統領は、trustにはvigilance (警戒、自警団)をセットで使っていたように記憶します。前者は上半身、後者は下半身です。世界の主要な国々はみな T&Vのバランスを保っています。Trustを言いながらvigilance も忘れないしたたかさに感心したものです。
北朝鮮はさしずめ下半身オンリーの国と言っていいでしょう。
真偽のほどは分かりませんが、レーガンは宮中晩餐会にもタキシードの下に防弾チョッキを着けていたという話を聞いたことがあります。根も葉もない話なら私ごときにそんな話が入ってこないでしょう。文字通りtrust & vigilance です。
外務省は(いや日本人全体に)、自国を守るために相手国の弱点やアラを組織的に把握しておいて、いざ鎌倉に発動できるようにしておく危機管理の発想が欠けていると思います。インテリジェンスの問題です。
野中広務が当選回数が少ない割に自民党内で権勢を振るえるようになったのは、野党党員はもとより自民党員のスキャンダルを徹底的に収集していざ鎌倉の事態には、小出しにして相手の発言を封ずる「国際的常道」を実行していたからだと聞きます。
民主党に移った石井一議員が何かの追求をしたとき、「あなたはそんな偉そうなことがいえるのか?・・・・・・・あんたも叩けばホコリの出るカラダ・・・」という趣旨で反撃して物議をかもしたことがありましたが、自民党員は野中には逆らえなかったのです。
加藤紘一も野中に脅されたことがありましたね。尻尾をつかまれていることの弱みで平伏すのです。
前回の大統領選挙で、民主党の副大統領候補のエドワードは産婦人科の誤診追及で巨万の富を築いた弁護士です。普通の日本人の感覚から言うと、本当に嫌な野郎です。しかしそういうルーでやっているアメリカ人には違和感はないようです。
従軍慰安婦といえば、終戦直後に進駐軍が入ってきたとき、当時の遊郭の女性を進駐軍兵士用にリクルートしたことがありました。旧制中学一年生の小生の耳にもそんな話が入ってきたのですが、これは多分アメリカ側の要請によるものだったと思いますが、良家の子女を守るために日本側から提供したという可能性もあります。何れにせよ、国家間でこの種の議論がされたことは事実です。ホンダ議員はご存じないと思います。
この場合は狭義の強制ではありませんが、女性提供要請はアメリカの恥であることは間違いありません。日本が「良家の子女の防波堤の大義」のために積極的に提供したとしても、それを受け容れたアメリカは公式には恥です!
・・・・・・・(余談ですが、そういう女性と結婚して、アメリカで幸せな生活をしている夫婦も結構います。昔のアメリカでの隣人がそういう夫婦でした。そういえば曽我ひとみさんも拉致されなければジェンキンスと知り合えず、いまの幸せはなかったはずだと多分北朝鮮は言うでしょうが、それはいう屁理屈というものです・・・)
また敗戦後、満州や中国から還ってきた日本人人女性は、ロシア人や中国人に犯されて妊娠していないかどうか、下関港の施設で全員が検査されたそうです。妊娠中の女性は直ちに堕胎に回されたということで、私の知人はその悲惨さについて涙ながらに語っていました。
こういうことも厚生省に資料があるはずです。私の知人の姉は、満州で夫が虐殺され、自分も強姦(?)されたか、帰国後一切外出もせず密室に閉じこもり、友人も当時の事情を聞くに聞けない悲惨な生活を送っているという話でした。
羽田元総理や高橋哲哉・東大教授などはが「謝って、謝って謝りぬく・・・」などとバカことを言っていますが、冗談じゃありませんよ。一歩後退すれば二歩押し込んでくるのが「国際」の現実です。宗教の世界なら「謝って、謝って謝りぬく・・・」で結構ですが、ナマミの国際社会にはありえないことです。
日本が国際社会で名誉ある地位を占めたいのであれば「したたかに」上半身・下半身を使いこなす能力を身につけることです。
アメリカは怪しからんといっていても始まりません。
アメリカはそれでもイギリスやフランスに比べて分かりやすい国です。原理原則がハッキリしているので、英・仏に比べて対応は楽です。嫌な時代になったものです。
しかしそれこそが国際化というものです。それを会得しなければケツの毛まで抜かれてしまいます。
上半身で日本的な価値観を維持しつつ、下半身で悪徳弁護士と闘えるしたたかさを持つ人士がいまの時代の理想の日本人像です。すくなくとも小生の価値観から言えば・・・・・。
小生の友人で、アメリカ、イギリス、フランスに駐在したことのある人たちは、おおむねおなじ認識を持っています。それでも世界のどの国よりもアメリカはましです。
(TK生、世田谷)
(宮崎正弘のコメント) じつは、小生も、いまから二十二年ほど前に拙著『アメリカンビジネス常識の嘘』(日新報道)のなかで、この問題を書いたことがあります。
タイミングが早すぎたのでしょうか。この本、いま出すと、すこしは注目を集めるかも(苦笑)。
(読者の声1)いま米メディアは、ご承知のように昨日のNYT、FTなども大きく慰安婦謝罪拒否の安倍晋三発言を取り上げています。
米議会で決議案が通過しても謝罪などしない、と先週発言し、今週の国会発言では93年(?)の河野官房長談話は認めると後退したというのが英語メディアの事実認識のようです。
安倍晋三首相はかねてよりの持論を展開したのだとは思いますが、彼の真意、政治的狙いというのはなにか思惑見えますでしょうか?
安倍の支持率低下を挽回したい意図があるとすると、それとの兼ね合いではいかがですか?
慰安婦などもうどうでもよいではないか。すでに政府で基金で多額のカネを払い受け取った元慰安婦も260人ほど。いまさら何を蒸し返して・・・・なのですが、米メディアは殺気だっていますね。何か書ける材料だと動き始めていますね。
(RH生、カリフォルニア)
(宮崎正弘のコメント) カリフォルニアの反日的な空気、よく分かります。メディアのうしろに中国人活動家の姿が透けて見えてくるようでもありますが。
基本的に慰安婦問題で、単なる「慰安婦」と「従軍慰安婦」は違います。
かの「三光作戦」と同様、あとからの作り話で、藤岡先生らの努力で100%否定され、左翼の教科書からも「強制連行」「従軍慰安婦」は消えています。(中国の「光」には殲滅、皆殺しの意味があり、日本語の感性にはない。だから「三光」は、ご承知のように中国の情報機関の「創作」です)。
「強制連行」された「従軍慰安婦」も、日本軍が直接にアレンジした事実は一切なく、中間の「業者」が女性を騙したケースが多い。
安倍首相が党内のばらばらな空気統一を図る目的なんぞないでしょうね。信念の丈(たけ)を述べているのでしょうから。
温家宝首相の四月訪日を控え、自民党内は沈静化への動きですが、ここで日本側が大攻勢をかけて、温来日がドタキャンになるようにし向けるほどの蛮勇が安倍さんにあるとは到底考えられません。
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(読者の声2) 貴誌1728号(3月7日発行)の「読者の声1」は、正に急所ついています。
私もどちらかといえば親米派ですが、アメリカの嫌らしさ、醜さを感じています。
免許取り立ての運転者の車の若葉マークですが、あれは行政が付けさせているものです。かならずしも、自由意志で「私は運転が下手だから周りの人は注意してください」と意思表示しているわけではありません。
1980年頃英国に住んでいたときある友人が、「若葉マーク」に相当するもの(日本の若葉マークとは多少用途が違いますが)をつけるようにアドバイスしてくれました。日本の若葉マークは、英国の風習の真似なのかもしれません。
かといって英国流「甘えの構造」というわけではないと思います。
英国では、細くて曲がりくねっていてせいぜい時速30マイルしかだせない道でも人が飛び出してくる可能性がなければ、制限時速60マイル、見通しがよくて平らなまっすぐな道路でも歩行者がいるところでは制限時速30マイルだったりして、制限時速は運転者以外を守るもの、自分の責任で危険を冒すのは本人の勝手という観念が徹底していることに驚きました。
米国で歩行者など絶対いない急カーブのハイウェーで制限時速20マイルというところを見つけて、むしろ米国人はあそこまで徹底できず「甘え」があるのではと思ったりしました。
「終戦直後に進駐軍が入ってきたとき、当時の遊郭の女性を進駐軍兵士用にリクルートしたことがありました。旧制中学一年生の小生の耳にもそんな話が入ってきたのですが、これは多分アメリカ側の要請によるものだったと思います」
とありますが、「多分」ではありません。
実際に進駐軍が日本政府に要求したものです。
それより涙ぐましいのは、少しでも日本に対する処遇がよくなるようにと貴族への憧れの強い米軍将校に対して性的サービスを提供した華族の未亡人たちがいたことです。
なかには未亡人ではあるいは成人女性では飽き足らなかった米軍将校たちもいたことでしょう。
「ホンダ議員はご存じないと思います」といわれましたが、そう思うことこそ甘えでしょう。知っていても知らないふりをする、自らに都合の悪いことには目を瞑る、これが人間の普通の姿です。
神の国の住人と同じ考えや反応をしないからといって、非難しても有効ではありません。
(ST生、神奈川)
(宮崎正弘のコメント) 三島由紀夫の『金閣寺』に、米兵に連れられた日本女性が金閣寺に現れ、僧に命じてお腹を蹴らせ、中絶させる場面があります。占領当時の米軍兵士の横暴。あの時代、日常茶飯の出来事でした。
日本政府の対応は、ようするに喧嘩の仕方を知らないのです。
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