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http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20070227/mng_____tokuho__000.shtmlより転載。
文科相『人権メタボ』『同質の国』発言考
「産む機械」発言の余韻もさめやらぬ中、今度は伊吹文明文部科学相から「人権メタボリック症候群」という発言が出た。富める人と貧しい人、男性、女性、性的少数者、日本人と外国人−異なる立場の権利調整が政治や法の役割だが、複雑な考えは「人権メタボ」と片づけられてしまいそう。そこで、センセイ方の人権がらみ発言をおさらいすると−。
文科相発言は二十五日、長崎県長与町での自民党支部大会で飛び出した。伊吹氏は「大和民族がずっと日本の国を統治してきたことは間違いない」「日本は極めて同質的な国」と話し、人権をバターに例えて「どんなに栄養があっても、毎日バターばかり食べていればメタボリック症候群になる。人権は大切だが、尊重しすぎたら、日本社会は人権メタボリック症候群になる」と言い切った。
失言、暴言も連続すると「信念」に思えてくる。記憶に新しいのは、柳沢伯夫厚生労働相の「産む機械」だが、数々の失言で資質を問われた森喜朗・元首相も忘れ得ぬ人だ。
自民党幹事長時代の二〇〇〇年、自らの初出馬のエピソードに触れ「選挙運動で行くと農家の人が全部家の中に入ってしまう。まるでエイズが来たように思われて」と蔑視(べっし)発言。
脳梗塞(こうそく)で倒れた故小渕恵三・元首相の後継に、自民党実力者の密室協議で決まったのではとの疑惑に「密室で生まれた私生児(非嫡出子)のように言われるのは大変不愉快」と逆ギレ。はしなくも差別感情が明らかになった。
中学一年の男子生徒が四歳男児を誘拐、ビルから突き落とす事件を受け、二〇〇三年に「親を市中引き回しの上、打ち首にすればいい」と発言し、冷静さを欠くと批判されたのは鴻池祥肇・元防災担当相。時代劇の見過ぎだったのか。
早大生らの女子大生集団暴行事件が問題化したこの年、自民党の太田誠一・元総務庁長官は「集団レイプする人はまだ元気があるからいい。正常に近いんじゃないか」と述べ、世の女性を打ちのめした。猛省したのか、強姦(ごうかん)罪の厳罰化に努力したことは、名誉のために付け加えておくが。
政策決定にかかわる財界人の弱者軽視発言も野党が問題視。厚労相の諮問機関「労働政策審議会」の分科会委員で人材派遣会社社長の奥谷禮子氏が「週刊東洋経済」誌(一月十三日号)に述べた「過労死は自己管理の問題」というのがそれだ。
残業代不払いを招くと不評な「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間の規制除外制度)」推進論者として知られる奥谷氏。同誌に「自己管理しつつ自分で能力開発をしていけないような人たちは、ハッキリ言って、それなりの処遇でしかない」「祝日もなくすべきだ」「何でこんなくだらないことをいちいち議論しなければいけないのか」と持論を展開したことから、民主党から「十分釈明を聞きたい」として国会参考人招致を求められている。
振り返れば、故池田勇人・元首相の「貧乏人は麦を食え」▽故秦野章・元法相の「この程度の国民ならこの程度の政治」▽ 故金丸信・元自民党副総裁の「リンリ(倫理)、リンリで飯が食えるか。鈴虫でもあるまいし」などなど、国民が小ばかにされたと傷つく暴言は枚挙にいとまがない。
文科相発言のうち「大和民族が」のくだりは一九八六年の中曽根康弘首相(当時)発言を想起させる。同首相は「日本は単一民族」と述べ、アイヌ民族の抗議を受けた。
アイヌ民族の先住民としての権利確立を訴える北海道の地域政党・新党大地の鈴木宗男代表(衆院議員)は伊吹発言について「いまだに民族と国民の違いが分かっていないんだね」と苦笑する。「米国でもロシアでも少数民族の権利確立は認められており、世界標準。ところが日本政府はできていない。その結果、こんな発言が出てくる」
もう一つの「人権メタボリック症候群」についてはどうか。DPI(障害者インターナショナル)日本会議の楠敏雄副議長は「伊吹さんが心配しなくても日本の人権は欧米に比べ、はるかに遅れている。現実を知っていたら、こんな妄言は出てこないはず」と話す。
「政府は過去、障害者を囲む壁として法、心、物理的な構造、情報の四つを挙げた。とりわけ重要な前者二つの柱は『権利』の視点だが、それはいまだに確立されていない。同じ人間としての認識というより、劣った人々へ『恩恵』を与えるという解釈が根強い」
障害者自立支援法が昨年施行された結果、全国で財政難から無認可の作業所が次々と閉鎖される事態も起きている。「現実には人権どころか、自助努力ばかりが強調され、障害者の生活基盤が破壊されている」
被差別部落出身で現在、山口県人権啓発センターの事務局長を務める川口泰司氏は「権利ばかり求め、義務を怠るという“人権”批判は繰り返されてきた」と前置きして、こう語る。
「人権というのはどんなに個人に欠点があり、行いに落ち度があっても、それを理由に差別してはならないという意味で『尊重しすぎ』はあり得ない。『あの子は協調性がないから、いじめられても仕方ない』という“いじめ”の論理はまさに人権無視。しかし、文科相はその基本のキを理解していないのでは」
人権バッシングはここ数年の傾向で、部落解放同盟の同盟員による刑事事件などがそれに拍車をかけた。川口氏はそれらの問題点を認めたうえで「だからといって、結婚差別や就職差別が正当化されるのは間違いだ」と語気を強める。
「最近の差別事件では、高学歴で男性の若者によるものが目立つ。彼らが抱える就職難などによる不満は本来、行政などへ向かうべきなのに少数者いじめにはけ口を求めがちだ」
こうした傾向を煽(あお)る効果が今回の伊吹発言にあるとすれば、それは“舌禍”というより“確信犯”かもしれない。慶応大の金子勝教授(財政学)は「柳沢厚労相発言も、今回も安倍首相の世界観を代弁している。今回の発言は、人権制限と裏腹に懲罰と管理強化で教育問題を乗り切ろうとする教育再生会議の考えと二重写し」と言う。
安倍政権では、安倍首相をはじめ“美しい日本”を掲げる改憲団体「日本会議」の国会議員懇談会メンバーが多数を占める。
同会議のホームページでは「大切な人権が『公共の福祉』に名をかりて、かんたんに制限されることがないように注意する必要があります」という中学校の社会科教科書の記述を「権利偏重主義だけが横行」する事例と激しく批判。この趣旨と今回の伊吹発言は酷似する。
金子氏は「彼らは世界の非常識である暴言を繰り返すが、責任は取らない。その結果として無責任が横行する社会ができつつある」と懸念し、こう続ける。
「なぜ、こうした発言が放置されているのかという問題こそが深刻だ。国際社会は、安倍氏らの世界観を国民が認めているとみている。この国はいま、世界から見捨てられつつある」
<デスクメモ> 一人として同じ人などいないがゆえに、一つとして同じ人権はない。そんな人権の相互衝突をときほぐす、根気のいる仕事が嫌になったなら、公務から身を引く潮時ではないだろうか。人権は弱者も強者も、生まれた瞬間から持っている。だから、人権を軽んずる人は、知らぬうちに自らをも軽んじている。 (隆)
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*故秦野章・元法相の「この程度の国民ならこの程度の政治」
→【heart】
これが政治家の本音だろう。
国民は、バカにされている。
しかしこれは自業自得だ、国民の首を絞めるような政策ばかり打ち出す自民党を後生大事に支持しつづける国民が多くいるのだから。
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