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□増えるビンボー政治家 [読売ウイークリー]
▽増えるビンボー政治家(1) 借家住まいで住宅ローンも不可?
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070227-01-0202.html
2007年2月27日
増えるビンボー政治家(1) 借家住まいで住宅ローンも不可?
黒塗りの高級車にふんぞり返って夜な夜な料亭で怪しい会合、地元に帰れば豪邸住まい――そんな国会議員のイメージとは程遠い“ビンボー政治家”が最近の永田町に増えつつあるという。
「あれー。だめだ、動かなくなっちゃった」
2月のとある日曜日の昼前、横浜市戸塚区の閑静な住宅街の一角で、1台の黒いフォルクスワーゲンゴルフのエンジンが止まった。運転していたのは、衆院神奈川5区選出の自民党衆院議員・坂井学氏(41)。ほこりまみれで、傷だらけのゴルフは、1996年の登録。2005年9月の初当選後、支援者から30万円で譲り受けたものだ。
東京都府中市出身の坂井氏は、東大法学部を卒業後、松下政経塾を経て、鳩山邦夫衆院議員の秘書などを務めた。神奈川県とは何のかかわりもなかったが、いわゆる“落下傘候補”として03年の衆院選神奈川5区に自民党から出馬し落選。2度目の挑戦で05年に初当選した「小泉チルドレン」の一人だ。家族は、落選中に家計を支えた会社員の妻と娘が3人。住まいは、築40年の4階建てマンションの3K。賃貸でエレベーターもない。
国会議員の給料に当たる“歳費”は、月130万1000円。期末手当を合わせると年間2000万円を超える。このほか、月100万円の文書通信交通滞在費が、国会議員個人の口座に振り込まれる。また、自民党の場合、国会議員が支部長を務める選挙区支部に党本部から年間1000万円が交付される。選挙区支部や国会議員が持つ資金管理団体は、法人・団体や個人からの寄付、政治資金パーティーなどを行って活動資金を集める。これが、国会議員の活動を支える資金となる。
一般のサラリーマンに比べてはるかに高額所得者といえるが、坂井氏は、こう説明する。
「党本部や県連への献金や、所属する議員連盟の会費、議員宿舎の家賃などを引かれ、実際に振り込まれる歳費は月80万円ほどです。妻に渡すのは、このうち30万円。ほかは、すべて事務所の維持費などに消えていきます。スーツはコナカで買っていますし、落選中はもちろんですが、国会議員になっても自分のために金を使うことはほとんどありません」
支部長を務める神奈川第5選挙区支部と資金管理団体「縁の会」の昨年1年間の政治資金は現在集計中だが「収入と支出を単純に見比べた感じでは、300万円を超える赤字が出ています」。
支出の大部分を占めるのは、私設秘書4人の人件費と、事務所の維持費だという。さらに、昨年は、党県連と横浜市連などのパーティーがあったことが響いた。これらパーティー券販売のノルマは、計約300万円分。有力議員なら県内企業を相手に売りさばくことも可能だが、そこは“落下傘”の新人議員の悲しさ。
「チケットを持っていっても、『もう買ってるよ』というところが多くて……」
結局、ほとんどを自分でかぶる羽目になったという。昨年は支援者への機関紙の送付を取りやめて数百万円を節約したが、焼け石に水だった。
ローン2行に断られ
金融機関における「国会議員」の位置づけに愕然とさせられたのは、同じ自民党衆院議員で、千葉5区選出の薗浦健太郎氏(34)だ。
「ご職業がら不安定ですが、ご返済は大丈夫でしょうか」
「まだ初当選ですよね。ちょっと厳しいですね。もう少し当選回数が多ければ……」
昨年5月、選挙区の市川市内にマンションの購入を決意。住宅ローンを申し込むため、銀行に電話をかけた薗浦氏に、担当者の反応は冷たかった。国会議員が融資を申し込めば、銀行は右から左へ融資しそうだが、現実はさにあらず。
「三つ目の銀行で、『とりあえずお話を聞きましょう』ということになりました。急いで銀行へ行って交渉の末、なんとかローンが組めました」
薗浦氏は高松市出身で、東大法学部卒。新聞記者を経て03年の衆院選に出馬し落選。05年の衆院選で初当選した。前出の坂井氏と同様に“落下傘議員”だ。
マンション購入を考えたのは、
「あんたは高松出身だ。借家のままだと、落選したらほかのところに移ると思われる。この地に骨を埋める覚悟を示すためにも、家を買え」
と、後援会の会長らに勧められたからだ。
「一戸建ては無理ですから、マンションを探したんですけどね。ローンがなかなか組めなかったので、5月にするはずの契約が7月にずれ込んでしまいました」
収入を歳費だけに頼る1年生議員に対する金融機関の信用度は、同世代の一般のサラリーマンより低かったようだ。
「生活費は月35万円ぐらいでしょうか。妻は『可処分所得はサラリーマン時代のほうが多かった』と言ってるくらいです」
薗浦氏の場合、歳費が振り込まれる通帳は事務所が管理しており、生活費は必要な分だけ、もらっているという。
「党からもらう1000万円は、地元に事務所を構えて、電話番を1人置いたら全部消えてしまいます」
▽増えるビンボー政治家(2) 所得公開にも明らか
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070227-02-0202.html
2007年2月27日
増えるビンボー政治家(2) 所得公開にも明らか
かつて国会議員になるには地盤(選挙区)、看板(肩書、知名度)、カバン(資金)の3点セットが必要と言われた。これらを備えたのが、2世議員、資産家、官僚出身者らだ。だが、金のかかる中選挙区制への反省から、小選挙区制になった結果、坂井氏らのように、従来の枠にはまらない政治家が生まれているのは確かだ。
小選挙区制度が初めて導入されたのは96年衆院選。この選挙後の98年の衆院議員の所得を見ると、自民党1年生議員52人のうち、所得が歳費だけだったのは、わずか9人で割合は17.3%だった。
これが、2000年衆院選後の01年は34人中12人(35.3%)となり、さらに03年衆院選を経た04年の所得公開では31人中12人(38.7%)に増えている。
ちなみに、98年の1年生議員のトップはマツモトキヨシ社長(当時)の松本和那氏の2億971万円。01年は高校理事長などを務める平井卓也氏の7208万円。04年は2世議員の奥野信亮氏で4072万円だった。
小泉チルドレンをはじめ、05年衆院選で初当選した議員の所得公開はこれからだが、昨年公開された議員の資産を見ると、小泉チルドレン83人のうち、1億円を超える資産を持つ議員は元東京都議の清水清一朗氏、元財務相主計官の片山さつき氏ら5人のみ。逆に、資産ゼロの議員が11人にのぼった。
ただ、この傾向を懐疑的に見るベテラン衆院議員もいる。
「確かに候補者の公募などが盛んになり、資金のない人が政治家になる道が開けてきました。ただ、これは一過性のものに終わってしまうんじゃないでしょうか。いい悪いは別にして、政治家を続けるには金がかかる。1回、2回は当選できても、その先が続くかどうか」
この議員が懸念するのは有権者の意識だという。
「今、話題になっている議員宿舎の問題でも、『民間のマンションに比べて家賃が安すぎる』とか、JRなどの無料パスも『議員の特権は許せない』などといった論調で語られます。自分たちが選んだ国会議員の活動をどう支えていくかという議論がない。これでは金のない者は国会議員になるなと言っているようなものです」
“銀座メシ”求められ
先の若手議員の例にもあるように、国会議員の金の使い道は、多くが選挙区への投資。いってみれば有権者対策だ。ある若手議員は選挙区活動の悩みを、こう語る。
「国会議員は人気商売だから、多少の無理は利くはずという意識があるようです。地元のバザーに顔を出したら『これ買ってって』と段ボール箱いっぱいの商品を渡されたことがありました。盆踊りなどにお金を包んでいくことは、公職選挙法で禁止されていますが、『○○党の先生は持ってきたよ』と、あからさまに要求されることも少なくありません」
そんな有権者は相手にするな、と言いたいところだが、選挙基盤が脆弱で人脈も乏しい若手議員は、日々、歩き回って顔を売るのが仕事だ。人の集まるところに顔を出すことをやめるわけにはいかない。
さらに、こんな話をする議員もいる。
「地方から来た陳情団が『銀座でメシを食いたい』と言えば、連れていかないわけにはいきません。安く上げたくても、有楽町や新橋では駄目で、なんとしてでも銀座です。形だけ会費を取っても、1回で軽く数十万円は飛んでいく。今、使途不明の事務所費が問題になってますが、そこにもぐり込ませざるを得ない金もあるんです」
政治と金の問題では、これまで多くの法改正が行われ、制度の見直しも行われてきた。だが、その一方で、有権者の意識が追いついていない面もあるようだ。
国会議員の秘書を経験したジャーナリストの上杉隆さんは、
「有権者が善、国会議員が悪という見方が世間ではまかり通ってますが、それは間違いです。秘書時代に、自分のエゴのために政治家を使おうとする有権者がいかに多いかを目の当たりにしましたから。そういう人たちのために政治家が神経を擦り減らすのはおかしいですね」
と話す。そのうえで、将来の国会議員の姿をこう分析する。
「今後、国会議員は二極化していくでしょう。肩書や資産がある人が当選する一方で、何もないけど政治を志す人も増えていくと思います。メディアやウェブが発達し、選挙活動も変わってきていますから、そういう人が国会議員になる可能性は今後も高まっていくはずです。政治への垣根は確実に低くなっています」
格差社会の是正は、喫緊の政治課題の一つだろうが、資金繰りに悩み、選挙におびえる若手議員は、政治の現場に新風を吹き込んでくれることだろう。ビンボーだからこそできる、血の通った政治に期待したい。
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