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BREAKING NEWS ―原田武夫の潮目先読みコラム(その1)
BREAKING NEWSコラム / 2007-02-17 13:06:53
(このコラムでは、原田武夫国際戦略情報研究所・代表の原田武夫の書き下ろしで、週に1回、直近の外交日程を中心に、世界の「潮目」を先読みするためのポイントを記します)
【「公式実務賓客」として訪日するチェイニー米国副大統領】
来週予定されている外交日程の中で、世界の「潮目」を先読みするにあたり最も重要なのは、何といってもチェイニー米国副大統領の訪日だろう。
チェイニー副大統領は、2月20日から22日まで、「公式実務賓客」として来日する。この「公式実務賓客」(外務省では通常、「公実」と呼ばれる)とは一体何かというと、本来であれば国賓・公賓として招きたいところなのであるが、直前に同じ国から元首級が来日してその枠を使ってしまったため、やむを得ず用意した招待枠のことを指す。
米国の副大統領といえば、大統領に万が一の事態があった場合には、大統領に就任し、陣頭指揮をとることまで出来る人物である。本来であればより正式な「国賓・公賓枠」を用意したいというのが外務省の意向だろうが、そこはあくまでも元首同士の往来のためにとっておくべしという宮内庁の意向にも左右される。(ちなみに、国賓・公賓の場合、天皇皇后両陛下による晩餐会が催されるのに対し、公式実務賓客の場合にはランチ(午餐会)が催される。午餐会では、スピーチはないので、それだけメッセージ性のない会食となる点に違いがある。)
外務省においては、年に1回、省内で「国公賓会議」が開催される。その場で、翌年の賓客としてどこの国より誰を呼ぶのかが議論となるのであるが、米国についてはもはや「議論の余地」がないのが実態だ。なぜなら、米国より「この時期なら、大統領ないし副大統領が訪日できる」という意向があれば、もはや有無を言う余地が日本に残されているはずもない、という思考回路が外務省の中で作動するからだ。
なぜ以上の「省内事情」について書いたのかというと、今回のチェイニー訪日にあたっての米国側の意図を先読みするにあたっては、この辺の事情を検証するべきだからだ。つまり、かねてよりチェイニー訪日が計画されており、そのために安倍総理は今年の年始に訪米しなかったのだということであれば、いわば日米間に穏やかな協力関係が維持されていることを意味する。しかし、安倍総理が当分、訪米しそうにもないことを察知した米国側が、あるメッセージを伝達するためにあえてこの外交日程をねじ込んだ結果としての「公式実務賓客」ということになると、話は全く違ってくるのだ。
【2004年4月に行われた訪日の意味】
チェイニー副大統領が前回訪日したのは、2004年4月のことである。その時の公式発表の内容は、外務省のホームページで(http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/yojin/arc_04/usa_gai.html)確認することができる。
この時の最大の課題は何といっても、イラクで人質となった日本人3名の救出。チェイニー副大統領からは、全力で救出活動にあたることを約束した。そのかわり、小泉総理(当時)からは、当時、各国が徐々に後ろ向きになりつつあったイラクへの人道・復興支援について、日本として引き続き約束させられたという経緯がある。このようにして日本が支援続行を確約したことが、各国による支援続行を生み出す大きな引き金の一つとなった。
外務省が発表するこの手の文書は、発表された瞬間にはあまり情報としての価値に乏しい場合が多い(あえてそのように書いている節もある)。しかし、その後の展開から振り返って読んだ場合、実は大きな意味合いを持つ内容がそれとなく書いてあることを示す一つの好例だといってよいだろう。
それでは、このタイミングでチェイニー副大統領がわざわざ訪日してくるのは一体何のためなのか?
現在、ワシントンでは年始に訪米しなかった安倍総理に対する「不満」が高まっているとの情報がある。しかも、在米国日本大使館の幹部までがそうした米国の「不満」をこっそり口にするようになっているというのだから大事だ。
ただし、こうしたワシントンの「不満」を素直に受け止めては潮目を読み違える。なぜなら、米国サイドから、年始の総理外国訪問日程が決まる12月頭くらいまでの間に強烈な申し入れが事前になされていれば、総理が年始に米国ではなく、欧州におもむくといったことはあり得なかったはずだからだ。それをあえてそうしなかったところに、米国側の隠れた意図を読み取るべきなのだ。
表向き、今回のチェイニー訪日は1月にブッシュ政権が発表した、新しいイラク政策を説明するために行われるとの情報が流布されている。しかし、米国がこれから新たに仕掛けようとし、それについて日本に有無をいわさず同意させたいと思っている事項として現在、焦眉の課題なのはイラクというよりも、北朝鮮であり、さらにはイランであろう。
【転換された米国の対北朝鮮政策と安倍政権の窮地】
ちなみに3年前の訪日の際、チェイニー副大統領は北朝鮮について何を言ったのかというと、上記の外務省によろう公式発表文書によれば次のとおりである。
「チェイニー副大統領は、北朝鮮の核の完全、検証可能かつ後戻り出来ない廃棄の実現のための六者会合の進展の重要性、中国の協力の重要性につき述べた。」
北朝鮮ウォッチャーの方は、これを見てすぐにお気づきであろうが、現在、このいずれもが、米国にとってはもはや政策として無きものとなっている。すなわち、去る2月13日に閉幕した第5回六カ国協議の結果、米国は「北朝鮮の核の完全、検証可能かつ後戻り出来ない廃棄」をあからさまに求めてはいないことが露呈し(合意文書に文言がない)、また1月のベルリンでの米朝協議に象徴されるとおり、もはや「中国の協力」を介在させた事態の進展にプライオリティーはおいていないことが明らかになったからだ。
そうした事態の進展=米国による政策変更を踏まえて、今回、チェイニー副大統領より、
1)前回の六カ国協議における合意事項の完全履行(エネルギー支援を含む)
2)日本人拉致問題解決に向けた協力
3)北朝鮮に対する金融制裁の部分解除
が安倍総理に伝達されるとすれば、それは安倍政権による「強硬姿勢」を鼓舞するように見えて、矛盾を押し付けるものであり、当然、安倍政権としてはさらなる窮地に追い込まれていくことになる。
かねてより、安倍政権の擁立は、日本を封じ込めるための米国による陽動作戦であったという情報がある。今回のチェイニー副大統領による訪日におけるメッセージは、そうした陽動作戦を推し進め、安倍総理率いる日本をさらに追い込めるものとなることであろう。
副大統領に動向する補佐官たちの日本での工作活動も含め、しっかりとウォッチしていくことが、潮目を読み落とさないポイントとなる。
ちなみに、前回の訪日時にはその5日前である4月7日にイラクでの日本人人質事件が「発生」した。
一方、日本の大手メディアはここにきて再び、安倍政権の不支持率の高まりを喧伝しつつある。
今回は、一体どのような「仕掛け」を米国として仕込み、演出してくるのか。
もちろん、来週のマーケットにもそれは重大な影響が出てくるはずだ。
この週末が山場となるのかもしれない。
原田武夫記
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