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「格差是認論」どころか「格差推進論」まで飛び交う今、十数年前さかんに言われた「中流意識」という言葉が幻のように響く。その頃の我が家は世間の好景気の恩恵もなく、「中流意識」を感じる余裕もなかった。ちょうどその時期、アメリカ社会の経済格差を告発する本を読み、「日本はまだいい方かも」と楽観しながらも、でもそう遠くない将来にアメリカのように格差の広がる社会がやってくるかもしれないと思ったりもした。予感は当り、到来した現実は想像以上のものと感じている。
週刊東洋経済<2/24号>
http://www.fujisan.co.jp/Product/5828/b/137584/
の特集「貧困の罠」では、様々な角度からのデータと、社会で生きる人々の生の事情を紹介している。ため息が出るような内容である。
政治家や経済関係者の「格差」の意識と一般庶民の実態がどれほどかけ離れているか。実態の格差は「格差に対する意識の格差」でもあろう。
経済の発展に伴う格差が、自由競争の結果生み出された貧富の差であっても、そこで生活する人々の最低限の生活・福祉・医療などの保障が約束されたものであるなら認められよう。実際は、社会の底辺にいる人々の生活を直撃する形で犠牲を求め、経済活動で一番潤う人々がより生きやすくする形の国づくりへと変化してきている。それを経済に強い国、国際社会で勝ち抜く企業のためにと、格差容認の「免罪符」にされているのだ。
たとえば、「トヨタ」に関する記事。(以下、要約して引用)
本体のトヨタは営業利益2兆円を稼ぐが、この大企業を支えているのは下請けの中小・零細企業である。親会社のトヨタは下請けに対し、厳しいコスト削減を要求する。
2次請けのある会社は製品の8割がトヨタ向け。厳しい単価引き下げ要求に従い、従業員を3年前の7割程度に減らし、賃金の安い外国人派遣労働者を雇う。全体の半数程度に減った正社員も、この数年間のベースアップはできていない上、労働負荷は確実に高くなってきている。品質水準を下げるわけにいかず、しかしこれ以上の単価削減は、より厳しい人件費削減しか残されていないという。
トヨタ社員の平均収入は822万2000円。これに対し下請けの一人当たりの年収額は1次請け層(従業員500〜999人)でトヨタの7割583万円、100〜199人規模で6割513万円、零細の1〜3人規模では2割程度とされ、178万円程度にしかならない。トヨタ系列の下請け層は下に行くほど見事な賃金減少を示す階層社会である。
しかも零細企業にあたる豊田市内の9号法人(資本金1000万円以下、従業員50人以下)のうち、「法人税割り」の法人市民税を納付したのはわずか32%という。赤字決算の会社が多いのである。
トヨタを含む1号法人(資本金50億円以上、従業員50人超)の納付率は77%、中小・零細企業ほど赤字が恒常化している。
トヨタの絶好調と相反する下請け企業の苦境は、トヨタ自身が作り出したものである。
以下、それを表す言葉である。
「トヨタのいうゲンテイ(原価低減)とは、工場の無駄を塀の外に出しただけ」
「『下請け代金支払遅延等防止法』に抵触しても買い叩く(これは下に行くほど厳しくなる)」
「(下請けは)生かさず、でも殺さず」
「下請けに価格決定権はゼロ」
読んでいて、労働者の悲哀が伝わってくる。
この国の誇るべき企業の繁栄が、恩恵を受けない底辺に位置する人々の犠牲の上に築き上げられている。トヨタを褒めたたえる前に、裏で何が行われているか、格差はどうやって形になっていくか、格差社会を叫ぶ前に私たちは知らなければならない。
他にも、生活保護を申請する人、障害者、夕張市民、リンゴ農家や様々な業界で低賃金で働く人々を取り上げ、リアルな数字で訴えている。
格差を感じる意識が低い人こそ読むべき記事であると思った次第。
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