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2007.2.23
森田実の言わねばならぬ[80]
平和・自立・調和の日本をつくるために【61】
世界の主潮流からはずれた日本――安倍晋三・石原慎太郎の「ブッシュ共和党の“戦争”路線」(その1)
【以下は、現代社会民主主義研究会主催の講演会における私の講演要旨です。『マスコミ市民』(2007年2月号)に掲載されたものを今日から3回に分けて掲載します】
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NHKと民放各局は小泉自公連立政権により全体主義国の放送局にされた
防衛庁のあるOBは、「いまの自衛隊はあまりにもアメリカに追随的で、アメリカの言うことなら何でも聞く状況です。やがて自衛隊は、アメリカ軍の一部となり、アメリカ軍とともに世界中のどこへでも連れて行かれて、ベトナム戦争の時の韓国兵のように、アメリカ兵の弾よけに使われてしまうおそれが大きい」と言っていました。そして、「自分たちは引退して力はないが、この状況を何とか変えてほしい。憲法を変えてはなりません」と訴えるのです。私はそのような非常な訴えを多数の防衛庁、自衛隊OBから聞いて「やらねばならん」という気持ちになり、さまざまな場で発言するように努力しています。
しかしながらいまのテレビ局の体質は、ものすごく右翼的です。すでに大学すら右翼です。とくに有名大学では、右寄りでないと教授になれません。そういう教授に教えられた学生のうち、成績のよい者(大多数が右翼的考えの持ち主)が大手マスコミに入社していき、いまのメディアを動かしているのです。
時事通信の政治部記者であったある前代議士から聞きましたが、昔の同僚たちで集まると「森派でない記者は、東京にはいなくなった」という話になるそうです。森派(いまは町村派)とは、ご承知のとおり安倍晋三・小泉純一郎・森喜朗・安倍晋太郎・福田赳夫らが所属するグループですが、その原点は岸信介です。非常に右翼的です。その上最も右寄りの記者が、新聞社を固めたということです。
放送も、ほとんど同じ情況だと思います。テレビのエリート記者もほとんど右翼主義者です。民放各社は当局に抑えられていますし、NHKも、政治部は完全に抑えられています。社会部や国際部は比較的筋を通そうという力が働いていますので、政府はイライラしてNHKに「放送命令」を出したのではないでしょうか。
あの「放送命令」によって、NHKのイメージは全体主義の国の放送局になってしまいました。菅義偉総務大臣という人物は、小泉−竹中ラインが、安倍体制の中に残していった最も忠実な中心的人物です。組閣の数日前、ある人から私に電話があり、竹中が数人の友人同士の会合で「次の総務大臣は菅だ」と言ったという情報が入ってきました。安倍との強いつながりのおかげで比較的組閣人事の予測を的中させた産経新聞でも、菅総務大臣は予想していませんでした。その菅総務相が「命令」を出しました。これはひどいことです。NHKの会長は、その命令を拒絶して辞職するべきでした。しかし、会長にはそれだけの度胸がなかったのは残念でした。
日本人の現代史感覚は歪んでいる
80年代の末頃まで、私はNHKから時々仕事を頼まれていました。定期的に依頼があったのは、国際放送の「ラジオ日本」という番組で、「ラジオ日本」の論説委員をやりました。そこでの私の発言が約10カ語に翻訳され、繰り返し報道されたことがありました。「日本人の歴史意識」というテーマで行ったものです。
そこで私は「平均的な高校生が歴史の勉強をするのは幕末までで、基本的には20世紀の歴史は学校で教えられていない」という話をしたのです。自分から学ぶ人はいても、普通の学校では20世紀に関する授業そのものがないのです。普通は11月の末をもって各高校は受験体制に移行するからです。文部省の学習指導要領に従うと、「桜田門外の井伊直弼暗殺」を教えたあたりで11月末になります。そこで事実上授業は打ち切りとなるのです。
そこから後の歴史は、ほとんどの高校生は知りませんし、大学受験でも、20世紀の歴史は取り上げないのです。京都大学大学院の先生が、第二次世界大戦で日本が負けたという話をしたところ、学生が一斉に「それは間違いです。勝ったのだ」と言ったそうです。高度経済成長で他の国を圧倒し経済戦争で勝ったということと、混同しているのでしょう。そのくらい、日本人の現代史意識は歪んでいるのです。
私は、ラジオの視聴者はみな日本人だという前提で話をしたのですが、それが各国で大反響を呼びそれぞれの言葉に訳され、繰り返し放送されました。私は日本人に聞いてほしかったのですが、私の放送は主として外国で放送されたのです。NHK社会の空気は「森田のような危険人物の放送は、政府から文句がある」というものでした。その頃リクルート事件があり、竹下内閣を徹底的に叩いているうちにお払い箱になってしまいました。噂ですがNHKには政府自民党側から相当の圧力があったそうです。あの頃から、政治家がメディアに手を突っ込んできたように感じます。
中曽根首相の時代までは、第一次世界大戦の後の「大正デモクラシー」と第二次世界大戦後の「昭和デモクラシー」を経験してきた明治の人たちが元気でしたので、2度の経験をした人たちは、言論弾圧がいかに罪深いものであるかを知っていたのです。だからあまり露骨な言論への圧迫はしなかった。
私は、70年代には『中央公論』や『現代』に評論を書いていました。その頃は、政府・自民党への批判であっても、政治家はマスコミや出版社に圧力などかけませんでした。批判されたからといって、当時の政治家は報復のためテレビ局に圧力をかけるようなことはしませんでした。
私がテレビ出演を始めたのは、70年代の末です。およそ30年、マスコミの内側にいました。メディアの影響力が非常に強い日本で、テレビや大新聞が流す報道だけで世の中を知っている気になる人が非常に多いことは、大変危険なことだと感じています。
いま私は、われわれのような職業の人間が“それをやったらおしまいだ”と言われている「テレビ批判」や「新聞社批判」や「電通批判」を始めました。「森田さん、よくやりますね。命がいくつあっても足りないんじゃないですか」、「電通まで叩き始めたのは、いまだに森田さん1人ですよ」と、方々で話題になっているようです。そして私はマスコミの仕事を失いました。
電通の政治介入は、広告業界の没落
先日、東京のテレビ局の社長の非公式の集まりがあり私のことが話題になったという話が耳に入りました。出席者の1人が「森田が電通のことを叩いている」と話を切り出したそうです。アメリカの保険会社が広告費をつくり、アメリカの広告会社を通じて電通に5000億の金を渡し、「民営化は正しい」「官はダメで民が善だ」という宣伝を徹底的に行い、郵政民営化の正当性を日本人の頭に叩き込んだという情報が、ウォール街で流れたという情報が出てきました。私はこの話を05年5月末ごろに聞きました。その真偽をいろいろな人に尋ねましたが、否定する人はいませんでした。事実だという人もいませんでした。
これを書けば、さまざまな事実が浮かび上がってくるのではないかと考え、この問題について執筆してみました。すると相当の反響がありました。そのうちの1つがマスメディアからの事実上の追放でした。これで、私は自由を得ました。
2001年夏の初め内部告発と思われるある投書がありました。それによれば、小泉が自民党総裁選に出たとき、小泉を人気者にするために電通の優秀なるスタッフによってプロジェクトチームがつくられたそうです。そのチームは小泉に、「自民党を変える」「ニッポンを変える」「構造改革なくして景気回復なし」、この3つのスローガンを叫び続けるよう指示したそうです。これはちょうど15秒で収まり、早口で言えば2回は言えるので、1人分のニュースの長さにピッタリなので、これを繰り返しなさいということでした。演説ではそればかり繰り返し、結果的に成功しました。
橋本龍太郎、亀井静香、麻生太郎の話は長いので、15秒で打ち切ったら何をしゃべっているのかわからないのです。これに対して小泉は、圧倒的な勝利を収めたわけです。
これが電通プロジェクトチームの戦略による勝利だという投書が2通きたのですが、文面には信頼できる感じがありました。
その直後に、ある講演会で気楽にその話をしましたら、集まっていた経営者のうちの1人が顔を真っ赤にして「われわれが依頼を受け、事業として組んだプロジェクトがなぜ悪い」と叫び始めたのです。どうやら彼は電通の重役のようで、プロジェクトはきちんと報酬の出る正式な注文に対するものだとの主張です。私は、いままで仮説でしかなかったものが、そのとき“証明できた”と思いました。(この項つづく)
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03194.HTML
(その2)
電通の監視下にあるマスコミ
電通が政治に関与し始めたことは、日本の広告業界の完全な堕落です。広告業界は、経済活動に限るべきです。アメリカでは、広告で政治宣伝をやり、相手候補のスキャンダルまで暴露したネガティブキャンペーンを徹底的にやっていますが、やがてアメリカの政治は頽廃し滅びるでしょう。ヨーロッパでは広告が、政治に接することにはかなり抑制的です。ある時期までは日本もそうでしたが、小泉首相が電通と組み、しかも電通がアメリカ共和党系の巨大な広告会社と組んだことで、日本の広告は政治とかかわって走り始めてしまいました。
民放は、百パーセント広告で成り立っているわけですから、電通の完全な監視下にあります。私が講演で地方に行ったときに聞いた話ですが、以前その会で講演した元テレビキャスターがうっかり「私の好きなビールは○○です」と言ったら、その番組全体のスポンサーは別のビール会社であったため、すぐに電通から徹底的に叱られて降ろされそうになったそうです。これほどに、すべてのテレビが電通の徹底的な監視下にあるのです。
新聞も、半分以上は広告収入に依存していますので、電通に尻尾を振っています。メディアが堕落した最大の元凶は、電通にあると思います。電通は視聴率至上主義です。これがテレビを堕落させました。その電通が、アメリカの巨大広告会社の手先になり、かつ政府と合体して、やりたい放題しているのです。国民をマインドコントロールしようというのは、明らかに行き過ぎです。
また、スタッフも、そうした態勢に合うような人材が集められています。私は、1年ほど前まで朝のワイド番組(5時55分から8時まで放映)に出ていましたが、この番組は総勢200人のスタッフでつくられています。この番組の中枢は、プロデューサーとサブ・プロデューサー、プログラム・ディレクター、ディレクターなど、7〜8名の社員エリートです。彼らが全部決めているのです。
他の大多数は、下請けの小さなプロダクションの人たちです。この人たちの給与は、かなり低く、局の社員と比べて何分の1、10分の1、極端な場合20分の1、といわれています。ほんの少数の「王侯貴族」と「奴隷」のような状態に置かれた人たちで番組はつくられているのです。テレビ局内に一種の階級社会が存在しているのです。そうした階級社会にあまり疑問を感じない人が番組をつくっていることは、恐ろしいことです。
メディアの浅薄さが政治を覆っている
昨年の12月5日の朝日新聞15面「オピニオン」欄に、西ドイツの首相だったシュミットのインタビュー記事がありました。「親日派のあなたの目に、今の日本はどう映りますか」という記者の質問に対して、シュミットは「これは日本に限らないが」と遠慮した言い方で、「テレビ・メディアの浅薄さが政治を覆っていると思う」と答えています。「日本の社会の芯になる、共通の哲学が失われているのではないか」、「テレビ番組のヒーローのような政治家が、歴史をつくる日本の現状」だと述べているのです。これは、実に的確な見方です。
あるテレビ局で、石原慎太郎都知事が出演したのと同じテレビ局の番組の前後に出演したことがあるのですが、石原都知事に対してはテレビ局の社長ら重役たちがひれ伏し、土下座せんばかりの態度でした。私の場合は、社長はもちろん報道局長も現れたことはありません。東京都が、電波に対して一定の権限をもっていることもあるのだと思いますが、他の局でも同じだそうです。
その東京都の影響力をフルに使って、石原慎太郎都知事はテレビ界を席巻しています。世論調査で少し人気が下がると、田原総一朗氏の番組に出てヨイショされ、人気を回復するといった具合です。あんな非常識な言辞を吐いているにも関わらず、石原都知事を批判する新聞はありません。石原慎太郎都知事と小泉前首相は、テレビの生み出したタレント政治家だと思います。彼らの考え方は刹那的で哲学もありません。
この5、6年で日本は本当におかしな国になってしまいました。こうした最大の責任者は、小泉と石原でした。常識や道義を完全に無視するような乱暴な発言を、テレビやスポーツ紙が大喜びし、いくつかの新聞までもがそれを報道しています。これが日本人の常識を歪めてしまったのです。
4月に石原慎太郎都知事が3選され、7月の参院選で自公連立政権側が勝利したら、日本はどうしようもなくなります。「背筋が寒くなる」と言う人さえいます。安倍晋三首相は、いま選挙に勝つことにすべての目的をおいています。夏の参院選に勝つには、それまでの地方選挙と参院補欠選挙に勝ち続けなければなりません。そのためには、中国へも行きましたし、韓国へも行きました。また最近では「村山談話」も評価していますし、従軍慰安婦問題に対する「河野官房長官談話」も認めました。すべて選挙に勝つためです。
「これは得」「こちらは損」と言っているうちに、発言と行動の辻褄が合わなくなり世論調査の支持率が落ちてきていますが、7月の参議院選挙に勝ってさえしてしまえば、それまで自分が言っていたことが実行できますので、いまは「戦術」としての路線をとっていると見ておくべきでしょう。
石原氏は、福岡の市長が人気を上げるためにオリンピック招致を掲げたのをみて、自分も「オリンピックで3選だ!」ということではないでしょうか。そういう卑しき魂胆で、あと2期、2016年まで知事を続けたいということなのかもしれません。テレビや新聞がオリンピックを喧伝しているいまの状況は、石原氏に有利です。もし石原氏が3選されたら、気に入らない教師の首をボンボン切ってしまうような、相当ひどいことが起こってくるのではないかと心配しています。
ブッシュは創価学会の保証人?
石原氏は、『Noと言える日本』という「反米主義」の書物を出版しましたが、都知事になると、それを降ろしました。同時多発テロが起こった9月に、彼は共和党に呼ばれてアメリカへ行きました。それからは「反米」の旗を降ろし、徹底的な「反中国」になりました。彼は、小泉と一緒に共和党の一員になってしまったようなものです。
アメリカで繰り返されてきた共和党と民主党の2つの政権の中で、アイゼンハワーの8年間の終わりごろは日本の首相は岸で、このときに共和党と岸との切っても切れない関係ができたのです。アイゼンハワーのときの副大統領がニクソンですが、ここでニクソンと岸の関係が結ばれ、そしてニクソンと佐藤栄作の関係ができ、田中角栄の時期まで続くわけです。そしてレーガンが出てきて中曽根、ブッシュが出てきて小泉というように、岸の系譜の政治家が、共和党政権に対応して出てきているのです。
民主党については、トルーマンの時代は吉田茂、ケネディの時代は池田勇人、カーターの時代は大平正芳、クリントンの時代は細川から小渕に至る時代でした。結果的に、日本の保守の2つの潮流のうち、より穏健なほうがアメリカ民主党のときに政権を取ってきたのです。
大平正芳の亡き後の1980年に、鈴木善幸が総理大臣になりますが、翌年1月にレーガンが大統領に就任しました。鈴木善幸と会談したレーガンは、「日米同盟」で日本を押さえ込んだと思ったのでしょうが、鈴木善幸は首脳会談直後の記者会見で「日米安保条約は、軍事同盟ではありません」と発言しました。
彼は、正しいことを言ったのですが、レーガンも共和党もみんな怒りました。82年の自民党総裁選の前に、共和党幹部が大挙して来日して日本の政界を攻め立てたのです。そして岸を中心に、鈴木降ろしにかかりました。このとき田中角栄も岸に加担し、鈴木善幸に朝から晩まで「やめろ、やめろ」と電話をかけまくったのです。
世間にわからない形で岸と田中が鈴木善幸を引きずりおろして、中曽根を首相にしたのです。ですから中曽根は、レーガン政権の日本版です。戦後の日本は、あらゆる意味でアメリカの影響を受けてきました。そして小泉は、アメリカ共和党の日本、共和党の自民党にしてしまったのです。
また創価学会は、アメリカで布教の自由を得て、各地で活動を行っています。チェイニー副大統領のもとにいる研究者が来日したときに、「アメリカで創価学会の活動が展開されているらしいですね」と聞きましたら、「私の事務所にいる者も学会員です」と言うのです。それほどアメリカ人の間で、創価学会が伸びているということです。
つまり、ブッシュ共和党と池田大作名誉会長との間で話がついたということだと思います。アメリカの政界は金で動きますから、創価学会ロビーがワシントンを動かして、アメリカにおける布教の自由を確立したのです。さらにアメリカの保証を得て、中国やフランスなどいくつかの国を除く全世界で布教活動ができるようになりました。
いまは約190カ国に創価学会の組織があり、インドネシアやシンガポールで大規模な大会を開いたときには、いずれも総理大臣級の政治家が夫妻で来たといいます。このように、創価学会は世界宗教への道を進んでいますし、ある意味では、ブッシュはその保証人になっているのではないでしょうか。(この項つづく)
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(その3)
アメリカ国債を売らない約束
05年5月に発売された週刊新潮で、櫻井よしこさんは「必ず中国は、台湾を軍事的に攻める。それを跳ね返すのは、日本の軍事力だ」という趣旨のことを書きました。この主張は、アメリカは戦争ができないという見方を前提にしているように見えます。
アメリカは、日本に国債を買わせてアメリカの財政をつないできたのですが、もう日本だけでは足りないのです。日本も2015年くらいになると、アメリカにすべて吸い取られてしまうという分析もありますが、アメリカは、中国とインドに国債をもたせて「アメリカ帝国」を維持する方針のようです。中国にたくさんのドルを持たせて、その一部を国債にさせているのです。
2002年2月18日の日米首脳会談で、アメリカに対し「日本がもっている国債は売りません」と、小泉が約束してしまっています。日本では明らかにされていませんが、事実です。ブッシュは帰国後、興奮して「アメリカ外交の勝利だ」と言ったそうです。
そのことを教えてくれたチェイニー副大統領のスタッフに、「小泉は『あるとき払いの催促なしでいいよ』と言ったのか」と聞いたのですが、「アメリカには、そんな曖昧な表現はありません」と言うのです。「ブッシュの報告は、どのように理解されたのか」と聞くと、「“いただいた”とアメリカ側は理解している」と言いました。
「アメリカはただただ奪うだけではないか、ひどすぎる」と私が言うと、彼は「ブッシュは小泉に、小泉が一番ほしいものを与えています」という返事が返ってきました。それは「小泉さんには、ブッシュは日本の政治史上最も偉大なるリーダーだという誉め言葉を与えています。ブッシュが歯の浮くようなお世辞を小泉に言い続けてきたのは、400兆の金をくれたことに対するお礼なのです」と彼は言いました。日本人にとっては冗談ごとではないと思います。
中国は、相当のアメリカ国債をもっています。アメリカが中国に対して変な行動をしたら、アメリカ国債を売り払うことができます。そうするとアメリカ国債は暴落し、アメリカはパニックに陥ります。ですからアメリカは、中国に戦争を仕掛けたりオリンピックを潰すとかはできないでしょう。中国は安全保障の目的で、アメリカ国債をもっているのです。中国が、アメリカ国債を手放せば、アメリカの経済は潰れてしまいます。「どうぞ」といって金をあげてしまった日本は、まったく愚かです。
4月の都知事選と7月の参院選で、共和党の手先になってしまった石原と安倍を信任したなら、日本は世界の笑い者になると思います。アメリカでは、昨年11月の中間選挙で「もうブッシュはたくさんだ」という結果がでました。下院においては大差で民主党が勝利し、ブッシュは完全に潰れたのです。ブッシュ政権は、自分たちの考える政治システム、アメリカの言葉どおりいえば「アメリカの民主主義」を、力をもってでも押しつけるという力の政策です。もう1つの側面は、アメリカ共和党が推進する経済政策を、世界の基準・グローバル・スタンダードにするのだという姿勢です。
この両方が、11月の中間選挙で否定されたのです。
世界の方向は「社会民主主義」
日本の新聞はまったく報道していませんが、アメリカ国内は格差が拡大して、ひどい状態が続いているのです。私は、アメリカから帰ってきた人に「日本は、郵政民営化で350兆円をアメリカのための使おうとしています。アメリカが10年間以上これを要求し続けて、ようやく実現したのです。そして次にアメリカが要求しているのは医療です。日本の医療をアメリカ的医療に変えろという要求です」と話しました。
アメリカでは、金がなければ医者に行けないのです。17〜18%の人たちは、貧しさのために健康保険証ももてないので、救急車でしか病院に入れないのです。それらの人々は死ぬか生きるかの状態になって初めて病院で診てもらうことができるのです。このため、帰ってはこられない人がたくさんいるといいます。けがをした人も、手当てが遅れて腕や足がなくなってしまうことも多いそうです。ロサンゼルスの街で目立つのは、戦後の日本でアコーディオンを弾いていた白衣の傷病兵のような人びとだそうです。
それに対する不満も相当高じているそうです。中間選挙ではイラク政策だけではなく、共和党の市場主義も否定されたのです。市場主義は、結局強い者が勝ち、弱い者が犠牲になる弱肉強食の世界です。アメリカでもそういう状況に、みんなが耐えられなくなっているのです。
いま、イギリスは転向を始めています。ブレアはすでにレーム・ダックです。若いキャメロン保守党党首は、党首選挙で「思いやりのある中道政治。アメリカに従属しない政治」と主張したそうです。それで、党首選に勝ったのです。本来これは、労働党が主張しなければいけない政策ですし、「思いやりのない自由主義」に対抗するスローガンです。キャメロンは党首選挙に勝ち、保守党が、昔の労働党のような政策を主張しているのです。このキャメロンはいま40%くらいの支持率だそうです。
つい先日まで「自由主義」「市場経済」とグローバル・スタンダードを唱えていた『フィナンシャルタイムズ』や『エコノミスト』などは、ここ半年くらいの間に転向し、政府が経済過程に関与して、貧しい人たちを救済する福祉政策をとるという修正資本主義・社会民主主義の立場を主張するようになっています。福祉を行うヨーロッパか、福祉を切り捨てるアングロ・サクソンかという対立軸を比較して、福祉を行う政府のほうが犯罪は少なく、皆が将来に対して明るい希望をもって生きられるのでヨーロッパ型の方が望ましいという論調に変わってきているのです。
アメリカでも2年後にはブッシュ政権が終わり、かなり高い確率で民主党政権に移行すると思います。民主党政権は、福祉の拡充に努め、弱者の救済に取り組むでしょう。ヨーロッパも、社会民主主義復活の方向に動いており、フランスでも社会党政権ができる可能性が高まってきています。いまこの流れから外れているのが、日本とオーストラリアです。日本は、石原慎太郎と安倍晋三で共和党路線をとっており、まさに世界から立ち遅れてしまっているのです。
残念なことですが、東京都民は石原というとんでもない人物を英雄にしてしまいました。東京都民のもつ石原幻想をどのように打ち破っていくか、われわれはいま、真剣に考えなければならない。
いまの東京を地方から見れば、「自分のところさえよければよい」という生き方をしています。東京だけが栄え、地方は沈んでいます。少ないパイを奪い合う陳情政治は激化しています。年末、予算編成期に役所や自民党本部や議員会館に行くと自治体の首長や助役などの幹部でいっぱいです。地方からきてホテル代に1万円を払えば、200円はホテル税として東京都に入ります。陳情政治によって、東京都にだけ金がどんどん集まってくるのです。
最近の統計を見ても、東京都があらゆる面で経済指標がよく、2位、3位との差が大きく開きいています。もちろん東京都でも、例えば足立区のように教科書の補助を受けている家庭が40%もいるという二重構造もありますが、内閣府の調査を見ますと、東京都民の場合「よくなった家庭」が1〜2%の差で「悪くなった家庭」よりも多く、ほとんどが「悪くなっている」地方とは違っています。
その調査が正確だとすれば、半数以上の東京都民が現状に満足しているわけですから、都知事は石原のような人間でもよいということになりかねないのです。いかに東京都民の意識を変えるかが課題です。石原のようなブッシュ型の人物をまたも都知事に選ぶようなら、東京は全国民を失望させるでしょう。都政を私物化するような人物に都知事をつづけさせてはいけないのです。
石原を倒して勝てる候補者を出さなければなりません。4月8日は、大きな勝負になるのです。
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