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知りたい:報道各社の内閣支持率 トレンドは「安倍売り」−−数字違っても傾向一緒
報道4社の安倍内閣支持率の推移 <2007・チャンネルYou>
安倍内閣の支持率下落が止まらない。毎日新聞の先週末(27〜28日)の全国世論調査では前回から6ポイント減の40%。「産む機械発言」で揺れる柳沢伯夫厚生労働相問題でさらに追い打ちをかけている状態だ。だが、この支持率の数値、1週間前の読売新聞の調査では48%と高かった。どうして報道各社によって違う数字が出るのか。【田村佳子】
1月のほかの報道機関の内閣支持率を見ると、朝日新聞39%、NHK51%。各社ばらばらの印象だが、まず異なるのは調査時期だ。朝日は読売と同じ20〜21日の調査で、NHKは6〜8日の実施。NHKは、不明朗な政治資金処理の問題が今ほど広がりを見せる前だったため、高い数字が出たと見られる。今行えば、柳沢発言の影響でさらに低下する可能性は高い。
ちなみに各社同じタイミングで行った昨年12月の数字を比較すると、毎日、朝日、NHKが46%、47%、48%でほぼ並ぶ。ただし、読売は56%。それ以前の調査を見ても、読売の支持率は、ほとんど毎回、頭一つ高い。
理由として指摘できるのは、読売は「面接調査」、毎日を含む3社は「電話調査」と調査方法が違うこと。面接と電話では結果に差が出ることは研究者による実証研究でも明らかにされている。
毎日・朝日・NHKの調査では、支持・不支持以外の「関心がない」「分からない」「無回答」の回答が20%前後あるのに読売の「無回答」では10%前後。調査員から面と向かって尋ねられると、あいまいには答えにくいのかもしれない。
世論調査に詳しい埼玉大の松本正生教授(政治学)は「一般に都市部や若者は回収率が低いが、面接だと電話以上に低い。相対的に地方や中高年の回収率が高くなるが、その人たちは自民党支持層と重なるため、面接では支持率が高く出るのでは」と見る。では、電話の方が正確なのかと言えば「どちらが正しく、どちらが間違いと言うのは的外れ」と指摘する。
「世論調査は、社会の傾向を示すものだ。数字の比較は、同じ報道機関の同じ質問の変化を見る時にだけ意味がある。支持率の上下する時期や増減の幅は、各社とも一致しており、世論の傾向や変化をとらえているという点では、どの調査も正しい」というわけだ。
「現代メディアと政治−−劇場社会のジャーナリズムと政治」の著書がある早稲田大の谷藤悦史教授(政治学)は「近年の世論は、主流に擦り寄る傾向が非常に強い。支持率が落ち始め、今は『安倍内閣を評価しないこと』が主流だと人々が見始めると、世論全体がその方向に傾斜して行ってしまう」と分析する。
「安倍は売り」が今のトレンド。とはいえ、かつて小泉純一郎前首相が安倍氏を自民党幹事長に起用し、劇的に支持率を回復させた例もある。きっかけ一つで支持・不支持が急転するのも、最近の世論の特徴だ。
毎日新聞 2007年2月1日 東京夕刊
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