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東京の雨=花谷寿人(社会部)
冷たい雨の中、3万人の市民ランナーが都心を駆け抜けた。第1回東京マラソン(東京都など主催)は大きな混乱もなく終了した。スターターを務めた石原慎太郎知事は「いいお祭りができた。涙が出た。利害、損得を抜いて、いいなあと久々に思った」(産経新聞)と喜んだという。
大会はおおむね成功だったと言えるだろう。だが、「ずいぶんお金もかかっただろうに」と感じながらレースを見つめていた人もいることを忘れないでほしい。
星野ひろしさん(76)は東京空襲犠牲者遺族会の会長。遺族会は平和祈念館や追悼碑など「首都にふさわしい独立した公的施設」の建設を都に求めている。94年、祈念館の基本計画が作られたが、「軍事都市東京」という展示項目をめぐって議会が紛糾した。99年には財政難を理由に凍結され、今も再検討の動きはない。
東京マラソンは「平和の祭典」五輪の開催候補地であることを世界にアピールする格好の機会になったかもしれない。新宿、銀座、浅草、有明……。外国人ランナーも走ったコースには観光名所をそろえた。でも星野さんは「何か大事なものが忘れられているんじゃないか」と思う。
広島、長崎、沖縄は戦争を忘れまいとする場所を自力で残している。東京はその務めを果たしているだろうか。変ぼうし続ける大都会では、62年前の痕跡を探すことさえ難しい。
大空襲で推定10万人が亡くなった3月10日がまもなく訪れる。
その日、東京には焼夷(しょうい)弾の雨が容赦なく降った。
毎日新聞 2007年2月23日 23時59分
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/
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