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http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/seiron/070222/srn070222000.htm
論説【正論】評論家・西尾幹二 日本は米中に厄介で面倒な国になれ
評論家・西尾幹二氏
■拉致解決は日本の核議論の高まりで
≪国際社会は新しい情勢に≫
米国はイラクに対し人的、物的、軍事的に強大なエネルギーを注いだのに、北朝鮮に対しては最初から及び腰で、一貫性がなかった。その結果がついに出た。このたびの6カ国協議で米国は朝鮮半島の全域の「民主化」を放棄する意向を事実上鮮明にした。
中国は台湾に加え朝鮮半島の全域が「民主化」されるなら、自国の体制がもたないことへの恐怖を抱いている。米国は中国の体制護持の動機に同調し、米中握手の時代を本格化させ、日本の安全を日本自身に委ねた。この趨勢(すうせい)にいち早く気づいた台湾には緊張が走り、李登輝氏と馬英九氏が新しい動きをみせたのに、いぜんとして事態の新しさに気がつかないのは日本の政界である。拉致問題でこれ以上つっぱねると日本は孤立するとか、否、拉致についての国際理解はある、などと言い合っているレベルである。
国際社会はイラクの大量破壊兵器開発の証拠がみつからないのに米国がイラクを攻撃したと非難した。一方、北朝鮮は大量破壊兵器を開発し、やったぞと手を叩いて誇大に宣伝さえした。それなのに米国は攻撃しない。それどころか、エネルギー支援をするという。国際社会はこのダブルスタンダードを非難しない。
イラクのフセイン元大統領は処刑され、彼と同程度の国際テロ行為を繰り返した北朝鮮の金正日総書記は、処刑されるどころか、テロ国家の汚名をそそいでもらい、金品を贈与されるという。米大統領はその政策を「良い最初の一歩」と自画自賛した。目茶苦茶なもの言いである。ここまでくるともう大義も道義もなにもない。
≪危うい依頼心を捨てよう≫
私は米国を政治的に非難しているのではなく、もともと目茶苦茶が横行するのが国際政治である。米国に道理を期待し、米国の力に一定の理性があると今まで信じていた日本人の依頼心を早く捨てなさい、さもないと日本は本当に危ういことになりますよ、と訴えているのである。
北朝鮮の核実験の直後に中川昭一自民党政調会長が日本の核武装について論議する必要はある、と説いた。しかし、例によって消極的な反論をマスコミが並べて、国民はあえて座して死を待つ「ことなかれ主義」に流れた。核武装の議論ひとつできない日本人のよどんだ怠惰の空気は米国にも、中国にもしっかり伝わっている。
もしあのとき日本の国内に政府が抑えるのに苦労するほどの嵐のような核武装論が世論の火を燃え立たせていたなら、今回の6カ国協議は様相を変えていたであろう。
もともと6カ国協議の対象国は北朝鮮ではない。米国を含む5カ国が狙っているのは日本の永久非核化であり、国家としての日本の無力化の維持である。日本は6カ国協議という罠にはまっているのである。加えて、イラクで行き詰まった米国は中国に依存し、台湾だけでなく日本を取引の材料にしている可能性がある。日本の軍事力を永久に米国の管理下に置き、経済力は米中両国の利用対象にしよう。その代わり中国は「石油」と「イスラエル」と「ユーロに対するドル防衛」という中東情勢に協力せよ、と。
≪もし核武装論議容認なら≫
世界政治の大きなうねりの中で日本は完全にコケにされている。日本の安全保障は今や米国の眼中にない。自分を主張する日本人の激しい意志だけが米中両国に厄介であり、うっとうしい困難である。日本に面倒なことを言ってもらいたくないから抑えにかかる。好き勝手に操れる人形に日本をしたい。
中川氏の核武装論議発言に対し、ライス国務長官が「日本は米国の核で守られている。心配しないように」と応答し、ブッシュ大統領は「中国が心配している」とどっちの味方か分からない言い方をした。安倍首相はそれに迎合してアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会見場で中川発言を抑止した。しかしもしあのとき、首相が「日本政府は核武装する意志を当面もたないが、与党内の自由な論議を抑えるつもりはない」くらいのことを言っていたならば、局面はかなり変わったろう。
6カ国協議で拉致だけ叫んでいても、バカにされるだけで拉致だって解決しない。米中両国がいやがる日本の自己主張だけが日本を救う。防衛のための武力の主張は今の憲法にも違反はしない。核武装論が日本の国内の王道になれば、米中は態度を変え、北朝鮮を本気で抑えるだろう。さもなければ核国家の北に日本は巨額な資金援助をする耐え難い条件をのまされることになろう。(にしお かんじ)
(2007/02/22 05:25)
[この論文を出した理由…新世紀人コメント]
この論文には、日本人の頑迷性のスタイルが典型的によく表れている。
情勢への深い理解があるにも拘らず、感情的な対応に止まり戦略思考ができない日本人の思考スタイルがよく表れている。
日本人は北朝鮮の政治行動を「厄介で面倒なもの」と"誤解"している。
北朝鮮の政治行動は、そのような低レベルの精神状態にはない。
大変な誤解なのである。
6ヶ国協議の最大の勝利者は金正日政権であると言って良いだろう。
一発の砲撃もすることなく、一兵も動かすことなく、
米国の宥和策を勝ち取ったからである。
要するに、経済開放国家に模様替えをしたいのだが、米国の敵視策が邪魔になっていたのである。
コイズミ政権に声をかけ、日・朝国交回復の動きを図る事により、
「米国をおびき出す事に成功した」のである。
小泉政権が利口であれば、そして日本人が利口であれば、
「拉致を認めた北朝鮮の"誠意"」を理解してそれを重んじ、米・朝宥和の「橋渡し役」を十分に果たしきる事が出来た筈だ。
小泉にはその様な力量は無い。そして米国は"怒った"。それをみて金正日政権は「シメタ」と思ったはずだ。「米国はかかった」と思ったはずだ。
その後は、イラク戦争の推移や北京オリンピックの到来などの国際情勢を睨みながら、国際情勢が自らに有利な環境に在る事を認識しつつ6ヶ国協議の最大の勝利者の地位を勝ち取ったのである。
問題は、「核武装」ではなく、「戦略的政治力量」なのだ。
北朝鮮は核武装をちらつかせて厄介をかけたのではなく、面倒を起こしたのではない。
日本は自分で彼らのそして米国の宣伝に勝手に負けただけの事である。
感情論に終始し、今でもそのレベルから成長していない。
西尾氏の論文では、「核武装をして回りに厄介をかけろ、面倒な国になれ」と言っているのだ。ここでは北朝鮮の最大の武器であるところの「戦略的性政治力量」などは無い。
これでは、「駄々っ子」になる事を言っているだけである。
これでは、皆から嫌われるだけだ。「危ない国」になるだけの事であり、政治の内部に工作を入れられて潰されてしまうだろう。
私が常に、9条を護って現憲法を変えずに護ってゆく事を主張するのは、東アジアの軍拡競争を招かない為である。
日本の様な質量とエネルギーが大きい国が核武装して軍備を拡大すれば、チャイナや朝鮮半島は更に軍備拡大を迫られる事になり、政治対立が深化こそすれ浅くなる事は無い。
従って主権を守る為の最低限の防衛努力に止めて近隣との宥和を外交努力で図る事が日本政治の採るべき道であり、これ以外に無い筈だ。
核兵器への知識は蓄積する必要はあるし研究も必要である。しかし核武装はしてはならない。核武装だけで終わっては、幼児がマシンガンで遊ぶようなものでしかないからだ。
そこでは、兵器論は存在しても軍事学も政治学も存在しない有様である。
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