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2007年03月16日
ミサイル探知のできないイージス艦を米国から買わされている日本
3月16日付の東京新聞に貴重なスクープを見つけた。米軍再編の一環であるミサイル防衛システム強化に協力しろと日本は米国からイージス艦の追加導入を迫られた。その一隻が、15日に海上自衛隊の鶴舞基地に配備された。ところがその新型イージス艦「あたご」に、なんと弾道ミサイルを探知、追尾する能力がないことがわかったというのだ。北朝鮮のミサイル脅威のために導入したはずの追加イージス鑑にその能力がないというのでは、これはもう殆ど冗談だ。
自衛隊海上幕僚長の言い訳がふるっている。「あたご」の建造が決まった2002年段階では、米国は最新式イージスシステムであるベースライン7しか製造していなかった、だからそれを導入するしか選択の余地はなかったというのだ。
これについては若干説明がいる。イージス艦とは通常の戦艦に高度の対空ミサイル防衛システム(イージスシステム)を搭載した戦艦の総称である。戦艦は日本の造船企業が国内で建造するが、イージスシステムは米国から購入することになっている。
これまでわが国が導入してきた4隻のイージス艦は、いずれも、北朝鮮から発射されるミサイルを日本の領海から探知、追尾する能力を持つ従来型システムであるベースライン4もしくは5を搭載している。しかし最新型のベースライン7は近距離の航空機を探知する役割に限定されており、弾道ミサイルの探知能力は付与されていないというのだ。日本としてはベースライン4または5を購入したかったのだが、それが製造されていなかったのでベースライン7を購入するしかなかったというのだ。
とりあえずは従来型のミサイル防衛能力を持つイージス艦「みょうこう」を、「あたご」と一緒に舞鶴基地に配備し、米国のイージスシステム開発状況を見ながら「あたご」へのミサイル防衛能力を付加することを考えていきたいという。なんといういい加減な装備状況であるのか。
一隻のイージス鑑に搭載されるイージスシステムの購入費は数百億円といわれる。一隻のイージス鑑建造費は約1000億円といわれる。当面何の役にも立たないイージス艦の導入のために、こんな巨額の税金が米国と日本の軍需産業に支払われているのだ。しかもこの東京新聞のスクープがなければ、我々はまったく知らされずじまいであったのだ。しかも軍事装備の導入はブラックボックスだ。米国には言い値で売りつけられ、国内軍需産業と防衛省の癒着は談合と天下りの巣窟である。
おりしもシーファー駐日米国大使は14日都内で講演し、日本の負担は少ないと防衛予算の増額を迫った。米国はGDP比で4%であるのに日本は1%に満たない。国民一人当たりの負担は十分の一だと文句を言ったのだ。当たり前である。戦争国家米国と憲法9条を持つ日本は当然予算の使い方が違う。
このシーファー大使の言葉はわが国の将来を如実に物語っている。ただでさえ日本経済は破綻に瀕しているというのに、米軍再編に本格的に協力させられるようになると日本国民の生活は軍事費の負担で押しつぶされてしまう。戦争で人命を落とす前に、日常生活そのものが苦しくなっていくのだ。今は何としてでも憲法9条を変えてはいけないことがわかるであろう。これは右翼も左翼もない。国民が等しく共有すべき目の前の危機なのである。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/03/16/#000298
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