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社説 (2007/2/10)
再編特措法案 アメが露骨すぎないか
米軍の基地や訓練などを受け入れた地元自治体に交付金を支給する米軍再編特措法案が閣議決定された。反対する首長らをカネで懐柔しようとするものだ。「アメ」にしても露骨すぎはしないか。
特措法案は、防衛相が「再編関連特定周辺市町村」を指定し、(1)計画受け入れ(2)環境影響評価の着手(3)施設整備の着工(4)工事完了−の四段階に分けて「再編交付金」を上積みする仕組み。特に、負担の重い市町村には公共事業の国の補助率もかさ上げする。
久間章生防衛相は「痛みを引き受ける自治体にはそれなりのことをしないといけない」と今国会での成立を目指す考えを示した。負担の見返りも必要だろうが、奇妙なのは協力の度合いに応じて支給することだ。“食い逃げ”を防ぐためなのか。
これでは地方の苦しい懐具合を見透かし、段階ごとにカネをやるから政府のいうことを聞け、というのと同じだろう。
国の重要な政策である安全保障の問題とはいえ、こうしたやり方は地方分権の流れにも逆行する。
法案が成立すれば、政府は再編計画の受け入れ状況などを見ながら、対象自治体を選ぶことになる。
焦点の沖縄の普天間飛行場移設問題では、新たにヘリポートを建設する名護市などが支給対象と想定される。しかし、沖縄県も名護市も日米政府が合意した移設案に反対し、計画の修正を求めている。
交付金を「アメ」にして容認させようとしているなら、自治体や住民をないがしろにしていないか。政府と地元で話し合いを続け、解決策を探るのが筋だ。
安倍晋三首相は先の施政方針演説で、在日米軍基地の再編問題について「沖縄など地元の切実な声によく耳を傾ける」と述べた。札束でほおを撫(な)でるようなことをして、本当の「声」を聞けるのか。そもそも、そのカネは税金であることを忘れてもらっては困る。
今回の法案には、沖縄の海兵隊をグアムに移転する日本側負担の一環として、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例をつくり、日本政府の出資を受けた同銀行と民間企業との事業主体がグアムに家族住宅を建設できる仕組みも盛り込まれている。事業主体が民間といっても、資金のもとは交付金と同じ税金だ。
米軍再編にかかる経費は総額三兆円といわれながら、日本政府はまだ具体的な総額も見積もりも明らかにしていない。関連法案を国会に提出したのだから、もう「分からない」では済まされない。
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