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元タレントの「そのまんま東」氏(本名は東国原英夫、以後東氏と記す)が宮崎県知事選に出馬して圧勝。全国的話題となり、中央政界にも衝撃を与えている。
ひそかに彼に注目してきた私は、この結果を歓迎し、今後の彼の活動に期待している。
【勝因の1つは、小泉支持者が無党派に変わったこと】
彼の勝因は、1)変化を求めた選挙環境と、それに対応する彼の2)知事としての適格性にあるといってよい。
夏の参院選を控えて各党はそれなりの努力を重ねている。それにもかかわらず、有権者の既成政治への不満や不信は募り、自民党も民主党も共に失速している。
朝日新聞の世論調査によれば、2005年の「郵政選挙」後に27%であった無党派層が、現在45%に達している。自民と民主の両党の間に巨大な無党派の空洞が生まれ、しかも拡大している。
おそらくこれは、自民党の「小泉支持票」の相当部分が離反し、それを民主党が吸収するにいたっていないことを示しているだろう。
この政治状況は、1992〜1993年に細川新党(日本新党)が大躍進を遂げた当時を想起させる。小選挙区となって、新党ができにくくなったために、無党派層がマグマのように蓄積されるようになった。
こんな政治状況が今回の選挙環境の底流にある。この行き場のないマグマが、知事選などの首長選挙で格好の候補が得られれば、一気に噴出するのだ。
官製談合事件で前知事が逮捕されるという事態も、もちろん東氏の当選を後押しすることになった。しかしこの一件がなくても彼は小差で勝ったかもしれない。それほど現代の政治不信、行政不信は根深い。それは保守王国と言われ岩盤のように固定化した政治構造で知られた宮崎県も例外ではなかった。同じ不祥事で出直した福島県や和歌山県も対応次第では同じ結果が出ただろう。
【地道に政策を勉強、芸能界に応援を頼まず】
また東氏は、この時点での宮崎県の知事として、他を圧する適格性を有していたと言うべきだ。
彼と親交のある俳優の石田純一氏は、彼について「とにかくまじめで堅い人」と証言している。子供のころからの政治への熱意。タレント業の傍ら、大学へ通って政策勉強。そこに気まぐれではない決意が感じられる。80項目にわたる彼のマニフェストは、他候補に勝るものであったという。
多くの若い人があこがれる東京のテレビ業界。あえてそこを去って故郷に帰る。県民は、彼の並々ならない愛郷心の強さを感じただろう。
それに加え、芸能界に応援を頼まず、応援の申し出を断ったことも好感できる。
「改革派知事」や「タレント知事」はもう賞味期限が切れている。それだけでは有権者は動かない。今まで、期待はずれが多かったからだ。だから、タレント出身であることは、東氏の選挙にとってプラスと共にマイナスもあったはずだ。脱タレントに腐心し、共鳴できる政策提案を揚げ、地道な選挙運動を展開したのが奏功した。
【最初が肝心】
さて、多少なりとも選挙や政治の経験のある私から見て、東氏の県政には心配もある。
まず何よりも「最初が肝心」と言いたい。特にマニフェストの内容と人事については決して妥協してはいけない。とりわけ指名競争入札制度の廃止は、全国的な期待感がある。
人事は必要以上に急ぐことはない。間に合わせの人事は、後々の大きな障害になりかねない。中央や地方の行政に精通していないことは決して恥ずかしいことではない。それは「しがらみのない人」の証しとも言える。とにかく自分の主張を実現しやすい体制をじっくり時間をかけて築いてほしい。
県議会との関係は悩ましい。緊張関係は必要だが、いたずらに対立関係を招く必要はない。この点で彼の常識的な性格や姿勢は、プラスに働くと信じる。知事の意地が悪かったり、猜疑(さいぎ)心が強かったりすると、議会との関係がのっぴきならない憎悪に満ちたものになりやすい。
老婆心ながら、ひょっとすると意外なことに苦悩する可能性もある。それは選挙運動を共にした同志。あるいは側近の人たちとの軋轢(あつれき)だ。
東氏は、政党や団体とのしがらみがない。その分、周りの人たちとのしがらみは強い。「自分が当選させてやった」という錯覚に陥りがちな同志は少なくない。その「わがままな同志」の扱いは、政党や団体との関係以上に、本人を悩まし束縛することもある。
これも最初が肝心。知事就任早々に、同志との新しい関係を互いに確認すべきである。
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