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社説 (2007/1/26)
中国が弾道ミサイルで自国の人工衛星を破壊する実験をしたと認めた。背景には米国の宇宙兵器開発への疑心暗鬼がある。説明を求めると同時に宇宙平和利用の論議を深めるきっかけにすべきだ。
実験成功を最初に伝えた米航空宇宙専門誌によると、中国は今月十二日、四川省西昌の衛星発射センター付近から弾道ミサイルを発射し、高度約八百五十キロの宇宙空間で、老朽化した気象衛星を破壊した。
中国政府は実施から十日後に事実を認め、実験は「いかなる国の脅威にもならない」と強調している。
しかし、米政府は中国から事前通告がなかったことを問題にし「宇宙空間の平和利用に関する協力の精神に反する」と批判。実験で生じた多数のデブリ(宇宙ごみ)が他の衛星に損害を与える危険を強調した。
また、日本政府も塩崎恭久官房長官が「宇宙の安全利用、安全保障上の観点から懸念を持たざるをえない」と批判し、中国の王毅駐日大使に抗議し詳しい説明を求めている。
宇宙空間で今回のような衛星破壊実験を行えば、デブリの拡散を招き、携帯電話やカーナビゲーションなど衛星を使う通信網が混乱する危険もはらんでいる。宇宙の軍拡競争を招きかねない。中国は情報を開示し不安を解消する努力をすべきだ。
今回、中国が実験に踏み切った背景には米国や日本が開発を進めているミサイル防衛(MD)システムで自国の大陸間弾道ミサイルが無力化する焦りがあるとみられる。
MDはミサイル攻撃をいち早く察知し、その軌道を予測するため宇宙に偵察衛星を重層的に配備する必要がある。偵察衛星を撃ち落とせばシステムが役に立たなくなる。地球から見て静止状態にある衛星を撃ち落とすことは、それほど先端的な技術とはいえないという。
巨額の費用を投じ開発に着手したMDの泣き所を、今回の実験は暴露した形だ。中国がこの時期に実験を強行したのはジュネーブ軍縮会議に先立ち衛星破壊能力を示し、米国などに宇宙兵器禁止条約の交渉に応じさせる狙いがあるとの見方もある。
しかし、今は六カ国協議で米中が協力して北朝鮮に核放棄を迫るカギとなる時期でもある。自らの国益を優先する強引なやり方は、かえって各国の反発を招き、悪影響のほうが大きい。
今回の実験は宇宙の軍事利用が不毛な軍拡競争と地球規模の危険につながりかねないことをあらためて示した。中国批判に終わることなく、米国など各国が宇宙の平和利用の枠組み強化に取り組む必要がある。
http://www.tokyo-np.co.jp/sha/
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