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誰が何と言おうと今回の6カ国協議の顛末は日本外交の完敗だ。その最大の原因は米国の変節であり、それを読めなかった安倍外交の硬直性にある。しかし米国に裏切られるのはこれで終わりではない。次は米国の対中国・対台湾政策に要注意だ。
2月1日の朝日新聞は、台湾の李登輝前総統が「私は台湾独立を主張したことなない」と従来の立場を百八十度ひっくり返す発言をしたと報じた。1月31日に発売された台湾の大手週刊誌「壱週刊」へのインタビューに答えたという。李登輝前総統はその際、「(台湾がこれ以上)独立を求めることは……米国や大陸(中国)との多くの問題を引き起こして危険」であると言い、また台湾独立派が強硬に反対する「中国資本の台湾投資や中国人観光客の台湾訪問の開放」も「必要だ」と主張したという。そして訪中に意欲さえみせたのだ。李登輝氏は、中東問題に忙殺される米国が極東問題は中国に任せると判断したことを察知したに違いない。その上での戦略転換なのだ。
米国の対中政策の変化は日本の安全保障政策の根幹に影響を与えずにはおかない。いうまでもなく、「対米テロ」と並んで政府や外務・防衛官僚が強調するわが国への脅威は、「台湾海峡への中国の軍事介入」である。台湾が独立を強行すれば中国は軍事介入する。その時、米国が台湾を守って戦うことになれば、日本は何もしないでは済まされない。台湾有事に対応せざるを得ない、というロジックで、歴代の日本政府は改憲と集団自衛権の行使を主張してきた。今、その論理が根底から覆ろうとしているのだ。台湾有事は米中の急接近によって、遠のきつつあるのだ。
米・ソ連の全世界的冷戦対立が過去の遺物になって久しい。今や中国が米国の最大の競争相手として台頭してきた。そして米国は、その中国を単純な敵と見なすのではなく、油断できないステークホルダー(利害共有国)として細心の外交配慮を払いつつある。米国は台湾問題で中国と事を構える気はもはやない。
もちろん米国はそのような政策変更を日本に向かっては言わない。それどころか中国の脅威をたえず強調し、台湾有事の危険性を説く。「日米同盟は永久に不滅だ」と繰り返す政府、外務省は、いい加減に目を覚ますべきだ。(隔週月曜掲載)
「日刊ゲンダイ」2/20
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