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冤罪で服役 なぜウソを自供したか
富山県の男性が無実の罪で服役していた。自白偏重の捜査の欠陥を絵に描いたような事例である。司法制度改革が進んでいるが、国民の人権を守るためのしっかりした制度の裏打ちが必要である。
男性は二〇〇二年四月、富山県警に逮捕され、富山地検が強姦(ごうかん)、同未遂罪で起訴、富山地裁高岡支部で懲役三年の実刑が確定した。〇五年一月の仮出所後、真犯人が現れ、冤罪(えんざい)と分かった。
男性は「犯行」を自供したが、現場の足跡が一致せず、自宅の電話通話記録でアリバイも成立する。警察と検察、裁判所もそれに目をつむったり、疑いを持たなかった。
一九九九年二月、愛媛県でも男性が知人の貯金通帳と印鑑を盗み、現金を引き出したと、同県警に逮捕され、松山地検が起訴した。だが判決直前に無実と分かり、釈放された。この男性も捜査段階では、「犯行」を自供している。
いずれも、自白偏重と客観的証拠無視の捜査が原因である。中でも重大なのは、取り調べの中で容疑者がなぜ、やってもいない犯罪のウソの自白をしたか、である。
富山の男性は沈黙している。一方愛媛の男性は、「警察官が机をたたき、自供しないと罪が重くなり、周囲に迷惑がかかると自白を強要した」と言う。もちろん当局側は、自白の強要を否定している。
一般国民には警察や検察の取調室は密室で、その中のやりとりはわからない。しかし長年刑事裁判官を務めた渡部保夫氏は、極刑になる犯罪でも容疑者が容易にウソの自供をする可能性、実例を挙げる。
肉体的な拷問はなくても、孤立無援の密室内で、複数の取調官から長時間追及されると、疲労や緊張からの逃避、取調官への迎合など異常な心理に陥り、ウソの筋書きを作る、という仕組みである。
富山地検は男性の再審を請求したが、富山、愛媛とも関係者の処分はなく、釈然としない。最小限、捜査とくに容疑者の取り調べの過程を公正に追跡、検証して、重大な誤りを生んだ原因を究明し、当事者に反省を迫るべきだ。
ウソの自白根絶の最大の保証は、取り調べの経過を透明にすることである。検察だけでなく、警察も取り調べの録画、録音など、自白の強要はないことを明らかにする工夫をすべきだ。
創設される裁判員制度の裁判員の負担軽減のため、公判期間の短縮、公判前整理手続き導入などが図られているが、自白の任意性、信用性が軽視されては大変である。そのためにも、取り調べの透明化は不可欠だ。
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