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イラク米軍増派と日米同盟(日経 プロの視点)【陸自よイラクに戻ってこい】
http://www.asyura2.com/07/senkyo30/msg/108.html
投稿者 ドキッ!プロ奴隷だらけの水泳大会 日時 2007 年 1 月 24 日 11:07:31: hSNyXCkDoAhxY
 

春原剛 編集委員

http://www.nikkei.co.jp/neteye5/sunohara/20070120n9a1k000_20.html

今月10日夜、ブッシュ米大統領は全米に向けてテレビ演説し、治安悪化に歯止
めがかからないイラクの安定化に向け、約2万2000人に相当する米軍部隊の一時
的な増派を宣言した。

「誤りの責任は私にある」――。これまでイラクへの開戦を含め、自らの政策に
誤りはないという立場を貫いていた大統領はそう述べ、米国民に謝罪。その上で
「イラクでの戦略を変える必要があるのは明らかだ」と強調し、従来政策からの
転換を認めた。

撤収ムードから一転

米国防総省によると、イラクに現在駐留している米軍は約13万2000人。これに
加え、首都・バグダッドの治安回復を目的に陸軍5個旅団約1万8000 人と国際
テロ組織アルカイダ系武装組織の拠点と目されるアンバル州に海兵隊2個大隊約
4000人の合計2万2000人を増派。これにより、イラクに駐留する米軍は約15万
4000人と過去最大規模となる。

「第二のベトナム」とまで言われるイラク情勢を巡っては、父ブッシュ大統領
の盟友、ベーカー元国務長官(共和党)とクリントン政権の重鎮、ペリー元国防
長官らで構成する超党派の「イラク研究グループ(ISG)」が昨年12月6日、
イラク駐留米軍の戦闘部隊を2008年3月までを目標に撤収させることを骨子とす
る提言書を発表。大統領も「すべての提案を真剣に考慮したい」と表明するなど、
一時的には撤収ムードが強まった。

にもかかわらず、なぜ、ブッシュ大統領は国内外の批判を覚悟で増派に踏み
切ったのだろうか。

悪夢のシナリオを未然に防ぐには

ワシントンの専門家の間で今、最も懸念されている悪夢のシナリオがある。彼
らによれば、それは(1)イラク国内のシーア派とスンニ派の争いが本格的な内戦
に発展、(2)やがて、宗教戦争の様相を濃くしながら、ヨルダン、シリア、サウ
ジアラビアなど周辺各国にも飛び火、(3)最終的には湾岸産油国を巻き込み、中
東全域が政情不安に陥る――というものだ。

それを未然に防ぐためのステップは三つある。第1段階として、国内の批判を
覚悟で米軍を増派してイラク国内の治安を改善し、イラク新政府の自立を支援す
る。第2段階としては、「内戦の輸出」といった悪夢のような事態を回避するた
め、国連などを通じて国際社会に協力を求める。第3段階として、新たに多国籍
軍のようなものを再編成してイラクの国境警備を強化することで、イラク国内か
らの宗教過激派の第三国への移転や、アルカイダなど無国籍テロ集団のイラク国
内への流入を防ぐ。

ブッシュ政権は発足当初から国連を軽視し、単独主義行動(ユニラテラリズ
ム)を強く意識した外交・安保政策を志向してきた。だが、ここまで悪化したイ
ラク情勢について、もはや米国だけで事態を改善、あるいは問題を解決できると
考えている人間はワシントンに一人もいない。

とはいっても、従来のように「唯我独尊」のスタイルをブッシュ大統領が貫い
ていては各国からの協力はおろか、支持を得ることもおぼつかない。ブッシュ大
統領がそれまでの姿勢を180度改め、「誤りの責任は私にある」と公言した背景
には、こうした将来ステップへの環境を整備する狙いが込められている。

政権人事と「謝罪」の持つ意味

イラクを巡っては、日本の自衛隊がすでにサマワから撤退したほか、英国もイ
ラク南部に駐留している約7200人の部隊を段階的に撤収させる方針を固めるなど、
これまで米国に協力してきた各国ですら腰を引いているのが現状だ。

こうした傾向を逆転させ、イラクの治安改善のための「多国籍軍」を改めて編
成するのは並大抵のことでは実現できない。

それを実現するための第一歩として、ブッシュ大統領は政権人事で態勢固めを
進めた。

そもそも、イラク情勢がここまで悪化した背景には、「米軍変革(トランスフ
ォーメーション)」を標榜し、少数精鋭の部隊でイラク問題は乗り切れると主張
したラムズフェルド前国防長官の見込み違いがあった。大統領自身、この点につ
いては「首都バグダッドの治安を回復する過去の取り組みはイラク、米軍双方の
部隊が十分でなかったため失敗に終わった」と指摘している。

そのラムズフェルド長官が政権を去り、外交現実派のゲーツ新国防長官が就任。
さらにこれまで空席だった国務副長官に有能な官吏として知られるネグロポンテ
国家情報長官を横滑りさせ、国連大使には駐イラク大使だったハリルザッド氏を
充てた。

一連の人事は第2段階で必要となる国連外交→関係各国への説得外交→多国籍
軍編成、という流れを作るのに必要不可欠なものと言える。これに加え、これま
で滅多なことでは自説を曲げなかった大統領自身の「謝罪」と、米軍の一時的な
増派をミックスさせることで、米国はイラク情勢の改善に向けた「下準備」をよ
うやく終えたのである。

大統領選挙までには

ISGの提言書は「無期限に大規模な米軍をイラクに駐留させるべきではな
い」と主張。そのための具体策として、米軍の任務を従来の「戦闘」から、イラ
ク軍の育成・支援に移すよう勧告した。そのうえで、「2008年第1四半期まで」
をメドに米戦闘部隊をイラクから段階的に引き揚げることができると強調してい
る。

米国ではまもなく4年に一度の大統領選挙に向けて熱気が高まっていく。民主、
共和両党とも「大本命」が不在の中、両党の有力候補や党幹部の本音は「イラク
問題に振り回されたくない」ということである。ISGの言う「2008年の第一四
半期」とは言うまでもなく、両党の大統領指名候補を決める党大会前に「イラク
問題に何らかのけじめを付けてほしい」という両党共通のメッセージにほかなら
ない。

その命題を背負ったブッシュ大統領は今後、米国の「最高政治指導者」として、
何としてもその要請に答えなければならないのである。

陸上自衛隊を「もう一度、イラクに」

日本にとって気になるのは、米専門家が口をそろえる第3段階、すなわち多国
籍軍方式でのイラク国境警備の強化という新しいミッションにどこまで加担する
かという点である。

小泉純一郎前首相の路線を引き継ぎ、対米重視の姿勢を鮮明にしている安倍政
権へのブッシュ政権の期待は大きい。それだけに、一度はイラクから無傷で引き
上げることができた陸上自衛隊を「もう一度、イラクに」と米国に依頼される可
能性は高い。

折りしも2月20日前後にはブッシュ大統領の片腕的存在であるチェイニー副大
統領が急遽来日する。安倍首相が5月の連休まで訪米しないことから、「首脳レ
ベルでの交流に空白期間を設けないため」というのが表向きの説明だが、それだ
けの理由で副大統領自ら来日することは不自然である。

「いま後退すればイラク政府の崩壊を招く。そうしたシナリオでは、米軍はイラ
クにさらに長い期間、駐留せざるを得なくなる」

全米へのテレビ演説でそう述べ、米軍の早期撤収論を退けたブッシュ大統領。
その意向を受けたチェイニー副大統領は果たして、そのポケットの内側にどのよ
うなメッセージを携えて来るのだろうか……。

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