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東濃東部2市の産科医師不足を受け、中津川市は臨時に「里帰り出産」の市民病院での受け入れを5月以降制限することを決めた。恵那市の開業産婦人科医院が4月限りで診療を休止することを受け、この地域から“お産難民”を出さないための窮余の策。産科医師の確保を急ぐとともに、緊急事態への理解を求めている。
恵那、中津川両市はここ数年、3医療機関で4人の産科医師が年間約1000件のお産を取り扱ってきた。中津川市民病院ではこのうち2人の産科医師を擁して昨年度は450件を扱い、本年度は500件を超す勢い。そこで、恵那市の開業医師が診療休止すると、900件前後を2人の医師で扱う緊急事態が予測されている。
医師の勤務状況のさらなる悪化はお産のリスクを高め、医師が倒れるケースも予測されるため取扱件数の制限が必要になる。しかし、単純に人数を制限すると、地元でお産できない「お産難民」を生み出す可能性があるため、「里帰り出産」制限の策を選んだ。
市の広報やホームページに掲載したところ、不満の声も寄せられているが、地域の産科事情を説明して理解を求めている。
医師不足の背景として、臨床研修医制度により新人医師が都市部に集中することや、リスクの高い産婦人科を志望する人が減ったことがあるとみられる。同市民病院では「出産の機会の里帰りを楽しみにする親御さんの気持ち、中津川に愛着を持ってもらう機会を逸することは痛いほど分かるが、それ以前の瀬戸際にある。解除に向けて第一条件の医師の確保に手を尽くしたい」としている。
(山本哲正)
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