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□【社説】タブーなき安全保障論議を 集団的自衛権『行使』を決断せよ [読売新聞]
▽「タブーなき安全保障論議を 集団的自衛権『行使』を決断せよ」(前半)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070101ig90.htm
1月1日付・読売社説(前半)
「タブーなき安全保障論議を 集団的自衛権『行使』を決断せよ」(前半)
◆「北」の核は容認できぬ
日本は、ならずもの国家の核と共存することになるのか。この安全保障環境の激変にどう対応すべきか。厳しい状況が続く中で新年を迎えた。
国際社会は長い間、北朝鮮に欺かれてきた。1994年のカーター訪朝による核放棄合意の後も、北朝鮮は、国際社会のエネルギー支援を受けながら、密(ひそ)かに核開発を続けていた。
この3年半の6か国協議も、結果的には、核実験への時間稼ぎをさせることにしかならなかった。昨年暮れの協議でも実質的な進展はまったくなかった。先行き、ほんとうに北朝鮮に核を廃棄させることが出来るのか――。依然、なんの見通しも立っていない。
6か国協議が空転を続けるのは、北朝鮮の核に対する日本と他の4か国との脅威感に違いがあるせいではないか。日本からは、そのようにも見える。
米国、中国、ロシアの3国は、北の核に対する圧倒的な核報復能力、つまり核抑止力を保持している。軍事的には、日本が置かれている状況ほどの深刻な脅威ではない。
韓国の盧武鉉政権は、「同じ民族の核」に対して、融和路線を優先しているかのような姿勢が目立つ。
このまま、ずるずると、北朝鮮の核保有が既成事実化する恐れもある。日本はどうすべきなのか。
日本が、国を挙げて核武装しようとすれば、さほど難しいことではない。
日本は世界第一級水準の科学技術力を有している。3〜5年で可能ともいわれる。数トンの人工衛星を打ち上げられるだけの宇宙ロケット技術の蓄積もある。
しかし、現在の国際環境の下で、日本が核保有するという選択肢は、現実的ではない。
日本の核開発宣言は、すでにインド、パキスタンの核保有などにより綻(ほころ)びているNPT(核拡散防止条約)体制の崩壊を決定的にする。
イランはじめ中東、さらには世界中に核保有国が出現するきわめて不安定な国際社会になりかねない。安定的な国際通商に依存する日本の経済基盤も脆弱(ぜいじゃく)化することになる。
核保有が選択肢にならないとすれば、現実的には、米国の核の傘に依存するしかない。
◆核の傘は機能するか
問題は、核の傘が確かに機能するかどうかである。機能させるには、絶えず、日米同盟関係の信頼性を揺るぎないものに維持する努力が要る。
同盟の実効性、危機対応能力を強化するため、日本も十分な責任を果たせるよう、集団的自衛権を「行使」できるようにすることが肝要だ。
政府がこれまでの憲法解釈を変更すればいいだけのことだ。安倍首相は、決断すべきである。
◆鍵を握る中国の影響力
それ以前に、当面の最優先事は、北朝鮮に核を廃棄させることだ。北朝鮮への決定的な影響力を有するのは、中国である。中国が北朝鮮への石油、食料供給を停止すれば、北朝鮮の現体制は、たちまち崩壊の危機に瀕(ひん)するだろう。
その中国にどう動いてもらうか。中国との綿密な対話が必要となる。安倍首相のいう「戦略的互恵関係」をさまざまな次元で推進しなくてはなるまい。
他方で、日本自身が、通常兵器の範囲にしろ、総合的な抑止力の強化に努めることが重要だ。
ミサイル防衛(MD)システムの導入前倒し・拡充は当然だろう。たとえ撃墜率100%ではなくとも、システムの保有自体が一定の抑止力となる。敵基地攻撃能力の保有問題も、一定の抑止力という観点から、本格的に議論すべきだ。
また、非核3原則のうち「持ち込ませず」については議論し直してもいいだろう。東西冷戦時代、寄港する米艦艇の核搭載は、いわば“暗黙の常識”で、非核2〜2・5原則と議論を呼んだ。
核保有が現実的でないとしても、核論議そのものまで封印してはならない。議論もするなというのは、思考停止せよと言うに等しい。
(2007年1月1日1時39分読売新聞)
▽「タブーなき安全保障論議を 集団的自衛権『行使』を決断せよ」(後半)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070101ig91.htm
1月1日付・読売社説(後半)
「タブーなき安全保障論議を 集団的自衛権『行使』を決断せよ」(後半)
◆前提となる財政基盤
安全保障態勢の整備は、国家としての最も基本的な存立要件の一つだが、それを支えるには、経済・財政基盤もしっかりしていなくてはならない。
だが、それについては、なんの不安もないと言うわけにはいかない。
かねて指摘されているように、国、地方を合わせて770兆円以上の長期債務を抱えている。国内総生産(GDP)の1・5倍に相当する。このうち国の債務は600兆円近い。先進諸国でこれほど財政状況の悪い国はない。
安倍首相は「経済成長なくして財政再建なし」という。一面ではその通りである。しかし、いわゆる「上げ潮」戦略が、年4%の名目成長を18年間続ければGDPが1000兆円になる、といった想定をしているのは、非現実的である。
まず、景気循環的な山や谷の存在という当たり前の経験則を無視している。世界経済の動向、とりわけ米国の景気や、中国の投資過剰の行方などにも、大きく影響される。
名目成長が伸びれば長期金利も上昇するだろう。
仮に長期金利が1%上がれば、国債費は1・6兆円の利払い増、次年度には2・8兆円、3年度目には4兆円の利払い増になるとの試算がある。3%上昇だと4・7兆円、8・6兆円、12・5兆円と雪だるま式に膨らむことになる。
実際、80年代後半には、長期金利が4〜6%台で推移する中で、国債費のうち利払い費が95%以上を占めた時期があった。長期金利は、バブル末期の90年代初めには8%を超えていた。
高齢化社会の進行に伴い毎年1兆円にのぼる社会保障費自然増という財政上の重圧もある。
◆消費税増は不可避だ
「07年問題」と言われ続けて、とうとうその年になった。1947〜49年生まれ、いわゆる団塊の世代の大量退職が始まる。これが日本経済にどのような影響をもたらすかについては、悲観論、楽観論、いろいろあるが、ともあれ、社会の高齢化が一段と加速する。
反面で、50年後の合計特殊出生率推計値は1・26と、5年前の推計値1・39よりさらに低下した。このままでは、いずれ、年金をはじめとする現行の社会保障制度は持続困難となる。
財政全体として、高齢者を含め全世代が広く薄く負担を分かち合う消費税の税率引き上げは避けられない。欧州連合(EU)諸国の消費税(付加価値税)率は、15〜25%である。
与党は、消費税論議は秋から開始というが、事実上、参院選を意識しての先送りだ。EU諸国並みに、生鮮食品はじめ、教育・文化用品を含む生活必需品など軽減税率の適用対象を仕分けしたり、周知期間を置く必要があることを考慮すれば、それではとても09年度の導入には間に合わない。
より早い議論開始・導入の決断を急ぐべきである。
ただ、平均寿命が今後も延びるとしても、少子化傾向に歯止めをかけ、反転させることは、国家的な取り組み次第で可能である。
フランスの例がある。日本の4倍も手厚い児童手当・家族給付を支給し続けたのを始め、税制上の優遇措置、育児支援の拡充等々で、人口増減の分岐点である合計特殊出生率2・1を展望できるところまでこぎつけている。
日本も、児童手当を5000円から1万円にするといった程度のバラマキ感覚を超えて、スケールの大きい少子化対策体系の構築を決断すべき時である。
そのためには財政負担が増す。だが、それは、「国家百年の計」のための必要経費だ。
(2007年1月1日1時39分読売新聞)
▽関連記事
閉じられるアメリカの核の傘 [田中宇の国際ニュース解説]
http://www.asyura2.com/07/war87/msg/596.html
投稿者 white 日時 2007 年 1 月 04 日 11:38:00: QYBiAyr6jr5Ac
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