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http://www.asahi.com/national/update/0103/TKY200701030325.html
羽田空港の再拡張工事をめぐり、大手ゼネコン「鹿島」(東京都港区)と「大成建設」(新宿区)が、05年3月の入札の前に、共同企業体(JV)を一本化するなど受注調整をしたうえで、建設各社を巻き込んだ主導権争いを展開していたと、複数の受注会社幹部が朝日新聞に証言した。鹿島が代表になって入札することで決着したが、総額6000億円近い事業をこのJVが予定価格の99.8%で落札しており、不明朗な受注実態が浮かび上がった。
この工事では、ゼネコン業界が、別工法で挑んだ造船業界の入札参加阻止をめざして工作し、造船業界が入札を断念したことが既に判明している。一連の事前調整は独占禁止法に触れる可能性もある。
受注調整があったとされるのは、羽田沖に4本目の滑走路を新設する工事。受注したマリコン(海洋土木会社)やゼネコン関係者らによると、同空港の工事を多く手がけてきた大成建設など数社の幹部らが04年ごろ、仕切り役として受注調整に乗り出し、鹿島など各社とJVを一本化することに決めたという。
あるゼネコン役員はそのころ、仕切り役の一人から「余分なJVの参加は認めない」と言われた。「逆らうと、わが社の落札予定の別工事を邪魔されるので、従った」と話す。マリコン幹部は「一本化されるJVのメンバーから漏れたマリコンは、下請けに回すことになった」と振り返る。
しかし、大成建設に利益が多く配分される調整方法などをめぐり、意見が対立。大成建設関係者らによると、両社が多数派工作をした結果、鹿島に同調する社が増えた。同年中に両社の直接交渉で、鹿島がJVの代表となり、大成がその下に入ることで合意した。その後は鹿島が中心となり、JVの枠組みや工区の割り振りを決めたという。
受注会社の幹部は「大成中心の仕切りに、うちも『だめだ』と言って対立し、鹿島と組んだ。大成は最後には『名前だけでもJVの頭にしてくれ』と言っていた」と証言。両社の主導権争いの激しさを明らかにした。
別の受注会社関係者も受注調整があったことを認め、「何とか受注メンバーに入れてほしかった。大成より鹿島が優勢とみて鹿島につくことを決めた」と話した。
一方、この工事をめぐり、ゼネコン同士の対立の前にゼネコン業界と造船業界の争いがあった。巨大な鉄製構造物を浮かべる工法の造船側と、埋め立てと桟橋を組み合わせる工法のゼネコン側が競合。最後は、ゼネコン側が造船業界とのJV結成を拒み、入札断念に追い込んだとされる。
05年の入札では、鹿島を筆頭とする15社のJVだけが入札に参加、5985億円で請け負った。
朝日新聞の取材に、国土交通省関東地方整備局は「受注調整の情報はない。発注については第三者委員会の提言を受けつつ一切をオープンにやっている」と回答。鹿島と大成建設の各広報室は「(JVの)代表者は、各構成員の総意により決定された」と説明した。
■「独禁法違反の恐れ」公取委元幹部
空港拡張工事でゼネコン業界が入札前の調整でJVを一本化させた行為などについて、公正取引委員会元幹部は「その事実通りならば、独占禁止法違反になる可能性がある」と指摘。工事規模などにかかわらず、不当に取引を制限したとして、入札談合になる恐れがある、と語った。
また、ゼネコン業界が造船業界とJVを組まないよう業界各社に働きかけたとされる行為も、独禁法上の不公正な取引方法にあたる可能性があると指摘した。
一方、談合問題に詳しい郷原信郎・桐蔭横浜大学法科大学院教授は、「入札制度そのものの限界を示した」と見る。約6000億円もの巨大プロジェクトを一括発注したことで、「実質的な随意契約となってしまった」と言う。1JVのみの応札となったことについては、「これほど大規模の発注では、価格競争が成り立たないことを示したケースとも言える」と話した。
この入札から約9カ月後の05年12月、大成建設や鹿島を含むゼネコン大手4社は、今後、民間からの受注を含む工事の談合を一切行わないことを申し合わせている。
◇
〈キーワード:羽田空港の再拡張事業〉 空港沖合に4本目の滑走路を建設し、年間の発着能力を現在の1.4倍にする計画。工事は港湾土木、浚渫(しゅんせつ)など5業種に及び、各業種がJVを構成し、国交省が事業全体を一括発注した。着工は06年春に予定されていたが、漁業補償の交渉が長引き、現在も着工されていない。
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