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年のはじめに考える 新しい人間中心主義(東京新聞社説)
http://www.asyura2.com/07/senkyo29/msg/593.html
投稿者 下戸彩 日時 2007 年 1 月 01 日 23:42:37: yZ.kO/yAkn3xw
 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20070101/col_____sha_____001.shtml

 「戦後最長の景気拡大」と「企業空前の高収益」がよそごとのような年明けです。この国は未来を取り戻さなければなりません。新しい人間中心主義によってです。

 ことし満六十歳。順次、定年を迎える団塊世代六百八十万人の第一陣に属する身として、昨年暮れに発表された「東大生の学生生活実態調査」の囲み記事を興味深く、また、多少の同情をこめて読みました。

 東大生といえば同世代の中の「勝ち組」で、社会に出るにも最も恵まれた立場にある若者たちでしょう。

 その東大生でさえ七割が就職に不安を感じ、三割近くが「自分がニートやフリーターになるかもしれない」と回答していたからです。

■若者には未来がある

 人はだれも未来に一抹の不安を抱くものでしょうが、東大生たちの回答には怯(ひる)みが感じられます。徹底した市場原理主義と競争社会が緊張を強いるのでしょう。

 それに比べ、団塊の世代が社会に出るころは幸せな時代でした。高度経済成長のただなかで、明日は今日より豊かだという確かな未来がありました。

 企業組織にあって、「努力」や「勤勉」「律義」や「誠実」は、なお大切な徳目で、何より労働は喜びであったり、自己表現であったり、生を充実させるものでもありました。

 若者をめぐる境遇は、いま、一変しています。

 バブル崩壊後の長く絶望的な不況からの脱出のためにはそれしか方法がなかったのかどうか。

 企業の大幅な人件費の削減と組織の中核を形成する社員以外は非正社員化することを打ち出した「新時代の日本的経営」(一九九五年・旧日経連報告書)。それに直撃されたのが、団塊ジュニアともいえるべき世代でした。

 企業にとって、パートやアルバイト、派遣労働などの非正規雇用は、安価で、必要な時に必要な量だけ調達できるこのうえなく効率的なものでした。打ち切りも容易で、非正規雇用は一気に広がっていきますが、ことに不遇だったのは、永く厚い就職氷河期下にあった若者でした。

 二〇〇五年現在で、十五−三十四歳の男女でパート、アルバイト労働に従事すると定義されるフリーターは二百一万人を数えます。平均年収は百四十万円です。

■国の基盤が壊れてしまう

 七割が正社員を希望しながら脱出できず年長フリーターとなっていきます。結婚し、子供をもち、家庭を築きたい、というごく当たり前の願いが叶(かな)いません。そんな国に未来はあるのでしょうか。

 小泉前政権で加速された市場原理主義と新自由主義による構造改革で貧富と格差はさらに拡大しました。

 働く者の三人に一人、千六百万人までになった非正規雇用。生活保護受給はかつての六十万世帯から百五万世帯に、その生活保護世帯よりさらに所得の低いワーキングプア層まで生まれてきました。

 景気は「いざなぎ」を超えて五十九カ月連続の拡大、東証一部上場企業はこの三月期には四年連続で過去最高益を達成する見込みですが、企業に、収益を雇用や賃金に振り向けようとする動きはみられません。

 企業間競争のグローバル化、高コスト体質に逆戻りすることを恐れるからなのだそうですが、すでに出生率は一・二六まで低下しています。産みたくても産めない社会では、一企業の消長どころではなく、国の基盤そのものが壊れてしまいます。早急に立て直しが必要です。

 国の財政配分は再建のカギのひとつですが、「雇用政策費」も「教育費」も医療・年金などの「社会保障給付費」のいずれも対GDP(国内総生産)比支出は先進国中の最下位グループです。いかに道路、河川、ダムなどの公共事業中心だったか。

 財政事情は厳しく有限です。公正な配分や負担がどうあるべきか、徹底した議論が必要でしょう。

 が、若い世代が希望をもてない国に未来があるとは思えません。

 行き過ぎの市場原理主義に否定されてしまった人間性が復活し、資本やカネでなく新しいヒューマニズムが息づく社会−そんな選択であるべきです。

■受け継がれる格差

 格差はいまや世代を超えて引き継がれ、固定化しつつある、というのが社会学者たちの報告です。

 確かに政界では、安倍晋三首相も小泉純一郎前首相も、自民党の有力議員の多くが二世、三世議員です。生まれながらにして統治権力の側に就くことが約束されているかのような新階級の出現にさえみえます。

 勝ち組世襲議員に敗者の現実がみえ、心情が理解できるかどうか。

 悲願の改定教育基本法を成立させた安倍政権の次なる目標が改憲ですが、そこに盛り込まれている権力拘束規範から国民の行動拘束規範への転換こそ、勝ち組世襲集団の発想に思えるのです。

 国民の内にある庶民感覚と感情のずれ。改憲に簡単にうなずけない理由のひとつです。

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