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社説(2006年12月31日朝刊)
[06年を振り返る]
転換期に向き合ってこそ
重要な局面迎えた沖縄
後世から振り返れば、二〇〇六年は大きな歴史的な転換点だったと評価されることになるかもしれない。さまざまな分野で転機の予兆が表れた一年だった。沖縄も例外ではない。
日本漢字能力検定協会は、〇六年の世相を象徴する漢字として「命」を選んだ。いじめによる自殺や虐待、飲酒運転事故など痛ましい事件が相次ぎ、「一つしかない命の重み、大切さを痛感した」のが理由という。
ランク上位に入った漢字を見てみると、「生」「子」「殺」「心」「絆」「死」「悲」「虐」など、命という言葉の語感に類似した漢字が並んだ。
景気回復が続いてもその実感は乏しい。低成長下で活気を伴う明るさがよみがえってこない。将来の見通しも開けず、不透明感が払しょくできない。
こうした世相下で命の尊さがひときわ身にしみて感じられたのだろうか。
本紙が選んだ県内十大ニュース、共同通信社の国内・国際十大ニュースを見ると、この一年を象徴する数々の重要ニュースが並んでいる。
県内では、前県商工会議所連合会会長、仲井真弘多氏の県知事選での当選が一位だった。その政治的意義は看過できず、沖縄の保守化を印象付ける。
復帰後、県知事選では保革が二期八年ごとに入れ替わってきた。「県民のバランス感覚」とも評されてきたが、そのバランス感覚が初めて崩れた。
日米両国は今年五月、米軍再編の最終報告書を発表し、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設や、在沖米海兵隊員八千人のグアム移転、嘉手納以南の六米軍基地の返還などを打ち出した。
政府の閣議決定で稲嶺県政が固守してきた代替施設の「軍民共用」「十五年使用期限」が白紙に戻された。
仲井真氏は経済振興を中心に訴え、普天間飛行場の危険性を除去するため「三年内の閉鎖状態」を公約。頭越しの日米合意を批判し、現行案では賛成できないと主張してきた。
今月の代替施設協議会で本格論議は先送りされた。防衛庁は政府案修正について検討に入り、県側は「代替施設容認」へとかじを取り始めている。
歴史に刻まれる判断に
本紙、朝日新聞社の世論調査では県民のほぼ72%(昨年十一月)が沿岸案に反対し、69%(今年五月)はV字形案に反対していた。県民は経済問題も重視している。二者択一の問題ではなく、いずれも重視しているのだ。
沖縄は転換期を迎えた。新知事が修正協議で合意すれば、県が新基地の建設を容認する歴史的な判断になる。
将来を含め沖縄で生きる人々にとって県内移設が現実的な選択と言えるのか。経済のグローバル化が進む中、逆に国依存を高め、抜き差しならぬ事態を将来迎えるのではないか。歴史を振り返り熟考しなくてはならない。
今年九月、戦後生まれの安倍晋三首相が率いる安倍内閣が登場した。「美しい国」づくりの名の下で、任期中の憲法改正を目指している。
与党の郵政選挙で確保した圧倒的な数の優位を背景に改正教育基本法を成立させ、防衛庁の省昇格を実現した。
国家主義的なタカ派と評される安倍首相は「戦後体制からの新たな船出」を強調し、戦後体制からの転換を目指す法改正などが着々と進んでいる。
今後、日米安保体制が強化され、米軍再編で在米軍と自衛隊の一体化がさらに進むことになる。戦後政治も大きな転換点に差し掛かった。一連の安全保障政策が沖縄の基地固定化を大前提にしているのは間違いない。
諦観で未来は開けない
米中間選挙で共和党が大敗し、ブッシュ大統領は米軍再編を推進したラムズフェルド国防長官を解任した。超党派のグループがイラク政策の変更を強く迫っている。米9・11テロから六年目に入り、米国も転機を迎えた。
米外交や安倍首相の公約は沖縄の今後を左右する。米国に変化の兆しが見え始めた一方、日本の対米追随の姿勢だけが取り残された印象は否めない。
県民は一貫して沖縄の現状変更を求め、基地縮小を訴えてきたが、日米の恣意的な圧力の前で負担を強いられてきた。諦観しているだけでは沖縄の未来を開いていくことは困難になるばかりだ。どのような状況下であれ、したたかに訴え続けていくしかないのだ。
日々の暮らしや目先の経済に目を奪われるだけでは足をすくわれ、将来の利益を損なう。「命」の尊さは沖縄も同じ。大きな転換期に真正面から向き合い、熟考を重ねていく必要がある。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20061231.html#no_1
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