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□銀行の政治献金自粛 安倍首相のパフォーマンス [J-CASTニュース]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2915693/detail
銀行の政治献金自粛 安倍首相のパフォーマンス
大手銀が政治献金の再開を検討していた問題で、安倍晋三首相は06年12月19日、自民党の銀行からの献金受け取り自粛を決めた。年内再開を目指していた三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほフィナンシャルグループにとって、寝耳に水の出来事。安倍首相は銀行が法人税を納めていない現状では国民の理解を得られないことを理由に挙げており、少なくとも3年間は自粛が続くことになる。
ただ、今回の「銀行献金再開」は07年に統一地方選と参院選を控え、少しでも政治資金を得たい自民党が、日本経団連を通じて銀行に働きかけたとされる。支持率低下に頭を痛める安倍首相が飛びついたパフォーマンスの面は否めない。
献金再開の理由は「企業の社会的責任」?
あおりを受けたのが全国銀行協会長を務める畔柳信雄MUFG社長だ。安倍首相が方針を示した同時刻、畔柳社長は会見で政治献金の意義に熱弁を振るっていた。個人献金が根付かない社会風土を嘆いて見せ、自身が個人献金する意向すら示したところ。「全く知らされていなかった」(三菱関係者)ため、はしごを外された格好だ。
ただ、畔柳社長が献金再開の理由として、「企業の社会的責任(CSR)」を挙げたことに鼻白む業界関係者は少なくない。献金再開論の内実は、経団連の奥田碩前会長と副会長の三木繁光・三菱東京UFJ銀行会長の個人的な関係によるものといわれているためだ。前田晃伸・みずほFG社長が次期経団連副会長候補に挙げられることもあり、業界内では「猟官運動をCSRでごまかすべきでない」との不満がくすぶっていた。
もともと、大手銀と政治の関係は深い。故橋本龍太郎元首相と旧富士銀行(現みずほ)の不正融資疑惑、故金丸信・自民党元副総裁が旧日債銀の割引金融債などを不正蓄財していた件など、枚挙にいとまがない。橋本元首相は住宅金融専門会社(住専)問題に関連し、公的資金投入への厳しい世論を意識して銀行からの政治献金受け取り自粛を打ち出した。
ところが、その影で自民党が全銀協に7億円の献金を要請していることが発覚。世論は沸騰したが、銀行は献金をやめなかった。献金自粛が決まるのは、銀行本体への公的資金投入を受けた故小渕恵三内閣の98年の判断からだ。
3メガバンクは献金再開に並々ならぬ意欲を示す
ところが、公的資金を完済した3メガバンクは献金御三家と呼ばれた血が騒ぐのか、過去最高益の達成で高いプライドを取り戻したのか、献金再開に並々ならぬ意欲を示す。その背景には、奥田氏が再開した企業献金の流れを受け継ぐ、財界活動に熱心な三木氏の姿が見え隠れする。もらえる金はもらっておこうという自民党の姿勢を見透かした、というわけだ。MUFG内には献金再開に慎重な意見も少なくなかったが、畔柳社長以下の意見は三木氏に一蹴された形だ。
ただ、これらはすべて財界、銀行、自民党の内輪の事情に過ぎない。もともと、企業は過去の赤字を次年以降に繰り越し、黒字と相殺して税金を減免される。銀行の場合、過去の不良債権処理で生じた巨額赤字を繰り越すことで、史上空前の利益を上げながら法人税を納めていない。「他の産業も同じ」(大手銀幹部)と言うが、公的資金で経営を救われた点が決定的に異なる。
土壇場でそこに気づいたのが安倍首相で、民意を探る政治家の能力をかろうじて発揮した形だ。一方、ピエロ役を演じた畔柳社長ら大手銀首脳は、超低金利の預金金利や各種手数料の有料化に対する利用者の不満の大きさを察することが出来ず、CSRがお題目に過ぎないことを露呈する結果になった。
2006年12月27日11時30分
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