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安倍晋三と竹下登のデ・ジャ・ヴー(雪斎の随想録)
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投稿者 gataro 日時 2006 年 12 月 26 日 11:18:13: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://sessai.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_3fc6.html から転載。

December 25, 2006

安倍晋三と竹下登のデ・ジャ・ヴー

■ 今年も残すところ一週間である。拙ブログも,あと一、二度、エントリーを書いて「御用納め」である。

■ 「安倍晋三」と「竹下登」のデ・ジャ・ヴーを考えてみる。来月十日発刊『中央公論』に寄せた論稿のモチーフの一つが、これである。この二人の宰相には、次のような共通項がある。

@ 長期政権の後継     ―
 ● 竹下―中曽根康弘 安倍―小泉純一郎
   : 実質上、前任総理の「禅譲」による政権掌握
   : 前任総理の国民的な人気やカリスマ性と比較される宿命
A 好況期の執政      ― 
 ● 竹下―「バブル」景気、安倍―「いざなぎ越え」景気
   : 故に、「景気復調」を政治業績として打ち出すことはできない。
   : どちらかといえば、「国民受け」しない政策課題で内政を進めることになる。
    ・ 竹下 − 「ふるさと創生」、消費税導入
    ・ 安倍 − 「美しい国」、定率減税廃止、厚生年金保険料引上
B 自民党最大の党勢の下での執政開始
 ● 竹下―1986年選挙での308議席、安倍―2005年選挙での295議席
    : 何れも圧倒的な党勢での執政が可能であった。
    : 「敵」は、野党というよりも、「自ら招いた事態」のほうである。
     ・ 竹下 − 消費税導入にともなう反発、スキャンダル
     ・ 安倍 − 「造反組」復党に際しての反発、党内軋轢の浮上
C、一見して磐石な党内基盤 ―
 ● 竹下―経世会   安倍―清和会

 竹下登は、長期執政を期待された宰相であった。にもかかわらず、実際には一年八ヵ月しか持たなかった。安倍総理は、どうなのか。客観情勢は、かなり厳しい。
 共同通信世論調査によれば、次のような結果が出ている、

 内閣支持率     九月65%  十二月49%
 女性の支持     九月70%  十二月47%
 無党派層の支持   九月49%  十二月19%

 無党派層支持の30%が減ったというのが、凄い話である。元々、安倍総理が総理の座に就けたの最大の理由は、「国民的人気」の高さであった。安倍総理に期待されたことの一つは、小泉前総理が巻き起こした「順風」を止ませないことであったのであるけれども、この期待は、残念ながら裏切られていると判断せざるを得ない。
 対外政策で「得点」を稼ぐのは、実は簡単ではない。小泉前総理の「電撃訪朝」のような仕掛けを安倍総理が考えれば、「ポジティブ・サプライズ」になるであろうけれども、「対朝強硬」派という自己規定に縛られている限り、安倍総理には、そうした選択に踏み切る可能性は低い。就任直後の中韓両国訪問のように、今までの「安倍カラー」と違うことをやる柔軟性は、安倍総理には大事であろう。
 竹下登退陣の四年後に自民党は下野した。政治の世界は、「一寸先は闇」である。

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