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長勢法務大臣の『クリスマス処刑』に抗議する
政治 / 2006年12月25日
国会の議員会館で年末の予定調整の打合せをしていたところ、電話が入った。「今日、4人の死刑執行が行われた」とのこと。先日、長勢法務大臣に「死刑執行停止」の申し入れをしていたことから、急きょ法務省への抗議の申し入れを行うことになった。小津刑事局長に12時過ぎから面談、死刑廃止議員連盟の申し入れを行った。(末尾に収録)
「死刑執行が今日なされたことは大変に残念だ。今回もまた、国会閉会中の執行が行われた。広く国民に開かれた死刑制度の是非をめぐる議論を重ねていくにも、国会での議論を行うことが事実上出来ない日に執行することは二重によくない。さらに、再審請求中の執行があったと聞いているが、本当か」と私が発言。同席したアムネスティ・インタナショナルの寺中誠事務局長からは「韓国では死刑執行停止が続き、フィリピンではいったん廃止された死刑制度が復活し、さらに再度廃止されるなど世界の流れは死刑廃止に向っている。本日の執行に抗議する」との発言があった。
ふと思い出してみると、私たち衆議院法務委員会が東京拘置所の新築された刑場を視察したのは、03年の夏だった。藤色のジュータンの上の四角い枠の上に立って、「この場で執行が行われないように」と祈ったが、初めてこの四角い板を跳ね下げるボタンが押され、ふたりの死刑囚が絶命した。小津刑事局長にそのことも伝えた。そして、最後に「今日はクリスマスですね。日本も含めて世界の人々が飾りたて、お祝いをする日に日本発のニュースは処刑です。法務省は、わざわざこの日を選んだのでしょうか」と聞いた。小津刑事局長は慎重な人で何一つ語らなかった。「ただ今、お話のあったことを正確に大臣にお伝えします」と何度か繰り返しただけだった。
その後、司法記者クラブで記者会見。東京拘置所で処刑されたのは、秋山芳光死刑囚77歳・藤波芳夫死刑囚75歳と高齢の死刑囚だった。会見では「秋山死刑囚83歳」と誤った年齢を述べてしまった。77歳が正確な年齢だった。ここにお詫びして訂正する。とっさのことだったので、大臣向けに手渡した抗議声明にも、いくつか間違いがあった。間違いも含めてここに掲載する。(訂正は→★括弧内)
死刑執行に抗議声明
本日4名の死刑執行を行ったことに、強く抗議する。
日高広明さんは一審で確定しており、3審まで裁判を受けておらず、藤波芳夫さんは再審請求中(★再審請求が棄却され、本日即時抗告予定の間違い)であり、司法の判断を待たずして、行政が執行を断行したことになり、許し難い行為と言える。
さらに、過去6年は一度に1・2名の死刑執行であったにもかかわらず、今回は4名という多数の人数の執行であり、1人の法相が一度に4名の死刑執行を行ったのは93年11月の三ケ月章元法相以来(★97年8月松浦法務大臣以来の間違い)である。これは杉浦前法相が死刑をしなかった法務大臣であることと、昨年9月以降死刑執行が行われていなかったことを帳消しにするかのような行為であり、更に、明日26日は名張毒葡萄酒の再審開始決定前日という日をあえてを選んで行ったものであり、すべて政治的な判断のもとに行われた死刑執行と言える。
死刑は、残虐にして残酷であり、民主主義の理念に真っ向から反するものである。死刑には犯罪抑止効果がないばかりか、かえって、社会の倫理観を荒廃させる。死刑に必ずえん罪の危険があることは、名張事件や北方事件で改めて証明されたところである。死刑は直ちに廃止されなければならない。
死刑廃止は国際的な潮流であり、すでに全世界の3分の2以上の国と地域で死刑は廃止されている。日本は、国際社会から強く死刑廃止を求められている。今回の死刑執行はおよそ許されるべきものではない。
われわれは、日本政府および法務省並びに法務大臣に対し、今回の死刑執行に強く抗議するとともに、直ちに以下の施策を実施するよう求める。
1 死刑の執行を停止し、死刑廃止に向けて努力すること。
2 死刑に関する情報を公開すること。
3 死刑確定囚に対する処遇を抜本的に改善すること。
4 犯罪被害者に対する物心両面にわたる援助を拡充すること。
2006年12月25日
死刑廃止を推進する議員連盟
会長 亀井 静香
社民党の抗議声明は→こちら
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/f51c660deb5ce82ec2e2e27033d17fdf
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