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なんとなく影が薄らいでいる安倍首相。リーダーシップが問われている(6枚を合成)(朝日新聞社)
http://i.yimg.jp/images/democracy/column/article/20061225/200612250201011.jpg
□「からっぽ政権」の構造 [AERA]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061225-02-0101.html
2006年12月25日
「からっぽ政権」の構造
内閣発足直後は電光石火の中韓歴訪で颯爽とスタートした安倍首相。
でも最近、復党問題やら道路特定財源やらでどうも空洞感が否めないのだが……。
12月上旬、久しぶりに会った自民党三役経験者のX氏は何ともすっきりしない顔をしていた。
「よくわからない政権だ」
とまず言い、
「外交も内政も国会も、やらなきゃならん仕事は大体うまくやっている。なのに、支持率は落ちる。理由はそりゃ復党と道路問題なんだろうが、これもわからん。政権が自ら望んで手を出して混乱して評価を下げた話だもんな」
と言葉を継いだ。安倍首相の至近距離にいる人がわからないでは困る、と水を向けるとX氏は、
「いわゆる総主流派体制の罠かもしれんな」
と言う。
5年余の長期政権を誇った小泉純一郎前首相とて、滑り出しから順風満帆だったわけでは決してなく、時に非主流派を抵抗勢力だと指弾して民意を引き寄せ、時に幹事長と政調会長に改革案づくりを競わせ、手づくりで求心力を高めていったのだ。だが秋の自民党総裁選で「勝ち馬連合」に乗って圧勝、塊としての非主流派が消えた安倍政権の場合は――。
「復党は中川秀直幹事長、道路は塩崎恭久官房長官。首相が選びに選んだ党と政府の要が調整の任に当たりながら、フォローする政府・与党幹部の動きも見えず、言葉ひとつで流れをつくる首相の援護もない。小泉政権の場合は少なくとも、首相が譲れぬ一線は何か、誰と誰が喧嘩しているのかがわかりやすかったが、この政権は物語がわかりにくいのだ」
首相の譲れぬ一線って
復党問題のさなか、中川幹事長は「首相の本音は統一会派だ」と言った。悪評が予想された復党の前段階で止めるのが真意と明かすことで「首相を守った」の評も可能ではあろうが、実際そうなったわけでもなし、しかも首相本人が方向性を語らぬなか、首相の「譲れぬ一線」が何かをさらにあいまいにした面は否定できまい。
他方、「それは総裁のご判断です」と言ったのは塩崎官房長官である。政府のスポークスマンとして復党は自民党つまり総理でなく総裁の問題と筋を通したつもりかもしれないが、そこには残念ながら、我こそ官邸で首相を守る最後の一線といった迫力は、ない。
ところで、元々の首相の政権運営のグランドデザインはそれなりによくできたものだったと思う。
外交面では大方の予想に反して中国、韓国をまず訪問、靖国神社参拝は「あいまい」にして一定程度アジアとの関係を改善した。
「三枚腰」と「3集団」 自分の足を食らうタコ 勝利の方程式見失う 低投票率症候群の匂い
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内政面では構造改革の継承・発展形態として、法人税減税など企業の競争力強化による成長戦略を選択した。これに国家管理色の強い教育改革と将来の目標としての憲法改正を合わせ見れば、短期的に改革路線の継承で無党派層を引き付けつつ
小泉政権の弱点だったアジア外交の修正で保守中道・左派層に手を伸ばし
中長期的に憲法改正など理念改革によって保守右派層の期待をつなぎとめる――三枚腰の構造だとわかる。
「安倍人事」も同じだ。安倍政権は三つの集団の上に乗る一種の連立体制とみえるが、それは、
(1)中川昭一政調会長や山谷えり子首相補佐官ら、国家主義・右派色の強い政策立案グループ
(2)中川幹事長や本間正明政府税調会長ら、新自由主義的な成長論者グループ
(3)塩崎官房長官や石原伸晃幹事長代理ら、イデオロギー色が薄く首相との個人的関係の深い実務派グループ
――の3集団である。
ただ、教育再生会議をはじめこの間の安倍政権の政策立案と遂行をみる限り、内政問題を中心にした課題処理は(2)と(3)グループが中心であり、外交面で小泉路線の修正を主導したのも谷内正太郎外務次官や麻生太郎外相である。
他方、(1)グループはまだ本格稼働しておらず、そればかりか首相のブレーンの八木秀次高崎経済大教授が、戦争責任を巡る村山談話を受け入れた首相の姿勢に「(首相から)説明がなければ、これまでのコアな支持層は首相に対して最も厳しい批判勢力に転ずる可能性がある」と語るなど、政権に対して疎外感を感じつつあるのもまた、この集団なのである。
つまり、短期的に保守中道・左派層を引き入れるため(1)=右腕を封じ、無党派層収奪のため(2)=改革派を使い、全体の調整は(3)=実務派と外務省など既存組織に任せた――という構造なのだ。
グランドデザインへの反応は悪くない。中韓歴訪は、直後の10月の朝日新聞社の世論調査で「評価する」が83%にのぼり、内閣支持率が発足直後の63%を維持する下支えになった。支持率が47%に落ちた12月調査でさえ、企業支援に力を入れて経済成長を図る政策は「支持する」が49%で、33%の「支持しない」を上回る。X氏が言うように「やらなければならない」仕事では結果を出しているわけで、ここに3勝1敗で勝ち抜けた衆院補選と福島、沖縄両県知事選の戦績と、教育基本法改正や防衛庁「省」昇格法を成立させた臨時国会の戦績を合わせれば、十分及第点のはずなのだ。
だからその「上げ潮」を帳消しにしてあまりあるダメージを残したのはやはり「自ら望んで手を出して混乱した」二つの課題処理であって、12月調査でも復党を「評価しない」は67%で「評価する」の23%のほぼ3倍、道路問題と密接に絡む首相の改革姿勢が「後退している」とみる人は46%で、「維持されている」の29%の1・5倍だ。
ただ、より深刻なのは、首相の党首力に疑問符が付き、それが支持構造の劣化を引き起こす負の連鎖の症状である。復党問題を首相が「わかりやすく説明した」とみる人は10%に過ぎず、「そうは思わない」は80%に達する。
首相の改革姿勢に特に厳しいのは無党派層で、首相のもとで自民党が古い自民党に戻るかどうかも、全体では「戻ることはない」「戻る」が37%対40%とまだ拮抗しているのに対し、無党派層は27%対44%で悲観論が強まる。ならば底堅い自民党支持層が頼みかと思えば、これまた、復党問題がこの層でも54%対35%で評判が悪い。まさに蛸が自分の足を食らう状況である。
支持の落ち方もよくない。まず無党派層が落ち、次に20、30代の若者層が落ち、12月調査では50代が落ちた。前述した企業寄りの成長戦略の評価も、50代の男性は35%対52%、60代の男性は37%対49%で、評価する・しないが逆転する。企業中心の成長優先戦略の結果、格差是正策が遠景に退き、それに年金問題に神経を尖らせる定年前後の中高年のサラリーマン層が反発、現在劣勢の小沢民主党が見いだす勝機もそこにこそある――とまで言うのはいささか先走り過ぎかもしれないが。
それはともかく、小泉氏の場合は「自民党をぶっ壊す」という強烈なメッセージがあり、だからこそ自民党が嫌いな無党派・若者層をたちまち小泉支持層に転化させる勝利の方程式があった。郵政民営化一本の争点化に成功し大勝した昨秋衆院選がその典型だ。
他方そこには、権力維持のため敵味方を峻別し、本来は懐の深い対応を要する複雑な利害の調整をあまりに単純化してしまう劇場型政治、ポピュリズムの危険性も当然あるわけで、仮に安倍首相がその修正を志しているなら同情すべき点もないわけではない。
だが、党首力の大きな要素であるメッセージの発信力の弱さと、総無責任体制に陥りかねない総主流派体制が内包するチーム力の弱さが重なって、小泉氏のような絶対的に支持が見込める層=勝利の方程式を見失いつつあるのが安倍政権の真の弱点なのだ。
もちろん12月調査でも政党支持率は36%の自民党が14%の民主党を引き離しており、まだ安全水域と言ってもいいわけだが、それはそれで逆に安倍政権の先にある穴を深くしてしまうのではないか。
たとえば98年の参院選。自民党執行部は直前まで、低い投票率なら組織選挙に一日の長のある自民党が勝つと豪語していたが、結局は惨敗、橋本政権は倒れた。減税を巡る首相発言の迷走が有権者の怒りを買って投票率を押し上げたと政府と党の幹部たちは言ったが、後講釈、後の祭りである。
景気情勢ひとつとってもアジア経済危機直後の98年とデフレ脱却宣言間近の今は違うが、組織選挙の整備を優先し復党を進めた青木幹雄参院議員会長らの今回の動きからは同じ匂いも漂ってくる。
実は小渕政権下の00年初頭の段階で、「低投票率願望症候群」とでも言うべき98年以来の党の敗北主義を喝破していた人物がいる。他でもない小泉氏である。朝日新聞の「論座」00年3月号のインタビューでの言葉を、最後に安倍首相に贈ろう。
「これまでの支持層がそっぽを向いても無党派層を呼び込む大胆な政策を打ち出すほかない。それなのに大胆になれないでいる」「投票率よ下がれ、選挙に関心を持たないでくれ、と本心では願っている。組織だけ固めて競り勝とうとする。これでは伸びないな」
編集局 曽我 豪
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