★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK29 > 232.html
 ★阿修羅♪
『美しい国内閣』の見苦しい迷走と教育再生会議(保坂展人のどこどこ日記)
http://www.asyura2.com/07/senkyo29/msg/232.html
投稿者 天木ファン 日時 2006 年 12 月 21 日 20:58:29: 2nLReFHhGZ7P6
 

『美しい国内閣』の見苦しい迷走と教育再生会議


教育・こども / 2006年12月21日


政府税調の本間正明会長が辞任した。理由はあえて、ここで述べることもないだろう。問題は、与党・閣僚からも「辞任包囲網」が強まるまで、任命者の安倍総理自身が「職責をまっとうしてほしい」と擁護し続けたことだ。「逃避」「先送り」「丸投げ」の対応が続いている「自民党復党問題」「タウンミーティング問題」に続いて、ついに安倍総理が判断する姿は見えなかった。その安倍総理が、今日午前に官邸で開かれた「教育再生会議」の総会でこんな発言をしている。

59年ぶりに教育基本法を改正したことに触れ「新しい教育再生に向けての理念と原則が確立された。礎ができた。まさにこれから教育再生がスタートする」と強調。「すべての子供たちに高い水準の学力と規範意識を身につけさせる機会を提供していく」と語った。(朝日新聞・アサヒ・コム17時38分)

規範意識という言葉がお好きなようだ。「やらせ」「サクラ」「大量動員」のタウンミーティングが始まった初年度の随意契約の「日付のない9億円を超える請求書」にも関心は示さず、公務員住宅にどんな形で住んでいようが官邸主導で人事を決めた税調会長であれば、事実関係の調査もしないで「問題なし」としてしまう。
これは、御都合主義だぜ。

その教育再生会議自体も揺れている。そもそも、この会議自体が誰が誰に何を依頼したのかが解らない「ごった煮状態」で始まっている。安倍総理の私的諮問機関であれば、安倍総理が会議に出席しているのは変だ。再生会議が予定している第一時報告は誰が誰に対して行うのかも不明だ。いったいどうなっているのかと、10月10日の閣議決定を見ると、「会議は内閣総理大臣、内閣官房長官及び文部科学大臣が開催する」とある。すると、安倍総理は諮問を受ける側ではなくて会議を主催する側のようだ。
だとすると、色あせてきた『美しい国へ』(安倍晋三著・文春新書)で述べているイギリスのサッチャー教育改革へ心酔した記述が「教育再生」の機軸になるだろうか。文部科学委員会や教育基本法特別委員会で何度かこの点を問題にしたが、官房長官や文科大臣は「総理の著書は総理の著書であって、再生会議の議論と=にはならない」という趣旨の答弁が続いている。といいながら、再生会議で「諸外国の教育改革の動向」で配布されたのは「アメリカ・イギリスの例」であって、自由な教育を実現して成績水準を向上させたフィンランドの例などは出てこないという。この秋、教育基本法の審議でこの点を私は質している。少し長くなるが、お読みいただきたい。

○保坂(展)委員 これは下村官房副長官にお答えいただきたいんです。

 スコットランドを除くイギリス連合王国の小中学校の校長三万人が、これは全英の校長会のような組織が、NAHTというんですか、イングランドでのテスト結果の公表を廃止しようという決議を全会一致で出したというふうに伝えられています。北アイルランドでは、数年前にナショナルテストの結果を発表することをやめ、二〇〇七年までにはそのテストを廃止。それから、イングランドと行政機構を同一にしてきたウェールズにおいては、〇一年にナショナルテストの結果公表をやめて、来年ですか、テストを廃止するということをナショナルテスト見直し委員会が一年間審議して決めているという、いわばイギリスの教育改革も見直しの時期に入ったのかなという情報があるんです。

 イギリスを手本に見てこられた、そして教育再生会議でも重要なヒントにされているというところから、この見直しもぜひきちっと踏まえて見ていただきたい。どうとらえられていますか。

○下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 イギリスにおきまして、特に御指摘がございましたウェールズ州におきまして、全国学力テストについて二〇〇四年から七年までに段階的に廃止するということを決定したということは承知しております。

 しかし、この理由というのは、今までテストのための指導が非常に各学校で悪影響を及ぼしていた。そのために、必ずしもテストを含めた教育成果の評価自体が否定されているわけではないけれども、それ自体の見直しということで、今後、廃止した後、新たな評価の枠組みとして、基礎的な力を見る新しいテスト、スキルテスト、こういうことや、あるいは教員による評価の重視を打ち出したということでございまして、学力テストと違う形でまたテストするということでございまして、イギリスにおいても今試行錯誤しているところだというふうに思います。

 そういう中で、我が国において、今先進国でも、イギリスでもアメリカでも、やはり国が教育について国家戦略として取り組んでいるということが多い中で、先進国の成功事例そして失敗した事例も含めて研究をしながら、いい部分について、そして我が国にとってふさわしい部分については積極的に参考にすべきだというふうに思います。

○保坂(展)委員 この問題について文科大臣にお尋ねしますが、私は、ちょうどトニー・ブレアが政権をとった日に、チャイルドラインというのを見に行くために牟田悌三さんなどと一緒に滞在していたんです。あちらの選挙運動というのは日本と大分違う。そして、確かに、教育、教育と、教育しか言わないで政権を交代していった。サッチャー教育改革に対する一定の修正要求というものが有権者の中にあったのかなと思います。

 一方、現在の保守党では、医療、教育など公共事業全体の政策を見直す委員会が立ち上がっている。この委員会のポリーヌ・ペリー委員長は、最近、成績の悪い学校を名指しでさらしものにするような教育体制にピリオドを打つ、こういうふうに言われていて、最近のタイムズ系の週刊誌のインタビューだと、学力テストや成績到達目標を外部から学校に課するような制度を見直し、教師の評価に重点を置くシステムにしたい。教師を信頼し、やる気になってもらう。こういう形で変えていきたいというようなことをインタビューの中で言われている。いわば見直しの機運が高まっているということなんです。

 イギリスにおける教育改革の実情と問題点、そして見直しの今の機運、この辺は文科省としてもぜひきちっととらえてほしいと思うんですが、いかがでしょうか。

○伊吹国務大臣 私は、大変申しわけないんですが、英国の教育改革の変遷についてそう詳しく知っているわけではありません。しかし、トニー・ブレアが出てきたときは、私は本当に、率直に言って驚きました。あの社民主義、リベラルの彼が、サッチャーの、むしろ市場、競争、自由主義の改革と同じようなことを言ってやってきたわけですから。

 そして、それを位置づけるために、いわゆるリベラルというのか、社民主義の人たちの生きる道として第三の道をギデンスが提案したというこの一連の流れの中で、やはり保守主義的なトーリーの政党も、基本的には、やはり公教育というのは同じように提供すべきだということは、全く私はそう思っていると思いますよ。ですから、少し行き過ぎがあるんなら見直す。

 しかし、今、日本は行き過ぎがあるから見直す前段階じゃないんですか、率直に言って。

○保坂(展)委員 文科大臣に、この関連で言えば、ヨーロッパの中で、イギリスの教育なり教育改革のやり方というのはかなり独自なんですね。

 例えば、学力において高い評価を得ているフィンランドなどの教育は査察官というものをなくしちゃった。逆にイギリスはつくったわけなんですが。そして現場に大量の権限をゆだねて、少人数の、これはデンマークであれオランダ、さまざまな教育をやっていますので、バランスよく。

 教育を根本的に変えるというのであれば、イギリスだけを見るのはおかしい。やはり全体を見てほしいと思いますけれども、いかがですか。

○伊吹国務大臣 もちろん、英国だけを見る必要はありませんし、サッチャー改革そのものをなぞっているわけでもございません。日本は日本の今までの積み上げの中から変えざるを得ないものを御提案しているわけです。

○保坂(展)委員 安倍さんの本にはイギリスの例がわあっと出てくるものですからね、イギリス教育改革が成功例と。しかし、当のイギリスでは見直しが始まっているということに我々はもっと注目していいということを申し上げて、終わります。

私のこの質問は、岩波書店の『世界』に2回掲載されたジャーナリストの阿部奈穂子さんの報告(9月号『岐路に立つイギリスの教育改革』・11月号『安倍政権は問題の多いイギリス教育改革に追随するのか』)をもとにして聞いたものである。下村官房副長官・山谷えり子総理補佐官という「安倍政権・教育組」が指向する「強烈な市場主義の導入」は、日本中の学校をイギリスのように「番付表」(1位から最下位まで)を公表し、ダメ学校には「予算」も「教師」もまわさないという「改革」(=暴挙)が行われたら、日本の公教育と地域は死滅する。そして、塾産業を基盤にした能力主義を信奉する資本の教育市場への参加が強まり、また警備・監視関係の企業の需要が増大する。儲かるのはその二者で、日本社会は恐ろしいほどに大きなリスクを支払わなければならない。教育再生会議の議論にまかせておくわけにはいかない。

http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/9e080e0ab98c4d1fae710f8b779efe6a



 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ      HOME > 政治・選挙・NHK29掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。