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NATOの首脳会談と「防衛省」法案の成立。一見まったく無関係に見えるこの2つの出来事に私は大きな歴史の流れを見て取った。戦後の平和日本を大きく変えることになる亡国の流れである。
北大西洋条約機構(NATO)は11月29日、ラトビアの首都リガで首脳会議を開いた。その合意である「リガ宣言」では、冷戦後の新たなNATOの役割として、今後10〜15年はテロや大量破壊兵器が世界的脅威となるとの認識で一致し、城外での作戦展開をにらんだ機動力の大幅増強とその負担を日韓豪にも要請することが明記されている。ありていに言えば、米国の「テロとの戦い」への犠牲をNATO加盟国だけで負担するのは困難になってきたので、NATO以外の米国の従属国にも負担させろということだ。たしかにアフガンニスタンの状況は酷い。戦闘が激しいアフガン南部では英国、カナダ、オランダ軍の死傷者が増えている。その犠牲を他の国にも負担させないといずれの国ももはや国内の反発を抑えられないのだ。
そのNATO首脳会議に続き、日本では12月15日の参院本会議でいわゆる「防衛省」昇格法案が成立した。この一連の防衛庁改革法案の中心は名称の変更などでは決してない。自衛隊の海外派遣を「本来任務」に格上げし、海外派遣をいつでも、どこでも可能にすることにある。「海外派遣恒久法(一般法)」や集団的自衛権行使への道を開くものなのだ。「ようやくここまで来たか」と悲願の達成に防衛官僚や防衛族は感無量であるという。新聞の中には、「当たり前のことだ。遅すぎ」という社説を掲げているものもあった。
安倍晋三や政治家はいい。官僚や制服の幹部連中もいいだろう。彼らは決して犠牲になることはない。しかし末端の自衛官は確実に戦場に駆り出されることになる。しかも本来の日本の国防とは無関係の「米国の戦争」のために反米武装勢力のアラブ人を殺し、殺されるのだ。自衛官たちよ。愛する家族を守るために戦うのは尊い。日本国民を敵の攻撃から守るために先頭を切って命を落とす覚悟を持って入隊したのなら敬意を表する。しかし米国従属に終始して保身に汲々とするこの国の支配者たちの命令に従うことがいかにばかげているか。それに気づかなければウソだ。
(隔週月曜掲載)「日刊ゲンダイ」2006/12/19
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