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1冊の手帳から=玉木研二(論説室)
県知事らによる官製談合事件が相次いで摘発され、いま制度の抜本改革論が盛んだ。真の改革を実現すればよいが、事件を機に政府が一気にかねてのもくろみを果たした例がある。1902(明治35)年12月17日未明、当局が強制捜査に着手した「教科書疑獄事件」である。
大手教科書会社各社が自社本を採択してもらうため、全国の知事、視学官、学校長、議員ら有力者に大贈賄攻勢をかけていたもので、200人余が検挙された。
すかさず政府は「腐敗を正し、再発を防止するには教科書を国が定めるしかない」と強調し、小学校教科書をそれまでの検定制から国定制にしてしまった。国の思い通りの教科書を子供たちは与えられ、昭和の敗戦まで続いたのである。
疑獄露見のきっかけはその年の秋、拾われた革のかばん。拾得物届を受けた警察官が改めたところ、1冊の手帳があり、びっしりと知事ら有力者の名と数字が書いてあった。かばんの持ち主は教科書会社社長。「手帳の記録は贈賄名簿とわいろ額に違いない」と当局は見抜き、色めきたったというのである。
統制を強めるため国定教科書にしたがっていた政府にとっては、折よく事件が転がり込んできたかっこうだ。ひねた私は「ちょっと出来すぎではないか」とつい思いたくもなるのだが。
ちなみに、袖の下の相場は知事で1万〜3万円、師範学校長3000〜5000円などといったところで、総額100万円に上ったという。教師の初任給が15円というころである。頻繁な登楼接待や春画贈与もあったと伝わる。
毎日新聞 2006年12月19日 0時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/
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