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重いツケ 飯田和郎
フィリピン・セブ島で15日に開かれた第2回東アジアサミットで温家宝・中国首相が首脳宣言に署名しようとペンを手にした。会場の隅にいた私は温首相の表情を「あの時」と比べていた。
「あの時」とは05年12月の第1回サミットで、小泉純一郎首相(当時)が用意されたペンを使わず、隣の温首相にペンを貸してほしいと頼んだ時のことだ。
靖国神社参拝への批判を突っぱねる小泉首相と、首脳会談を拒み続けた中国。それならばと、小泉首相はペンの貸し借りでの「交流」を試みた。虚を突かれた温首相は顔を引きつらせながらペンを渡した。
国家指導者の一挙一動は国民の視線を集め、対応いかんでは非難にさらされる。一方の当事者にとって当意即妙のつもりが、相手方を、さらには背後の国民のメンツを傷つけた。中国人は何よりメンツを重んじる。
その後1年余を経て今回は安倍晋三首相も温首相も落ち着いた表情で自分のペンを取った。今、中国から日本へ吹く風はそう冷たくない。安倍首相にはおおむね好意的だ。だが、この1年余の間に日本がアジア地域で失ったものは小さくない。
中国は日本の侵略戦争をこう表現してきた。「中国やアジアの人民に多大な災難を与えた」。被害者としてアジアで共闘し、靖国とアジア現代史、さらには域内での主導権争いを絡めた巧みな外交は、今日の中国の台頭と無関係ではない。
影響力を増す中国は日本を尻目に第2回サミットをリードした。安倍首相は前任者の演じたパフォーマンスのツケを懐に帰国した。(中国総局)
毎日新聞 2007年1月18日 0時14分
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/
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