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<その1>
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『サンデー毎日』の参院選分析で私が話したことに関し、いろいろなご意見をいただきました。ありがとうございました。以下、私が座談会で語ったことの要旨を紹介しつつ、ご意見、ご質問にお答えまします。
7.22参院選での与野党逆転は困難なのか
私は、いまの与野党の力関係と戦略戦術と組織力のまま7月22日の投票日を迎えると、逆転は難しいと判断している。ただし、いまから投票日までの7カ月間に情勢変化が起こる可能性はある。また、民主党の努力次第で逆転は起こりうると思う。
『サンデー毎日』誌上で予測をしたのはわが国の選挙分析の第一人者である三浦博史氏(選挙プランナー)だ。三浦氏の分析は「自民は改選議席から12減の53議席。民主は16議席増の47議席。公明は12議席。自公合計65議席。非改選の現有議席(自民46、公明11)を加えると122議席。かろうじて過半数を確保する」というもの。三浦氏は膨大なデータを分析した上で、現状を正確に把握している天才的な選挙分析家である。
私は『サンデー毎日』座談会で次のように話した。
《全国を回ると、与野党逆転は難しいと感じます。もっとも、地方では鉄道駅も電話局もなくなり、小泉改革の結果、郵便局も農協もなくなりかけている。「切り捨てられた」と感じる人たちが多く、自民の金城湯池の“地域保守”は崩壊状態です。実は、民主にとって千載一遇のチャンスなのに、地域保守の中に浸透しきれていない。国民新と社民との3党連合を組めば道は開けると思いますが、何より要の民主にその熱意が感じられない。
今のところ小沢氏を除けば、民主から政権交代に命を懸ける気概が伝わってきません。比例区も民主票を社民や国民新が奪って「民主はこんなに弱かったのか」と驚く事態さえ否定できませんよ。》
小沢一郎代表は、なにがなんでも政権交代を実現しようと決意して必死の努力をしているが、民主党全体を見ると、政権交代への盛り上がりは、まだ見られない。
来るべき7月22日の参院選は、日本政治史上最も重要な選挙である。
民主党など野党が頑張れば、野党が勝利し、参議院における与野党逆転が可能になるからである。逆転が実現すれば、日本の政治の流れが変わり、「自公」独裁体制に陰りが生ずる。大きな日本政治の変化期が到来し、次の総選挙における政権交代が具体的日程にのぼってくる。2007年7月22日の参院選は、文字どおり「天下分け目の関ヶ原」なのである。
しかし、現実は、そう簡単なものではない。自公連立体制は依然として強大である。その上、必死である。民主党には、この強大な「自公体制」を倒す力はまだ育っていないのである。ただし、民主党には深刻な危機意識が育ち始めている。2007.7.22参院選で勝つことができないならば、国民の中に民主党不要論が芽生えるおそれがある。民主党自身の存立自体について党内から動揺が生まれるおそれもある。民主党が生き残るためには7.22決戦に勝たなければならないのである。
<その2>
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前回につづいて、私が『サンデー毎日』で語ったことを紹介したい。
(1)民主党の主張と政策上の争点
《民主は、最大の争点をやはり「政権交代(の是非)」にするでしょう。小沢氏は連合との共同声明では「格差是正」を取り上げ、「政治は生活である」と主張して支持拡大を狙う。》
(2)市場原理主義への批判の高まりのなかで
《夏には翌08年米大統領選も動き出し、小泉前政権を支えた米国の政治の流れが大きく転換していく。米国一国主義や市場原理主義の流れも変わっていく。そうなると、安倍自民は勝つために野党のスローガンをパクって「再チャレンジ」どころか、「完全雇用の復活」まで打ち出す可能性すらある。自民は昔からそうだったんです(笑)。》
(3)消費税問題
《消費税の増税問題は扱いが難しいでしょう。自民、民主の双方が相手に先に言わせようとしているわけですから。
消費税問題は選挙前の各種討論会で繰り返し質問されるはず。党首の回答がブレたり、矛盾を突かれたりすると、手痛い打撃を受けることになる。》
安倍自公連立政権の主張は、第一に憲法改正、第二に教育改革、第三に行政改革だ。とくに行政改革では、公務員を徹底的に攻撃する。
これに対して民主党は、第一に政権交代、第二に国民生活を守ること、第三に格差是正である。
自公連立側の憲法改正の主張には、民主党内の分裂を誘う狙いが隠されている、との見方がある。民主党内には憲法改正論者が多い。安倍首相の同調者もいる。安倍首相が憲法改正を強く打ち出せば民主党内に亀裂が生ずるおそれがないとはいえない。民主党内には「政権交代」より「憲法改正」の方が重要だと考えている幹部もいる。民主党が安倍自公連立側の分裂工作を跳ね返し、団結を守る抜いたとき、勝機が訪れる。
消費税問題は、自公連立政権側がマスコミを通じて仕掛けるワナに落ちてはならない。ワナとは、民主党に対する消費税引き上げが必要だと正直に主張すべきだというささやきである。このささやきに負けて消費税引き上げを打ち出せば、民主党は滅びる。民主党は断固として消費税引き上げに反対しなければならない。
参院選に向けて市場原理主義批判が高まる可能性がある。民主党が市場原理主義批判で団結できれば、民主党が勝つ可能性は高まる。しかし、民主党内の愚かな構造改革派が分裂行動に出れば、逆転は危うくなる。
繰り返す。民主党が与党側が仕掛ける分裂工作を跳ね返して、団結を守り抜くことができたら、民主党は勝機をつかむことができるだろう。
<その3>
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『サンデー毎日』の座談会における[その1]と[その2]につづく私の談話は次のとおりである。
《スキャンダルも選挙情勢に多大の影響を及ぼします。中曽根政権を引き継いだ竹下政権が前政権のリクルート事件で大揺れしたように、長期政権のあとには大スキャンダルが吹き出すことがよくある。通常国会で小泉政権時代のスキャンダルが明るみに出て、投票日の7月22日には争点が予想とはまったく異なっている可能性も十分あります。》
2007年前半期の通常国会を通じて、数々のスキャンダルが露呈される可能性がある。すでにその兆候は現れ始めている。大スキャンダルであれば政治の流れを変えてしまう。
政局の展開について、私は座談会で次のように語った。
《野党にいろいろな攻撃材料を与えた。通常国会は出だしから大荒れでしょう。ただ選挙前に、スキャンダルや支持率低下を理由にした首相辞任は考えにくい。永田町でささやかれているのは、参院選前の退陣のシナリオとして「健康不安でやめる」という大義名分を使うケース。そうなれば、後継は麻生太郎氏(外相)が有力。すでにワシントンでは「次はアソウ」が話題になっています。》
以上のことは、あくまでひとつの仮定に過ぎない。今後の政局は不安定化し、いまのわれわれの想定を超えた事態が起こるかもしれない。
常識的には、7.22参院選は「安倍」対「小沢」で戦われる。
安倍首相の選択肢のひとつとして「衆参同日選」がある。この点について私は『サンデー毎日』で、こう語った。
《そこで安倍首相には「衆参同日選」という選択肢も残されています。これまでは政権獲得のため、小泉政治の継承を言わざるを得なかったが、実際にやっていることはかなり違う。自ら総選挙に訴えて国民の信を得たいのは当然だし、政権の正統性を考えればやるべき。同日選なら自民は強い。ただ、公明は絶対にイヤがるでしょう。》
安倍政権がスキャンダルや人気低迷に追いつめられた場合、同日選の議論が高まる可能性は強まるだろう。
森田実の時代を斬る―
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