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我ら言葉のほかに失うものなし
天木・筆坂熱血インターネット対談
2006/12/18(Mon)
国連加盟50周年の12月18日に思う(天木)
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外交の要諦は人と人との関係と同じでは(筆坂)
国連加盟50周年の12月18日に思う
天木直人
今日12月18日は国連加盟50周年記念日ということで新聞各紙は日本の国連外交を論じている。しかしどの記事も本質に鋭く迫るものはない。つぎの二つの問題を克服しないかぎり、日本の国連外交は時間と金の無駄遣いでしかない。それは新聞記者もわかっているだろう。しかしそれを書いてしまうと実も蓋もない。議論が続かない。外務省に嫌われる。だから適当なところでお茶を濁すのだ。その結果、日本国民は訳がわからないまま50年放置されてきた。これからも騙され続けることになるだろう。
なにが問題か。一つは勿論日本の対米従属外交だ。米国は国連に世界の平和と安全を実現する機能を決して持たせようとしない。「国連が破壊されても困る事はない」などと公言したボルトンのようなネオコンは勿論だが、米国は党派を超えて一国主義の国なのである。米国が国連に意義を見出す時はただ一つ、それを利用して米国の国益を実現しようとする語都合主義の時だけだ。
だから、すべての外交で米国に従属する日本外交に、世界から評価される国連外交が出来るはずはない。日本が国連外交で存在価値を示せるのはせいぜい米国にとってどうでもよい非政治的分野で、資金を負担させられる時だけである。もちろんそれはそれで重要な役割だ。しかしそれは安保理常任理事国などにならなくても出来る。外務官僚がやりたいのは、そのような地味な仕事ではなく、ニュースになる、目立つ仕事なのだ。だから安保理理事国になりたいのだ。しかし米国がそれを認めるわけがない。日本が目立つような国連外交などそもそも米国は要らないのだ。ここに日本の国連外交の大きな矛盾と限界がある。
もう一つの問題は、すでに述べた事とも関連するが、そのような限界のあるわが国の国連外交について、外務官僚がそれを受け入れることなく、無理をして目立とうと仕事を作り出す、その本末転倒さである。
日本に期待される国連外交が非政治的、技術的な分野にとどまったとしても、それは立派な国連外交である。しかしそれはニュースにはならない。専門的な地味な分野では外務官僚の出番はない。だから外務官僚は、脚光のあたる世界の安全と平和に関する国連外交の仕事をつくり出そうと、無理を繰り返してきた。
歴代のわが国連大使や国連局長は、平和時においてはほとんど仕事がない。仕事がなくて高給をもらっているのだから、こんなありがたいことはないはずだ。そう思ってワインを飲んだり、ゴルフをして限られた任期を楽しんでいればよいものを、何かと目立ちたがり、ニュースになるような仕事をつくりたがる。そこからあらゆる悲喜劇が生まれるのだ。日本のメディアも、書く事がないと困るので、そんな官僚の芝居に付き合って無駄な記事を繰り返して書いてきたのだ。
国連安保常任理事国に入ろうと迷走した挙句は入れなかった昨年の国連外交は、私が指摘した上記の問題点が見事に露呈した歴史的失態であった。米国が反対しているのに、そしてそれ故に入れるはずはないのに、外務官僚が暇と面子をかけて突っ走り続けた壮大な税金の無駄遣いであったのだ。
12月18日付の毎日新聞にこんな記事を見つけた。さる11月の日・ペルー外相会談で、常任理事国入りへの支持を求めた麻生外相は、ガルシア外相から、「見通しがたたないのに、なぜそんなに急ぐのか」と切り替えされたという。まだこんな馬鹿なことをやっているのだ。実は私がカナダの日本大使館で公使をしていた時1993年の初めに、カナダの外相にわが大使が常任理事国入りの支持を求めた事があった。その時、「日本が常任理事国になれると今でも本気で思っているのですか」とカナダ外相から真顔で聞かれたことがあった。1993年といえば日本が安保理常任理事国加盟に本腰を入れて働き始めた時だ。その時から誰も日本が加盟できるとは思っていなかったのだ。
12月16日付の朝日新聞は国連加盟50年の特集記事を組んでいたが、その中で、米NSC元上級アジア部長のマイケル・グリーンは、当時日本がドイツ、インド、ブラジルと組んで安保理理事国に入ろうとしたいわゆるG-4案をこうこき下ろしている。「G-4案は米国にとって毒薬で賛成できなかった・・・(対日本、アジア政策の)ホワイトハウスの責任者であった私がG-4案を知ったのは発表の時期、内容が決まってからだった。(なぜ緊密な調整を米国としなかったのか)・・・そのコストは高かった。それは日米関係を一時漂流させた・・・」。マイケル・グリーンは当時日本がもっとも大切にし知日派ともてはやされた人物だ。その彼がここまで批判しているのである。
日本は正しい国連外交を行う以前に、外交そのものを正していかなくてはならないのだ。
外交の要諦は人と人との関係と同じでは
筆坂秀世
まず昨日の中国から帰国しての話に一言。国と国との関係は、人と人との関係と同じだということを痛感する。調子がよく、何でもハイハイと言い、揉み手ばかりしている人を誰が信用するだろうか。やるべき仕事はきちんとする。正当な指示には従う。しかし、異論があれば堂々と自分の主張を述べる。私自身、こういう人こそ信頼できた。同時に、外交というのは、相手を思いやる気持ちも大事だ。ただただ正論さえ吐けば良いというものでもない。日本外交には、この二つが欠けているのではないか。
なお中国は、私が不破氏に同行して数年前訪中した際、会談した江沢民国家主席も、唐家せん外相も強調したことは、中国にとってアメリカは大事な国であり、アメリカと喧嘩はしない、ということであった。中国は経済発展に力を集中しなければならない、というのがその理由であった。
次に国連。日本の常任理事国入り問題を世界はどう思っているか。アメリカ以外の国は、アメリカの票が2票になるだけだと思っている。そしてアメリカは、常任理事国を増やしたくないと考えている、ということだろう。天木氏が指摘しているように、国際社会での役割は、常任理事国にならなければ何もできない、ということではない。国連総会を動かしているのは、常任理事国ではなく、非同盟諸国会議加盟国など、その他の国々だ。
何事でもそうだが、格好をつけることが大事なのではない。内実をこそ大事なのだ。
http://www.tembosha.com/kd_diary/kd_diary.cgi?20061218
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