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やっぱり怪しいアルカイダと米当局の関係 2004年02月04日(田中宇さん)
http://www.asyura2.com/0403/bd34/msg/380.html
投稿者 乃依 日時 2004 年 3 月 16 日 06:21:41:YTmYN2QYOSlOI
http://tanakanews.com/blog/0402041229.htm
やっぱり怪しいアルカイダと米当局の関係
2004年02月04日12時29分
イラク北部を統治しているクルド人当局は1月下旬、イランからイラク北部に越境しようとしていたエジプト人のハサン・グル(Hasan Ghul)という人物を逮捕し、米軍に引き渡した。ハサン・グルはアルカイダ幹部とされ、オサマ・ビンラディンの右腕で911事件の計画立案者とされるハリド・シェイク・ムハンマド(すでに米が拘束中)の部下だと報じられた。
ハサン・グルはアフガニスタンからイランを通ってイラクに入ろうとしたとみられるが、彼のような大物が捕まったことは、すでに多数のアルカイダ要員がイラクに潜入していることを示すものだと報じられている。先日、クルド人の町アルビルで爆破テロがあったが、これはクルド当局がハサン・グルを捕まえたことに対するアルカイダ側の報復だとする指摘もある。
イラク情勢をめぐって鋭い分析を展開し続けている米ミシガン大学のジュアン・コール教授が調べたところ、ハサン・グルという名前は、これまでに一度もアメリカのメディアに登場したことがなく、全く知られていなかった人物と分かった。アルカイダに詳しいエジプトの専門家も、アルカイダにはハサンという名前の幹部が一人いたが、その人間はすでにアフガニスタン戦争中に殺されている、指摘している。そのためハサン・グルという名前は、本人が逮捕時に持っていたおそらく偽造のパスポートの名義だというだけで、本人の本当の名前ではないだろう、とコール教授は指摘している。
Who is Hasan Ghul?
http://www.juancole.com/2004_01_01_juancole_archive.html#107544946916337154
従来から、アルカイダのメンバーとされる人々が逮捕時に持っているパスポートが偽造で、名前も国籍も本人のものではないというケースがよくあった。911事件の主犯とされるモハマド・アッタも、本当はエジプト人なのに、持っていたパスポートはアラブ首長国連邦のものだった。
米当局は、容疑者たちの本当の名前を尋問などによって特定した後、その名前で発表すべきたなのだが、それは全くなされていない。逮捕時に発表された名前や国籍が偽造のものであるとあとで分かっても、訂正はなされず、そのままっている。加えてアラビア語の名前の綴りを英語で表記する際に複数の綴りが存在することも多く、報道をもとにアルカイダの人脈を構成していくことを非常に難しくしている。
ハサン・グルのケースも、そうした米当局による従来からの悪しき「慣行」を踏襲している。ハサン・グルという名前は偽造の疑いが濃いのに、報道では「ハサン・グルは米当局の尋問に答え、有益な情報を話し始めている」と書かれていたりする。尋問に答えているのなら、彼の本名が何であるか、何者であるかということを米当局は把握したはずだ。しかし、ハサン・グルという怪しげな名前が使われ続けている。
(アルカイダについていろいろ調べたことがない方は「米当局が尋問の結果、ハサン・グルという名前が本名だと判断したのではないか」と言うかもしれない。だが、アルカイダの逮捕劇をいくつもウォッチしている人には、私が感じている「米当局の方が怪しい」という疑念を共有していただけると思う。「テロ戦争」の本質を考える際には、米当局の発表を鵜呑みにするかどうかということが重要になってくる)
プロパガンダがたくさん混じっているアメリカの報道を読み解く際の一つの方法として、どこかの英文のウェブログに書いてあったのが「長い記事の最後の方をきちんと読め」ということだった。ハサン・グルをめぐる報道に関して、コール教授が前出の記事「Who is Hasan Ghul?」の中で、その実例を示してくれている。
取り上げられているのは、イラク駐留米軍の司令官であるアビザイドの記者会見について報じたロイターの記事である。その最後の段落の最初には「アビザイドは、アルカイダがイラク国内で活動を活発化させていると言っている」と書かれているが、その段落の最後では「しかしアビザイドは、外国からイラクに流入するイスラム原理主義勢力の数は膨大な数ではないと言っている」という書き方で締めくくっている。
U.S. concerned by extremists in Pakistan, Saudi
http://www.reuters.com/locales/newsArticle.jsp?type=worldNews&locale=en_IN&storyID=4244143
「最後の方に事実がある」という原則に則ってこの記事を解読すると、プロパガンダ的には、イラクではアルカイダのテロが活発化しているが、本当は、アルカイダはイラクにはほとんど来ていない、ということになる。
アルカイダがたくさんいるほど、米軍のイラク駐留はテロ戦争の一環として重要な行動になるが、イラクにアルカイダがほとんどいないとなると、そもそもアメリカは正当な理由でイラク侵攻していないので、米国民の間に「何でイラクに何百億ドルもの軍事費を使わねばならないのか」という気持ちが広がりかねない。
コール教授はまた、イラク駐留米軍の司令官の中で、アビザイドはアルカイダの危険性を少な目にみている半面、サンチェスはアルカイダの危険性を煽っていると分析している。こうした二面性は、米中枢の「中道派vsタカ派」の「対立」にも通じるもので、世界を攪乱させる情報戦術の一つではないかと思われる。
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