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http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200711280059.html
2007年11月28日
母親と娘2人を保険金目的で殺害したとして死刑を求刑されていた広島県東広島市の元会社員中村国治被告(37)に、広島地裁で無罪が言い渡された。逮捕されたのは、放火とされた火災から5年後。別の事件で勾留(こうりゅう)中に犯行を認めた供述調書が決め手だった。しかし、公判後は「威圧的な取り調べで自白した」と否認していた。判決は自白偏重の捜査に疑問を示し、無罪を導き出した。
火災は01年1月17日午前3時半ごろ、中村被告の母親で飲食店経営の中村小夜子さん(当時53)方で起きた。小夜子さんのほか、中村被告の長女と次女が死亡した。
県警は、小夜子さんの遺体を司法解剖した結果、気道にすすが入っていないことなどから、殺害後に放火された疑いがあるとみて捜査。しかし、目撃証言など犯人に結びつく有力な証拠はなかった。3人の死亡保険金や死亡共済金を受け取っていた中村被告から約1カ月にわたり任意で事情聴取をしたが、容疑者特定に至らなかった。
事件が急転したのは06年5月。中村被告は、元妻(42)=詐欺罪で懲役2年執行猶予4年判決が確定=と共謀し、児童扶養手当をだましとった詐欺容疑で広島県警に逮捕され、小夜子さんの殺害と放火などへの関与を供述した。
同容疑の勾留理由の開示を求めた法廷で中村被告は、取調官から、ポリグラフを受けてくれ、改心するためにすべて話してくれと説得されたと説明。「心境の変化がおこるようになって、いつかその日が来たら言わねばならないと思うようになった」と述べた。しかし、公判の最終弁論では、「全く疑われることなく笑って過ごしている真犯人がいる」と訴えていた。
判決は、捜査段階での自白に信用性をうかがわせる要素があるとしながらも、自白に秘密の暴露がないなどとして慎重に判断、無罪とした。
主任弁護人の二國則昭弁護士は「『疑わしきは被告人の利益に』という原則に従った判決。極めて妥当な判決と受け止めている」と述べた。