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□似通う「冤罪の構図」 被害者が実態証言 家族“人質” 自白を強要 都合の悪い証拠出さず [西日本新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070628-00000019-nnp-soci
似通う「冤罪の構図」 被害者が実態証言 家族“人質” 自白を強要 都合の悪い証拠出さず 進まぬ「取り調べ可視化」
6月28日17時6分配信 西日本新聞
12人の被告全員が無罪となった鹿児島県の選挙違反事件や、約2年の服役の後に誤認逮捕が明らかとなった富山県の女性暴行事件など、今年に入って冤罪(えんざい)事件が次々と明らかになった。いわれなき「ぬれぎぬ」を着せられたこれらの冤罪被害者たちが今月初め、東京で一堂に会して、その実態を証言した。浮かび上がったのは、時代や地域を越えてはびこる「冤罪を生む構図」だった。(社会部・東憲昭)
「取調室で『死んだ母の写真を出せ』と言われました。手に持たされ『おまえは母に、やっていないと言えるのか』と(自白を)迫られました」
今月6日、東京・霞が関の弁護士会館で開かれた日弁連主催の緊急シンポジウム「えん罪を生み出す取調べの実態」。富山事件で無実が判明した男性(40)の証言に、同じく報告者の1人として登壇した鹿児島県志布志市のホテル経営川畑幸夫さん(61)は「自分の事件とまったく一緒」と驚いた。川畑さんは鹿児島事件の取り調べ中、親族の名前などが書かれた紙を無理やり踏まされる「踏み字」で自白を強要された。違法捜査を認めた民事訴訟の判決は2月に確定している。
このほか家族のうその供述を持ち出して自白を迫る手法でも、2つの事件は似通っていた。
「おまえの姉さんが『(犯人は)おまえに間違いないから、どうにでもしてくれ』と言っている」(富山事件)
「奥さんが(容疑を)認めている。『あんたのようなうそつきとは離婚する』と言っている」(鹿児島事件)
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共通点はまだある。捜査機関が有罪立証に都合の良い証拠だけを法廷に提出するなどの手法だ。
1967年に茨城県で起きた強盗殺人事件「布川(ふかわ)事件」で無期懲役が確定し、2年前に再審開始決定を受けた(検察が即時抗告中)桜井昌司さん(60)はこう報告した。
「私が犯行に間に合わない時間まで飲んでいたことを証言した東京のバーのママの調書があったが、検察は35年も隠していた」
鹿児島事件でも、被告のアリバイを証明しかねない質問を、公判では回避することを地検と県警が協議していたことなどが県警の内部文書で判明。捜査報告書の改ざんについて公判で偽証することを県警幹部が提案したことも明らかになった。
桜井さんは訴えた。「冤罪が多発していると言われるが、今多発しているのではない。40年前も現在も、同じような捜査で同じように自白強要などが行われている」
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こうした“捜査の犯罪”を防ぐ手だては何か。シンポで冤罪被害者たちは「取調室にカメラや録音機を入れれば、適正な捜査だったかを後で簡単にチェックできる」と取り調べ状況を映像や音声に記録する「可視化」の必要性を口々に訴えた。
2年後の裁判員制度導入を控え、審理迅速化の要請も受けた検察庁は昨年7月から東京地検で一部の取り調べの録画・録音を試行し、2月からは福岡など全国に拡大させている。だが実施件数は3月末でわずか24件に過ぎない。さらに警察側は、かたくなに導入を拒み続けている。
こうした状況に対し、日弁連「取調べの可視化実現本部」副本部長でもある美奈川成章(しげあき)弁護士(福岡市)は、取り調べの内容を容疑者自身が書き留める「被疑者ノート」の活用を強調する。26日の鹿児島県議会で新たに浮上した出資法違反事件での「自白強要」疑惑も、ノートの存在が問題発覚につながった。
美奈川弁護士は「可視化がベストだが、現状では被疑者ノートの活用が冤罪を防ぐ有効な対策だろう」と話している。
=2007/06/28付 西日本新聞夕刊=
最終更新:6月28日17時6分