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□アリバイ偽証:証言の母親無罪 「犯罪の証明ない」−−地裁判決 /埼玉 [毎日新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070602-00000099-mailo-l11
アリバイ偽証:証言の母親無罪 「犯罪の証明ない」−−地裁判決 /埼玉
6月2日12時0分配信 毎日新聞
◇「相当性欠いた聴取」
「犯罪の証明がなく、被告人を無罪とする」――強制わいせつ罪などに問われた長男の公判で虚偽のアリバイを証言したとして、偽証罪に問われたさいたま市見沼区東宮下、パート、伊藤道子被告(49)に対し、さいたま地裁は1日、無罪(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。
裁判では証言の「故意性」が争われた。検察は「長男の罪を免れさせるため、動機があったことは明らか」などと主張したが、飯田裁判長は「故意に虚偽を証言をしたと断ずることはできない」として退けた。
拘置中に伊藤被告が取り調べの様子を記録したノートなどから、否認を続ける伊藤被告に検察官は「母親であり、妻であり子どもを生んだことも間違いだ」と強圧的な取り調べを行ったことなどが判明。飯田裁判長は今年4月の公判で伊藤被告の供述調書の証拠採用を却下していた。
判決言い渡し後、飯田裁判長は「相当性を欠いた取り調べで多大な精神的苦痛を受けられ、大変気の毒で残念に思います」と伊藤被告をねぎらった。一方、同地検は「主張が認められず大変残念。上級庁と協議するなどして適切に対応したい」とコメントした。【弘田恭子】
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■解説
偽証罪は「記憶に反する証言をしたか」が問われ、裁判では故意か否かが争点となる。しかし、第3者が証人の心の中を見極めることは難しく、今回の裁判のように口裏合わせのメモがなく、自白による明らかな証拠もない場合、見極めは不可能に近いともいえる。
最高検察庁は06年、裁判員制度に向けた試案の中で「偽証罪は真相解明を妨げる重大な犯罪。積極的に立件を検討する」との姿勢を示した。公判での証言が裁判員の判断に大きな影響を与えることが予想されるための措置だ。実際、同年8月に伊藤さんを起訴した際、さいたま地検は「裁判員制度導入を見越し、偽証罪には厳正な姿勢で臨む」とコメントしている。
だが、結果として、否認を続ける伊藤さんから自白を引き出そうとするあまり、強圧的な取り調べを重ねたことを露呈してしまった。裁判員制度開始まで2年を切り、偽証罪の立件が増える可能性は高い。今回の無罪判決は、偽証罪の立証の困難さとともに、重大な人権侵害につながる危険性も示している。【弘田恭子】
6月2日朝刊
最終更新:6月2日12時0分