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□窃盗:東近江の神社でさい銭、60歳女性に有罪 知的障害疑い、執行猶予付き /滋賀 [毎日新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070412-00000259-mailo-l25
窃盗:東近江の神社でさい銭、60歳女性に有罪 知的障害疑い、執行猶予付き /滋賀
4月12日15時1分配信 毎日新聞
◇210円さい銭窃盗−−知的障害の疑い、行動制御できず
◇「服役より福祉」訴え続け、弁護人も安堵−−責任能力は完全に認定
さい銭箱から210円を盗んだとして、窃盗罪に問われた無職の女性被告(60)=東近江市=に対し、大津地裁の長井秀典裁判官は11日、懲役8月、執行猶予4年と保護観察処分(求刑・懲役1年)の判決を言い渡した。弁護側は「被告は知的障害の可能性があり、行動を制御する力が著しく減退している」などと主張し、執行猶予付きか罰金刑を求めていた。判決では「完全に責任能力がある」と認めた。
判決によると、被告は1月28日午前9時ごろ、東近江市内の神社で、さい銭用の缶から210円を盗んだ。
弁護側は公判で、「被告が再犯しないため、服役ではなく、適切な福祉サービスを受けることが重要だ」と主張してきた。
法務省が毎年発行する「矯正統計年報」によると、05年に刑務所に新たに入った受刑者は約3万2000人。このうち知的障害の目安となる知能指数69以下の人は7400人で約23%に当たる。しかし知的障害と認定されているのは287人に過ぎない。一見、日常生活には支障がないように見えるため、家族らの申し出がない場合、公的支援の網の目から漏れることが少なくない。
◇
――なぜお金を盗んだのか。
「お菓子、服を買いたかった」
――210円では買えないね。
「はい」
――どうやって買おうと思ったの。
「分かりません」
◇
被告人質問では、問われたことを問われた通りに返答し、理由を答えることができないやりとりが続いた。
被告は05年4月、窃盗罪など6件で懲役1年2月、執行猶予3年を言い渡された。判決は「知的判断力の乏しさが認められる」と認定。その後かかりつけの医師も「精神障害が推認される」と診断した。しかし被告は知的障害のテストを受けることを拒否し、療育手帳を持たないままだった。福祉施設を利用する機会のないまま、猶予期間中に再び盗みをはたらいた。
中学卒業後間もなく就職。早くに父親を亡くし、母親と2人で生活してきた。家族の支えがある間は生活に支障はなかったが、高齢と心臓の障害の悪化などから、金銭の価値を理解できなかったり、会話の内容が理解できない状態が強くなってきた。
弁護人は「長期間服役することになれば、唯一の身内である高齢の母親(87)が亡くなる可能性があった。民生委員も支援を差し伸べている今を逃せば、更生の道が断たれることになってしまった」と執行猶予の付いた今回の判決に安堵(あんど)した。
県障害者自立支援課は医師の診断を受けた上で、県内に約60人いる相談員や、5地区にある「働き・暮らし応援センター」に、どのような福祉支援が必要なのかを要望、相談することを勧める。
支援してきた民生委員は「『悪いことをした』と本人が理解し、社会で居場所を作れるよう、福祉につなぐ努力をしたい」と厳しい表情で語った。【蒔田備憲】
4月12日朝刊
最終更新:4月12日15時1分