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宇治・女児殺害、元塾講師に懲役18年…京都地裁判決
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070306p102.htm
京都府宇治市の学習塾で2005年12月、小学6年の堀本紗也乃さん(当時12歳)を刺殺したとして、殺人罪などに問われた元同志社大生で、アルバイト講師だった萩野裕被告(24)の判決公判が6日、京都地裁であった。刑事責任能力についての判断が最大の争点になり、氷室真裁判長は、犯行は計画性が高く、萩野被告に完全責任能力があったと認定し、「余りに残忍で極めて悪質。何の落ち度もない、被害者が感じたであろう恐怖心は想像を絶するものがある」と述べた。しかし、犯行時、精神病のような状態だったことなどを考慮し、懲役18年(求刑・無期懲役)を言い渡した。
公判で、萩野被告は紗也乃さんの像が剣を持って襲ってくるという幻視体験に悩まされていたと供述。公判の中で行われた精神鑑定は「広汎(こうはん)性発達障害」と診断し、「精神病のような状態にあったが、責任能力を喪失しているとまでは言えない」としていた。
まず、氷室裁判長は責任能力について検討。精神鑑定に触れ、精神病のような状態にあったとした。しかし、犯行直前まで塾で支障なく仕事をしていた▽周囲に犯行の決意を悟られないように行動していた▽現実と幻視の像を区別して認識できている――などと指摘。
その上で、他の生徒や講師に犯行を邪魔されないよう監視カメラのコンセントを抜くなど非常に計画性が高いとした。
こうしたことから、「犯行時、物事の是非を判断し、自己の行為を制御する能力があった」と完全責任能力を認定し、「妄想に支配され心神耗弱だった」などとした弁護側の主張を退けた。
動機は、指導に関する抗議や被害女児の国語の担当を外されたことなどを腹立たしく思っていたとした。
量刑について、氷室裁判長は「12歳の可能性を秘めた尊い命が失われたことは全くもって理不尽。両親の悲しみや怒りは察するにあまりある」と峻烈(しゅんれつ)な処罰感情に触れ、「安全であるはずの学習塾で、生徒を殺害した特異な事件で社会的影響は大きい」とした。一方で、精神病のような状態の中で犯行が行われたことや、犯行直後に110番し、自首が成立することを考慮し、刑を減軽した。
閉廷後に記者会見した萩野被告の弁護人は、判決について「心神耗弱が認められなかったことは残念だ。控訴は被告本人と相談して決める」と話した。
◆宇治・小6女児刺殺事件
同志社大4年生だった萩野裕被告は、2005年12月10日午前9時ごろ、アルバイト講師として勤務していた京都府宇治市の学習塾「京進」宇治神明校の106号教室で、同塾の生徒で教え子だった、市立神明小6年堀本紗也乃さんの首などを出刃包丁で突き刺すなどして失血死させたとして、殺人、銃刀法違反の罪で起訴された。
■広汎性発達障害
精神病や人格障害とは異なる、先天的な脳機能障害で、全人口に占める割合は1%前後と推定される。他人とのコミュニケーション能力に問題があり、対人関係がうまく築けない▽興味・関心の偏り、行動パターンの繰り返しなど、こだわりが強い――などの症状がある。数学的な思考に優れ、卓越した記憶力を発揮するなど知的水準が高い人も多い。健常者より犯罪への関与は少ないとされ、専門家は、障害と犯罪を短絡的に結びつけるべきでないと指摘する。
(2007年3月6日 読売新聞)