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http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20080917/CK2008091702000014.html
2008年9月17日
「関西電力に一刻も早く原因を究明してもわなければ、やすやすと現場に社員を派遣できなくなる」。美浜町の鉄塔倒壊事故で亡くなった沢井孝幸さん(44)が勤めていた岡山市の電気設備工事会社「岩井工業所」の男性幹部(59)は、切実な思いを訴えた。事故当時、鉄塔の建て替え工事に従事していた41人はすべて関電の下請け会社の社員だった。 (谷悠己、西本円)
「きつい」「危ない」イメージがついて回る送電線の建設業界は人材不足にあえいでおり、加えて青森県での原発の新設作業に大量の人員が流れている状況。通常は中国地方での仕事が中心の岩井工業所は、亡くなった中島春生さん(48)が勤めていた富山市のエフテックに沢井さんら3人の社員を貸し出していたという。
業界の不況は厳しく、工事の請け負い賃が往時の3分の2に落ちている場合もある。幹部は「社員の福利のため、少しでも多くの仕事をしようという判断だった。他地域で他社が請け負った工事なので、自社で安全性を確認することができなかった」と悔やんだ。
また、中島さんが勤めていたエフテックでは、先月に作業員が鉄塔の点検中、感電する事故に遭っていたことが分かった。
関係者によると、8月18日午前、20代前半の男性が、富山県内の北陸電力の鉄塔を点検作業中に感電し、約2週間のけがをした。男性は勤務5年目で、作業には慣れていたという。
◆関電の保守点検は目視のみ
関西電力が送電用の鉄塔で行っている保守点検は、金属の構造評価では一般的な探傷試験などはなく、目視のみだった。
関電は5年に一度鉄塔に上って目視する法定点検と、年に数回上空や至近から観察する自主点検を行う。直近の法定点検は昨年12月、自主点検は今年8月に行い、「全体的にさびが見られるが修繕の必要はない」と判断した。
だが、鉄塔が折れた個所の真上では2005年12月の大雪後に鉄製コンクリート詰めの支柱(長さ2・2メートル)2本で横方向に最大1センチのゆがみが見つかり、翌年に補強工事が施されている。
ゆがみが見つかったのは関電の鉄塔で初めてだが、関電は「日常の保守点検で健全性が保たれている」として、下請け会社に示す作業の要領書にもゆがみがあった事実を明示していなかった。
16日に会見した関電電力流通事業本部の青嶋義晴副事業本部長は「ゆがみは微小で強度に問題はなかった」と繰り返したが、倒壊事故との因果関係は「あるともないとも言えない」と話した。
事故を受け、関電は小浜市や滋賀県東近江市など5地域で実施していた鉄塔の建て替え工事5件を中断。原因究明に向け、社内検討会を設置した。
(谷悠己)