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原油高、株安、リストラ…スタグフレーションの恐怖(ZAKZAK)
ついに1ドル=100円を突破した円相場。輸出企業を中心に経営者の間から、業績悪化を心配する声が吹き出してきた。一方、原油価格は1バレル=110ドルを超え、食品や日用品のさらなる値上げも頭をもたげてきた。日本経済には、円高ドル安や株安によって景気が後退するなか、物価上昇に見舞われる「スタグフレーション」への懸念も持ち上がってきている。こうした事態は企業をリストラ、賃下げなどに走らせる恐れもあり、サラリーマン受難の時代の再到来を予感させる。
13日の外国為替市場は大荒れだった。米国のサブプライム(低所得者向け)住宅ローン焦げ付き問題に端を発した信用不安により、米大手ヘッジファンドの子会社や投資銀行が経営破綻(はたん)の危機にひんしているとの見方が浮上。ドル売り(円買い)が急加速した。
東京市場で1ドル=99円台に突入したのに続き、ロンドン市場では1ドル=99円77銭まで上昇。続くニューヨーク市場でも99円台をつけた。
一夜明けた14日の東京市場でも、午後2時31分に1ドル=99円84銭を付けるなど再び大台を突破。「投機筋はいったんは手じまいの円売りドル買いを入れているが、再びドル売り円買いを仕掛けてきた」(大手銀)とみられている。
こうした事態に、日本経団連の御手洗冨士夫会長は「急速な円高の進行は輸出企業の採算を悪化させる」とする緊急コメントを発表。リコーの三浦善司専務は「1ドル=100円を超える円高が続けば、経営効率化、コストダウンなどで影響を吸収しきれなくなり、商品価格への転嫁などの可能性も出てくる」と頭を抱える。
また、セブン&アイ・ホールディングスなど流通大手からは「急激な為替変動は、中堅・中小企業の体力を奪う。消費を支える雇用者所得への影響が心配」との声が上がってきた。1ドル=100円で推移した場合、企業の経常利益は2.1%減少するとの試算もあり、こうした企業業績の悪化が国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費を冷え込ませるという、悪循環が始まる可能性が強まってきた。
第一生命経済研究所の嶌峰義清・主席エコノミストは「円高は1ドル=95円までは想定しておいた方がいい。この流れを食い止めるには、米国政府が金融機関への公的資金投入などの抜本的な対策が必要だろう。日本の平均株価は1万1000円割れの懸念もある」と指摘する。
現在のドル安は原油高を伴っているという悪条件が重なる。13日のニューヨーク商業取引所の原油先物相場は一時、1バレル=111ドル台に乗せた。終値は1バレル=110.33ドルで4日連続で終値ベースでの最高値を更新している。
原油価格の上昇は、円高によりある程度は相殺されるが、現在の価格上昇はその相殺効果を打ち消してしまうレベル。ガソリン価格や電気料金に加え、包装材として石油製品を多く使っている日用品でも、価格上昇がさらに加速する可能性が高い。
2月末に発表された1月の消費者物価指数は、生鮮食品を除くベースで前年同月に比べ0.8%上昇と、4カ月連続のプラス。大田弘子経済財政担当相は記者会見で「物価上昇は消費者心理の悪化や中小企業の収益圧迫を招く。消費はこれまでの数値は堅調だが、決して強くはない」と警戒感を示した。
景気後退と同時に物価上昇が進む経済状況はスタグフレーションと呼ばれ、金融当局としては景気を刺激しようと金利を下げればさらなる物価上昇を招き、物価を下げようと金利を上げれば景気の後退を招いてしまうというやっかいな状況だ。経済を地獄の底にたたき落とすスタグフレーションは、米国でも進行が懸念されているが、日本でも同様の状況が起こりつつある。
賃上げ期待が高まった今春闘は、相場のリード役とされるトヨタ自動車で満額回答が得られないなど、尻すぼみの結果に終わった。サラリーマンにとっては、景気後退でリストラ、賃下げ懸念が高まるなか、物価だけは上昇するという、厳しい状況に直面する恐れもある。
ZAKZAK 2008/03/14
http://www.zakzak.co.jp/top/2008_03/t2008031435_all.html