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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007121290135303.html
2007年12月12日 13時53分
「上映会の実現を祖父の墓前で報告したい」と話す阿部さん
終戦後、中国に残留した旧日本兵が国共内戦で国民党系に合流した史実を基にしたドキュメンタリー映画「蟻(あり)の兵隊」(池谷薫監督)の無料上映会が十四日、東京都町田市常盤町の桜美林大学で開かれる。元残留兵の孫で、学生代表の文学部中国語中国文学科二年阿部拓真さん(22)=同八王子市=が企画した。祖父が何も語らなかった部隊の史実を孫が同世代に伝える上映会。「逃亡兵とみなされた祖父らの苦難や戦争の不条理さを知ってもらいたい」と呼びかけている。 (堂畑圭吾)
終戦時、中国・山西省にいた旧日本軍約二千六百人は、武装解除されないまま国民党に協力する形で内戦に突入。五百人以上が戦死したとされる。残留兵たちは帰国後「軍命だった」として戦後補償を求めたが、国は「自らの意思で戦争を続けた」として拒む。“逃走兵”と見捨てられた元残留兵の一人が、その真相を追及する姿を描く映画だ。
元残留兵の一人だった阿部さんの祖父善夫さん(故人)は終戦間近の一九四五年三月、師範学校在学中に召集を受け中国に。抑留生活を経て終戦から九年後の五四年に帰国し、小学校教諭に就いた。逃亡兵とみなされ、軍人恩給が認められないまま、帰国から九年後、三十八歳で病死した。
家族によると、善夫さんは苦難を強いられた中国残留時代の過去を何一つ話さなかった。だが、日本の公安当局に尾行されるなど、国内での境遇に悩んでいたという。
昨夏、遺品の写真の裏に書かれた記述から中国残留当時の写真と分かり、阿部さんは初めて残留日本兵問題を知る。日野市で今年九月末に開かれた「蟻の兵隊」の上映会に参加。講演に訪れた元残留兵の奥村和一さん(83)=東京都=に善夫さんの写真を見せ、部隊も捕虜収容所も同じ戦友と判明した。「この映画を見て初めて祖父に会えた気がした」という。
翌十月に学部内の自治組織に大学での上映会を持ちかけ、開催が決まった。阿部さんは「祖父らの戦争はまだ終わっていない。闇に消え去ろうとしている歴史を同じ若者たちに知ってもらい、戦争について考えてもらいたい」と話す。
上映会は十四日午後四時半から、学内のサレンバーガー館1101教室で開演。上映後、池谷監督と映画の主人公の奥村さんの講演があり、阿部さんは進行役も務める。
問い合わせは、上映会担当窓口=電090(4951)6513=へ。
(東京新聞)