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http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2007102902060080.html
2007年10月29日
「考えようによっては、幸せの99%は金で買える。なぜならモノの豊かさを味わうことはできる。でもあと1%の反逆によって、幸せはいつでもひっくり返る」。1%の反逆とは例えば病気やリストラ、災害のことで、いつあるか分からない
▼約八年前、本紙で「心に染みた言葉、指針としている言葉」を募集したところ、一番多かった回答が『老子』にある「知足(足るを知る)」だった。そこで宗教学者の山折哲雄さんになぜ今、「知足」なのかを質問したときの発言だ。この分析に基づき、「1%の恐ろしさを知ることで、足るを知ることにようやく気づき始めている時代なのかもしれない」との結論に到達した
▼長野県の伊那谷に一人で暮らし、老子の思想を実践している加島祥造さんの新著『求めない』(小学館)が好評だという。気づき始めからついに、深く考えようとする時代になった感がある
▼<求めない−/すると/簡素な暮しになる><求めない−/すると/いまじゅうぶんに持っていると気づく><求めない−/すると/いま持っているものが/いきいきとしてくる>。一昨年の夏、突然胸中にわき出た短句などを収めている
▼「足るを知る」ことでどんな富が見つかるのか、どんな豊かさが生じるのか。この問いに対して無意識に答えていたのだと、加島さんはあとがきに記している
▼それでも「求める」のが人間なのだろうが、1%の反逆の恐ろしさはもうよく知っておいた方がいいだろう。反逆の起きる確率が高い時代に生きている気がしてならない。