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そろり『反戦弾圧』 自衛隊の“市民監視”【東京新聞】
2007年7月11日 夕刊
「おはようございます」。二〇〇四年二月、東京都小平市の西武多摩湖線一橋学園駅前で、同市議の苗村洋子さん(52)と岩本ひろ子さん(47)がマイクを握り、通勤客らにチラシを手渡していた。二人は地域政党「小平・生活者ネットワーク」のメンバー。演説は市議会の報告が中心だった。
それから三年余。この街頭演説に、陸上自衛隊情報保全隊の目が光っていたことを知り、二人は仰天する。今年六月六日、共産党が入手したとして公表した情報保全隊の「内部文書」に、次のような記載があった。
「一橋学園駅北口/生活者ネットの〇〇(入手文書では実名)は、『イラクへの自衛隊派遣をめぐって』と題し、小平市議会がイラク派遣に反対し、基本計画の撤回を求める意見書を採択した旨の記事を掲載した『生活者ネットニュースこだいら』を配布した」
当時配ったチラシでは、地域や議会のさまざまな話題に加え、確かに自衛隊のイラク派遣反対の意見書可決を取り上げていた。「気持ち悪さがある。議員活動までリストアップされていたなんて…」と岩本さん。
小平市議会では六月末、内部文書に載っていた他の議員らが、自衛隊の監視活動の中止を求める意見書を提案。議案は継続審議となったが、岩本さんら二人も賛成するつもりだ。苗村さんは「モノが言いにくい社会になってはいけない。今きちんと問題提起しておいた方がいい」と言う。
自衛隊イラク派遣をめぐる草の根の反対活動などが情報保全隊に監視されていたことに、「重大な人権侵害」として抗議の輪が広がっている。憲法改正が主要争点の今回の参院選。“監視された側”からは、九条改正後の自衛隊の在り方に危機感を募らせる人は多い。
労働組合などでつくる市民団体「平和フォーラム」(東京)も、十七都道県内の約四十に及ぶ関係団体の活動が内部文書に記載されていたことが分かり、自衛隊に抗議文を出した。関係者約百五十人を対象とした集会なのに、出席者の発言内容が記録されていたことも判明。自衛隊の“スパイ”が紛れ込んでいた疑いが浮かんだ。
フォーラム事務局によると、抗議文に対して防衛省担当者は「情報収集は法令の範囲内で行っており、盗聴などはしていない。写真撮影は個々人をアップにしなければ問題はない」と回答したという。
反戦的な言動を『非国民』として弾圧した戦前が再現されようとしている−。全国五十三の市民団体は共同声明でこう訴えた。取りまとめた「有事法制反対ピースアクション」(名古屋市)の山本みはぎ事務局長(52)は「改憲で『自衛軍』となれば、やり方はもっと露骨になるのではないか」と懸念。「国民はもっと想像力を働かせて身近な問題ととらえるべきだ。参院選では憲法に関する候補者の考えをしっかり聞き、判断した方がいい」と呼びかけている。 (今村実)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007071102031563.html