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□自由競争でも裏金なし Jリーグの新人発掘 [京都新聞]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007040300033&genre=L1&area=K00
自由競争でも裏金なし
Jリーグの新人発掘
プロ野球のスカウト活動の裏金問題が波紋を呼んでいる。一方、サッカーJリーグでは新人争奪戦はあまり話題に上らない。プロ・アマ交流に制限がある野球と異なりサッカーはプロ・アマの垣根がなく、各クラブが中、高校生世代の下部組織を持ち自前で選手を育成する。J2京都サンガFCを例に、下部組織やスカウト活動などサッカー界の新人発掘をリポートする。
■自前で育成が主流
3月末のサンガ東城陽グラウンド。若手選手たちが居残り練習に汗を流す。今季は4年ぶりに下部組織のユース(高校年代)から、MF三戸雄志とFW隅田航がトップチームに昇格した。当初は戸惑い気味だった2人が徐々にプロのスピードに慣れてきた。
高1からトップチームの練習に参加した経験がある三戸は「プロとの差を実感し、何が通用して何が足りないかが分かった」と、プロと同じ組織に所属するユースの利点を挙げる。サンガでは現在、下部組織は4年代に分かれ中学生55人、高校生28人が練習に励む。Jリーグ発足当初は高卒、大卒選手が新入団の主流だったが、近年、育成体制が軌道に乗ったクラブが多く、下部組織からの昇格が主流になってきた。
■垣根なくし盛んに交流
もちろん、外部からの獲得も必要でスカウト活動は欠かせない。高卒、大卒選手は遅くとも入団前年の夏にはリストアップされ、クラブの練習参加などを経て内定となる。ドラフト制度はなく、「行きたい選手と獲得したいクラブの間で成立する自由競争」(加藤久チーム統括)だ。
ただ、必ずしも人気クラブに優秀な選手が集中するわけではない。選手がクラブを選ぶ基準を、細川浩三・強化部スポーツディレクターは「自分が成長できるか、試合に出場できるか、の2点。クラブ側も金銭で獲得する発想はない」と説明する。プロ野球で数千万円から1億円にも上る契約金に相当するのは、Jリーグの規定では「支度金」。上限は独身選手なら380万円と定められ、一獲千金からはほど遠い額だ。
金銭面でクラブ間の差があまりないため、サンガの竹林京介スカウトは「いかにクラブの魅力を伝えるかが重要になる」と説明する。サンガの場合は天然芝2面の練習場と選手寮、スポンサーに優良企業がそろう安定性などが強みで「今後、J1で上位を目指せる選手を探している、と説得できる」(同スカウト)。
新人選手の出身校にトレーニング費用を支払う規定もある。例えば新人のMF安藤淳を獲得したサンガは関大に120万円、静岡学園高に45万円を支払い施設整備費などに充てられる。サッカー界のレベルアップにつながる負担といえる。こうした背景から裏金問題は「制度上発生しにくい」(細川スポーツディレクター)。
新人の年俸も高額ではない。プロとして最初に結ぶ「C契約」は上限が480万円。公式戦に一定時間以上出場すると480万円以上のA契約を結べ、その後の活躍次第では数千万円も可能となる。FA権取得まで自由に移籍できないプロ野球と違い、Jリーグでは選手が移籍を希望し、移籍先クラブが移籍金を支払えば所属クラブは引き止める手だてがない。
野球界とは違い、サッカー界は日本サッカー協会がJリーグを含めプロ、アマの各団体を統括する。かつて日本協会強化委員長を務めた加藤チーム統括は「W杯で上位を目指す指針でプロもアマも一つの方向を向いている」と説明する。Jリーグはサッカー発祥地の欧州を参考に同協会主導で発足し、下部組織での選手育成などは欧州にならったものだ。プロ、アマ間の垣根がないから、裏金が飛び交う必要がないわけだ。不必要な壁がないことは、さまざまな交流を盛んにしサッカー界のレベルアップにもつながっている。