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□現代「あだ名」事情 「太陽にほえろ!」式は衰退 [産経新聞]
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/trend/070518/trd070518000.htm
現代「あだ名」事情 「太陽にほえろ!」式は衰退
赤シヤツ、野だいこ、山嵐…。おなじみ夏目漱石の『坊っちゃん』に登場するあだ名だ。あだ名は人間関係を親密にする効果があるが、若者の間で近年消えつつあると感じ、調査を続ける研究者がいる。一方で、「ビジネスネーム」として取り入れて積極的に活用している企業も。あだ名の現状を探った。(森浩)
激減
「ここ10年であだ名が衰退してきているように感じます」−。椙山(すぎやま)女学園大学教授の加藤主税(ちから)さん(言語学)は「現代あだ名事情」について感想を語る。
加藤さんは大学生のあだ名について研究を続けている。昨年もアンケートを通じて2000のあだ名を収集したが、以前と比べ集まった数が激減したという。「700人の学生に周囲のあだ名を列挙してもらったが、同じ手間で10年前は4000件集まった。今回集まったあだ名は“小学生のころ”という過去のものも多く、若者があだ名で呼び合わなくなっている現状があるのではないか」と加藤さんは調査を振り返る。
「〜っち」「〜ちん」主流
最近の“主流”は「〜ちゃん」「〜ちん」「〜っち」といった愛称だ。「もちろん渡辺さんが『ナベちゃん』『ナベさん』と呼ばれる愛称は昔からある。だが、『坊っちゃん』に登場するものや、ジーパンやマカロニといった『太陽にほえろ!』式の凝ったあだ名が減っている。かっこよくないというイメージが若い世代に広がっているのではないか」と加藤さんは語る。
“衰退”の理由について、『命名の言語学』の著書のある埼玉大学教授の山口仲美さん(日本語論)は教育現場での指導に言及する。「あだ名は、身体的特徴からつけられることも多く、近年は『使っちゃいけません』と教育現場でストップがかかる傾向がある。だから、『ちゃん』や『ちん』といったシンプルな愛称が増えてきているのではないか」と分析する。
公私
一方、あだ名を“ビジネスネーム”として積極的に取り入れている企業もある。
「公私をはっきり分けて、プロとしての業務に徹するのが目的です」と語るのは、建設機器レンタル大手「レンタルのニッケン」全社総務部長の値悟(ねご)太郎さん。
同社が「ビジネス・ネーム制度」を導入したのは約20年前。上司が付けたケースもあるが、多くは入社研修時に自分で考えて付ける。建設業界だけあって、「曇り」「雨」などの“忌み言葉”はあるが、基本的に自由で年次を経た途中での変更も可能だ。「社内に佐藤さんがたくさんいても、ビジネスネームで区別できることもメリットの一つ」と値悟さんは強調する。値悟という“姓”もビジネスネームで、値段の交渉に携わっていたことから、ネゴシエーター(交渉人)に由来する。
業務上で呼び合う際に使う以外にも、異動の発令内示や給与明細に記載される名前もすべてビジネスネームという徹底ぶりだ。「本名を知らない社員も多く、飲み屋でもビジネスネームで呼び合っています」(値悟さん)
また、トイレの維持管理を手がけるアメニティ(神奈川)でも同様の「ビジネスネーム」を導入。社長自らが「御手洗(おてあらい)銀三」を名乗るなど、社員全員が“ならでは”の名前を付けているという。
福井大学教授の大野木裕明さん(心理学)の話
「ニックネームは人間関係を円滑に進めるための道具となる。例えば、親しくなりたい場合、あえてあだ名を付けて呼んでみると、相手との距離を一挙に縮めることにも役立つし、集団の場合は団結にも寄与するだろう。一方で、『黴菌(ばいきん)』のようは不快なあだ名は一気に集団からの排除の道具とも化してしまう。そういう意味で、人間関係の距離を作るツールといえるのではないか」
(2007/05/18 12:13)