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2008年2月26日(火) 特集/スクランブル
世界中の池や湖などに生息し、自ら油を生成する藻の一種「ボトリオコッカス」を培養、抽出した油をバイオ燃料として役立てる技術の開発に、筑波大や国立環境研究所などの共同研究チームが取り組んでいる。
トウモロコシなど穀物を原料とするバイオ燃料と違い、発展途上国での食糧難や穀物価格高騰を招く心配がない。大量培養が可能になれば大気中の二酸化炭素(Co2)を吸収させられるので、地球温暖化対策とエネルギー資源の確保とを同時に実現できる夢のエネルギー源となる。
▽そのまま燃料に
もともと石油は一億―二億年前に生存していた植物性プランクトンの死骸(しがい)などが高温高圧下で長年にわたり積もってできたものとされ、油を生成する種類の藻があることも知られていた。
米国ではオイルショック後の一九七〇年代からバイオ燃料としての藻の研究が進んでおり、最近では大手航空機メーカーがジェット燃料を生産する技術を開発中。日本でも研究はされているが、大量生産が難しくコストがかかるため、実用化は厳しいとされていた。
研究チームは藻類の中でも飛び抜けて油分を豊富に持つボトリオコッカスに注目した。ボトリオコッカスは、光合成でCo2を取り込んで炭化水素を生成、細胞外に分泌する。生産する炭化水素は重油に似た成分の油で、そのまま船の燃料に使えるほど質が高い。
▽培養法が鍵
チームは、日本各地のダムや湖、池などから約百五十種類のボトリオコッカスを集め、油を多く生成し、増殖しやすい株を発見。窒素、リンなどの有機物が含まれる生活排水や、工場から排出されるアルカリ性の廃液で薄めた水を与えると、効率よく増殖することを突き止めた。
環境研の田野井孝子(たのい・たかこ)アシスタントスタッフは「ボトリオコッカスは、搾って油を抽出しても死なずにまた油を生産する。大きな可能性を秘めた生物だ」と話す。
収穫量は一ヘクタール当たり年間約百二十トンで、効率はトウモロコシやベニバナの百倍以上。試算では三十万ヘクタールで生産すると、一リットル当たり百五十五円程度と現在のバイオ燃料より安くなり、関東地方の面積があれば日本の輸入量はまかなえるという。
国外の砂漠などでの培養を検討中で、ほかの微生物が入らないような屋外での培養法の確立が今後の課題だ。
筑波大の渡辺信(わたなべ・まこと)教授は「日本が燃料輸出国になる日を夢見て、さらに効率のいい培養法を開発し、十年以内に実用化したい」と話している。
http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/scramble/scramble2008/20080226.html
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