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http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0711/200711_020.html
この文章を読んでいる時,あなたの目は左から右へと小刻みにジャンプし,視線は次々と文中の単語に向けられていく。このように自分の目の動きに注意してみると,本のページや人の顔,風景を見ている時に,目の筋肉が頻繁に収縮していることに気づく。
しかし,サッカードと呼ばれるこのような眼球運動は,目の筋肉が日々行っている激務のごく一部にすぎない。起きている時間の80%は私たちの視線はどこかにとどまっているが,その間も目は常にジャンプしたり細かく揺れ動いたりしている。このような目の小さな動きは見る能力に必要不可欠だ。何かを注視している時にこの目の小さな動きを止めてしまうと,静止したシーンは私たちの視界から消え去ってしまう。
“視線がとどまっている間”の無意識の眼球運動の中で,1回の動きの幅が最も大きいものは「マイクロサッカード」と呼ばれている。ここ50年間,この運動が何か特別な役割を果たしているのかについて激しい論争が続いてきた。バーロー神経学研究所のマルチネス=コンデ(著者の1人)が示した実験結果によると,静止した世界を眺めている時に視覚が消えてなくならないのは,この微細な目の動きのおかげらしい。
一方,マイクロサッカードは脳がどのように視知覚を認識しているのかを探るのにも役立っている。それだけではない。この小さな眼球運動の向きは不規則ではなく,たとえ視線が別の場所に向いていたとしても,密かに注意を向けている物体の方に偏っている。つまりマイクロサッカードには人の隠れた考えや欲望が表れているのだ。
著者
Susana Martinez-Conde/Stephen L. Macknik
マルチネス=コンデは,フェニックスのバーロー神経学研究所の視覚神経科学研究室長。スペインのサンティアゴ・デ・コンポステラ大学で内科と外科のPh. D.を取得した。マクニックはバーロー神経学研究所の行動神経生理学研究室長で,ハーバード大学から神経生物学分野のPh. D.を取得した。
原題名
Windows on the mind(SCIENTIFIC AMERICAN August 2007)
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