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穀物の高騰 マヨネーズは警告する
2007年6月4日
米国のエネルギー政策が、日本の食卓に波及する。グローバル化した食べ物の供給線は、国際情勢や地球環境のささいな変化に大きく揺れる。輸入依存の飽食ニッポン。このままでは続かない。
最大手のキユーピーが六月から、マヨネーズを十七年ぶりに値上げした。原料の食用油が急騰したためという。
急騰の理由は、トウモロコシだ。輸出量の七割を占める米国でトウモロコシの相場が跳ね上がり、大豆からトウモロコシに転作を図る農家が後を絶たない。
「トウモロコシ特需」がはじけるきっかけは、一月のブッシュ米大統領の一般教書演説。十年後にガソリン消費量を二割削減、代替燃料の供給量をバイオエタノール換算で七倍に増やす方針を打ち出した。
バイオエタノールは、トウモロコシからつくる。シカゴ商品取引所の相場は翌月二倍になった。
トウモロコシの生産量の六割は家畜の飼料に回る。牛肉一キロを作るのに十一キロのトウモロコシが必要だ。肉類や乳製品にも値上がりの気配がある。バイオ燃料先進国ブラジルでは、原料のサトウキビを増産するためオレンジ畑がつぶされており、砂糖やジュースも高くなりつつある。
オーストラリアの干ばつによる大凶作で、小麦の値段も上がっている。大豆は豊作だが、中国の輸入が増えて高値が続く。
米国、中国、エネルギー対策や温暖化…。グローバル時代の食卓は、複雑に絡み合うさまざまな要素の微妙なバランスの上に乗っている。
国際市場で食べ物を確保する努力は引き続き必要だ。だが、地球では、八億人以上が飢えている。一方で、水産物に見られるように他国との競合も多くなり、経済力にものをいわせて世界中から食べ物をかき集められる時代ではなくなった。
日本の食料自給率は40%。その危うさを今あらためてかみしめたい。
国内でもバイオ燃料への期待は高い。だが、資源作物には頼らずに、稲わらや廃木材など、食べられない物や部分を活用する技術を確立し、世界に示す気概がほしい。
全体で埼玉県ほどの広さになる耕作放棄地を、エネルギーの“畑”として再利用できないか。
消費者も気持ちを切り替えたい。
ありあまる「モノ」を食い散らす暮らしをやめて、限りある「いのち」をいただく感謝を取り戻そうと、マヨネーズの値上げは告げている。
手始めに、年間二千万トンを超える食品廃棄物を減らす工夫を、家庭でも始めてみてはいかがだろうか。
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007060402021467.html
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