★阿修羅♪ > 環境・エネルギー・天文板2 > 119.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
先の旧ソ連の地球物理学者達は、著書の中で、最新の地球物理学、及び地球化学の分野では、地球内部に蓄えられている大量の「水」の働きが注目されているという。現段階では仮説の域を出ていないと断った上で、地殻内部において、モホロビチッチ面の上に「排水殻」なるものが存在するという考えを提唱している。このモホロビチッチ面とは、発見者の名を取って命名されたものであるが、地表面下ある深さで地震波が急激に増大する不連続面があり、物質組成が急激に変化することを示しており、地殻下層の玄武岩層とマントル層とを分ける境界面をいう。
この地殻深いところの対流層である排水殻により、地殻内部のあらゆる現象の説明が付くとしている。現在の通説のプレートテクトニクス説では、複雑な地殻内部の動きには何ら役立たないものだ。今回、地球の内部構造や幾多の現象を理解する上で、通説を大きく超えた新たな地球物理学の「排水殻」理論に対し、極めて説得力のあるものを感じた次第だ。
例えば、ヒマラヤ山中で−北海道の日高山脈の山中でもそうだが−時折、貝殻が発見されたりするが、通説では、決まり切って、かつてそこは海であったとかの見解が堂々と主張されるが、当方も以前から大いに疑問に思っていたものだ。ヒマラヤや日高山脈に貝殻が存在するからと言って、ヒマラヤや日高山脈のような巨大な山塊が、海底からそのまま隆起することはまず考えられなかったからだ。ヒマラヤや日高山脈を、かつて、海岸が海の方へ後退して海底が隆起してできた、千葉県の房総半島や関東平野などに例えたり、また海岸に近い平野部や小高い丘や谷の低地に多く見られる縄文遺跡の貝塚などと比べたりするには、余りにもスケールが違うというものだ。
実に、ヒマラヤや日高山脈に対し、そこがかつて海だったというよりも、むしろ海だったところから運ばれてきたと考えた方が合理的ではないかと思っていた。そのまま海底が隆起して山脈になったと言うよりも、海底が沈降して、地殻内部の巨大な溶液流(排水殻)により、堆積した貝殻も海洋底から地殻内部を通って運搬されていき、遠く離れた大陸塊の底に潜り込んで、そこから隆起していったと考える方が理に適っているというものだ。即ち、ヒマラヤや日高山脈は、かつて海だったところがそのまま隆起したのではなく、海だったところから運ばれてきて隆起したというものだ。
当方も既に、排水殻理論に巡り会う前から、通説のプレートテクトニクス説に限界を感じており、またヒマラヤや日高山中の貝殻の起源に対する通説に多大な疑問を有していたものだ。排水殻理論を主張した本に出会ったのも、不思議と見えざる神仏が導いてくれたように思われてくる。
なお、「排水殻理論」の提唱者達は、火山の爆発の原理に関しては、詳細な検討の延長に、放射性物質が関係しているのではないかとの疑問を提示しながら、最終的には、未だ理解できないとして、完全に解明するには至ってはいないようだ。それでも、かなりの核心にまで迫っているのも確かだ。当方も、排水殻理論により、幾多の基本的な重要知識を教えられながら、更にそれを踏み台にして、後述するように、聖心先生の最終的な真理と思われる指摘に至るまでの、通説との乖離を埋めるためにも、新たに提示する仮説に繋げていくためにも、多大なる示唆を受け大いに参考になったものだ。
さて、当該研究者達によると、地殻中に一面に蒸気や溶液の循環の結果できた「排水殻」があり、それが地殻の「花崗岩層」と「玄武岩層」とを形成させ、地質時代にも大陸と海洋とが絶えず存在し、大陸は絶えず浸食されては「浮上」し、海洋は陸地からの削剥で間断なく満たされ、形成された海洋の地殻が大陸下へと「潜入」することによって沈降すると言う。そして、蒸気は凝結して水になり、この水は熱水溶液を形成し、ゆっくりと下方へ「流下」し始め、蒸発する地点に達すると、再び蒸気となって上昇運動を開始する。水によく溶ける物質は下方へ運ばれるが、揮発性物質は蒸気とともに上昇する。
蒸気の凝結する境界はそう深くなく、大陸では地表下一五〜二〇キロメートル、海洋底下では五〜一〇キロメートルであり、流体が気化する境界は三五〜四〇キロメートルの深さで、そこでは温度は四二五〜四五〇℃である。水が状態変化を起こすこの二つの境界(下の境界では液体→蒸気、上の境界では蒸気→液体)の間が地球の「排水殻」となっていると言う。実に、この「排水殻」という名の物理化学的コンビナートでは、地殻の多様性を生み出し維持する過程が絶えず進行していると言う。
ところで、地殻内部で地震波が大きく変わる部分はモホロビチッチ層とも呼ばれているが、海洋下ではモホロビチッチ層の横たわる深さは、通例五〜七キロメートル、まれに一〇〜一五キロメートルであるが、大陸下では三五〜四〇キロメートル、高い山脈の下では七〇〜八〇キロメートルにもなる。モホロビチッチ面より上にある層全体が地殻とみなされ、地殻には厚さと組成の異なる大陸地殻と海洋地殻の二種類が存在することが解っていると言う。だが、
・モホロビチッチ層がなぜかくも様々な深さに存在し、大陸や山脈の下ではそれは数十キロメートに「沈む」のに、海洋の底では逆に「浮き上がる」というふうにその地域の地形の影響を受けているのはなぜか?
・同時に、この不思議な層の横たわる深さが、地殻を構成している岩石の年令と如何なる関係も持たないのはなぜか?
・地殻は概略的に、堆積岩層、花崗岩層、玄武岩層の三層に区分されるが、花崗岩層と玄武岩層とは地殻の初成物質が分化したものと考えられ、それら二層を境しているのがコンラッド面と呼ばれるものであるようだ。このコンラッド面はどうして出現したのか?
・また海洋地殻に花崗岩層がないのはなぜか?
・山岳地方は主として海でできた堆積岩層から成っているのはなぜか?
・古い地層が新しい地層の下に横たわるのが自然なのに、新しい地層が古い地層の下になっているような地域が多いのはなぜか?
・海洋底には割れ目と中央海嶺があり、その全長は八万キロメートルに達しているが、どのようにして発生し、その出現の原因は何か?
・また、地殻熱流量が最も大きいのは陸地の山脈中にあるのではなく、海洋底の中央海嶺であるのはどうしてか?
・深層の石油の起源はどう考えたらよいか?
などと疑問を投げ掛けて、これらの様々な問題に対して、「多くの学説は充分に応えていない。地殻内部に豊富な水があることは疑うことはできない。地球内部には色々な資源、鉱物の熱水鉱床がたくさんあるが、それらは高温の熱水溶液が作用した結果生じたことを物語っているからだ。」とし、この新しい排水殻の仮説は、これまで曖昧なままに隠されていた多くの問題を極めて鮮明に解決していくものだと言う。
この排水殻は、大陸下では、マントル物質を大陸性の岩石に変化させ、海洋下では、大陸から削剥された岩石が海底に堆積してマントルを作る化合物や鉱物に改造される一大工場であり、全地球的規模の強力な深層水溶液のシステムであり、地球物質の全循環機構の一部であると言う。
即ち、《厚い大陸地殻と薄い海洋地殻という二種類の地殻の出現は水の垂直循環と排水殻を伝わって海洋下へのその移動によって説明される。大陸は洗い流されては浮上し、大陸に続いてマントルの密な物質が上昇するが、排水殻がなければ陸地の軽い岩石のように浮上することはないだろう。即ち、排水殻内では既知のようにマントルの岩石の大陸性の岩石への転化が起こっている。臨界点を越えた蒸気がシリカを上方へ運び、熱い液体がマグネシウム、カルシウム、鉄分を洗い出して下方へと運び、そこではまた、推量することしかできないが、他の重要な化学反応も多数起こっている。
第二の、いわば天上の循環枝もまた水の作用で生じた。雨水は陸地の岩石を海洋へと洗い流し、それを海底に軟かい底質として堆積させ、その後この底質は新しい地層の重みによって圧縮を受けるだけでなく、排水殻から常に熱い水溶液が上昇し、浸透し膠結して、底質の密度を増し、温度を上昇させる。そして底質より重くなり、ますます深く沈降し、ついには海洋底の岩石に変化する。
海洋地殻は新しい堆積物の重みで排水殻の下へ下降し、やがてマントル物質と区別がつかなくなり、マントルに属するものとなる。この循環で重要なことは、氷山の融解のところ(省略)で触れたように、海水面上の大陸の高さは長期間動力学的な平衡によって初めて保たれていたということである。即ち海洋殻の物質がマントル物質に転化したのと同じ量のマントル物質が大陸地殻の物質に転化した。こうして排水殻は、大陸下では、マントル物質を大陸性の岩石に変化させ、海洋下では、大陸から削剥された岩石が海底に堆積してマントルを作る化合物や鉱物に改造される一大工場である。》
《排水殻は全地球的規模の強力な深層水溶液のシステムであり、地球物質の全循環機構の一部である。排水殻に沿って固形物質が運ばれ、また排水殻のおかげで驚くほど一定の地形が維持され、それから生じた大陸が浸食によって軽くなり浮上し、一方、海洋底は堆積物が堆積し、沈降し、絶えず若返りながら、その水準を維持している。そしてマントルだけが地質学的な仮説の結末を隠蔽した謎の根源として、大循環の輪の下降して来る場、上昇の始まる場として残されている。》
《花崗岩は大陸の地殻の上半分を作り、海洋地殻には存在しないが、古い島や小大陸には存在する。山岳地方が生まれそれが激しく浸食された時期は極端に異なるのに、なぜ花崗岩は常にほぼ同一の深さにあるのだろうか? また放射性元素が特に花崗岩中に集中しているのはどうしてだろうか? もしも玄武岩がコンラッド面を横切って上昇したのだとすれば、それはどのようにして花崗岩に変化するのだろうか? もしも花崗岩がコンラッド面を横切って沈降したのだとすれば、それはどのようにして玄武岩に変化するのだろうか? 海洋下の地殻に花崗岩が形成されるのを妨げている要因は何か? これらの花崗岩に関する問題にも多くの学説は充分な解答を見出せないでいる。》
《排水殻は、鉱物質の水溶液をモホロビチッチ面上の層準に沿って遠く大陸下から海洋地殻内に移動させることができるのが本質的な特性である。排水殻へ下降した水は大陸の物質や大陸中に上昇するマントル物質から、ある種の化合物を洗い出して排水殻中の運河沿いに海洋下へと運搬し、そこで水溶液は上昇して海洋地殻にしみ込んで地殻を作る堆積岩を玄武岩に変える。かつてはどこでも同じであった原始地殻が大陸地殻と海洋地殻に分かれるには、水溶液は排水殻沿いに大量の熱と溶解物質を運んだに違いない。》
《大陸下から海洋下へ、次いで海洋地殻へと熱や溶解物質が移動することによって海洋地殻がマントル物質に転化した。なお、花崗岩と玄武岩の化学組成を比べて見ると、著しい差異がある。即ち、花崗岩には玄武岩よりもシリカが一〇〜一五%も多いのに、玄武岩にはマグネシウム、カルシウム、鉄の酸化物が花崗岩よりも多く含まれ、この為に大陸の物質はより酸性であり、海洋底の岩石はよりアルカリ性である。正に花崗岩は大陸を特徴づけるものであり、海洋地殻にはそれは一般に含まれていない。この問題に対する解答は、排水殻とそこで進行する過程の中にある。》
《花崗岩から玄武岩、あるいはその逆への変化はコンラッド面で行なわれており、排水殻という特珠な化学工場の中での花崗岩と玄武岩の生産工程の基礎となるのは、モホロビチッチ面とコンラッド面との間の岩層内で進行する物理化学過程である。この過程では、コンラッド面から下方へとカルシウム、マグネシウム、鉄に富む液状溶液が移動し、モホロビチッチ而からは逆にシリカ、カリ塩などの揮発性物質を含む蒸気が上昇する。カルシウム、マグネシウム、鉄を溶脱し、それをシリカで置換する過程が即ち花崗岩化作用である。ある元素と他の元素との置換は特にコンラッド面付近で激しく起こり、ここでは蒸気がシリカを運んで来るが、このシリカがカルシウム炭酸塩その他の岩石と作用するようだ。そして、カルシウム原子の場所に珪素原子が「座って」、全体的に珪酸質となり、当初の性質が消えうせて花崗岩となる。
このように、地殻が隆起して玄武岩がコンラッド面を越える場合には、分子構造や化学組成を含めて内部構造の再編成が起こり、コンラッド面では、「花崗岩化作用」が進行する。一方、花崗岩が沈降して排水殻へ入り込むと、やはり大改造を受ける。即ち、上昇して来る臨界点を越えた蒸気が花崗岩からシリカを「吹き払い」、コンラッド面の上へと運び去り、その代わりに上から浸入して来る液状溶液がマグネシウム、カルシウム、鉄を持ち込み、珪素から解放された場所を「静かに」占領して、花崗岩が玄武岩に変わる。》
《大陸地殻下の排水殻は大陸の液柱の重みで高圧となり、溶液を排水殻沿いに海洋の方へ押しやり、外側へ、上方へと追い出す。一方、海洋地殻では水柱圧が小さい為、水は地下深部に浸み込まない。簡単に言えば、海底には花崗岩化作用の工場がなく、そのような条件はそろっていない。海洋地殻にはアルカリ金属を始め、下方から蒸気によって持たらされるシリカや、カルシウム、マグネシウム、鉄の塩類が水溶液とともに持たらされ、これらの成分が岩石中に入り込んで相互に作用し、堆積岩を各種の海洋玄武岩に作り変える。実に排水殻は素晴らしい鉱物の工場である。》と指摘する。
そして肝心の火山爆発に関係すると思われるエネルギー源としての放射性物質に関しては、《放射性物質の大部分は地球全体のわずか四〇〇〇分の一の質量しか持たないこの薄膜に集中している。この過程の考察として、かつて冷たかった地球が中心から徐々に加熱され、そして中心部に排水殻が生まれたが、それは現在のものとは余り似ていなかった。だが非常に古い地質時代にも、液状溶液は下降し、上昇する蒸気はシリカや放射性物質を含む揮発性物質を上方へと運び出した。そして地球が加熱され、排水殻が中心からだんだん上昇するにつれて、岩石一トン中に数十分の一グラムしか含まれていない放射性化合物も排水殻と一緒に動いて、排水殻に集中した。
その結果、放射性物質の圧倒的部分(計算上は約九五%)が地殻中に集中するという現在の力学的状態が生じた。残りの五%はマントル中にあり、核中には全く存在しない。また排水殻説に立って、放射性同位元素−四〇を含むカリウムが花崗岩中に集積している理由も考察できる。つまり、塩化カリウムは塩化ナトリウムよりも水によく溶けるにも拘らず、海水中のナトリウム原子はカリウム原子よりおよそ五〇倍も多いが、花崗岩中ではカリウムの方が優勢なのは、より塩基性の強いカリウムがナトリウムやカルシウムを追い出して、自身が花崗岩の構成鉱物、特に長石の成分として入り込む為である。
固形物質の循環の際に排水殻に入り込んだカリウム塩は上昇する蒸気によって運び去られ、カリウムが花崗岩の長石の中に蓄積される。そして山岳部で最も激しい陸上浸食が進むにつれて、特に陸地の地殻は花崗岩とともに上昇して地表面にますます近づき、ここで花崗岩は風化されて、カリウムも水溶性の塩を作る。水は再び下降してカリウム塩の大部分をコンラッド面へ持ち去り、そこでカリウムはゆっくりと上昇して来る若い花崗岩に出会ってその成分となる。新しく出来た花崗岩はカリウムに富むようになるが、その中には放射性同位元素のK−四〇も含まれている。そして他の放射性元素も同様にして、花崗岩を構成する鉱物に取り込まれる。》
とし、《排水殻の単純なメカニズムによって地球化学の多くの問題が説明される。》と、上昇する蒸気と共に、放射性化合物も排水殻と一緒に動いて排水殻に集中して、花崗岩に取り込まれていくことを指摘するものだ。
http://www4.ocn.ne.jp/~mukzke98/kazanbainokosatu.html
▲このページのTOPへ HOME > 環境・エネルギー・天文板2掲示板
フォローアップ: