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地殻内部における「排水殻」の存在と活動
http://www.asyura2.com/07/nature2/msg/118.html
投稿者 仙経顕聖 日時 2007 年 2 月 10 日 00:02:57: BhKV8MVi3DaqQ
 

 先の旧ソ連の地球物理学者達は、著書の中で、最新の地球物理学、及び地球化学の分野では、地球内部に蓄えられている大量の「水」の働きが注目されているという。現段階では仮説の域を出ていないと断った上で、地殻内部において、モホロビチッチ面の上に「排水殻」なるものが存在するという考えを提唱している。このモホロビチッチ面とは、発見者の名を取って命名されたものであるが、地表面下ある深さで地震波が急激に増大する不連続面があり、物質組成が急激に変化することを示しており、地殻下層の玄武岩層とマントル層とを分ける境界面をいう。この地殻深いところの対流層である排水殻により、地殻内部のあらゆる現象の説明が付くとしている。現在の通説のプレートテクトニクス説では、複雑な地殻内部の動きには何ら役立たないものだ。今回、地球の内部構造や幾多の現象を理解する上で、通説を大きく超えた新たな地球物理学の「排水殻」理論に対し、極めて説得力のあるものを感じた次第だ。

19 火山噴火活動に関する説明の限界  
 地殻内部の様々な現象に対して、現在の地球物理学は明快な解答を提起していないように思われる。特に火山の爆発に関しても、単なるマグマの沸騰ぐらいにしか認識していなくて、噴火の際に大量の水蒸気が発生する理由も単に地下水が浸透したからとかの説明しか為されていないようだ。それに火山灰の様々な特殊な性状に対しては有効な説明が殆どできないようだ。既に、理論的にも限界を露呈して破綻しているものと思われ、論外である。先の排水殻理論を提唱し、多くの示唆を提供してくれたこの地球物理の科学者達から、最も関心のある火山活動のエネルギーやその原理について、詳細な現状分析から幾つかの仮説に対して説明を拝聴することは、現在の通説の限界を知る上でも大いに参考になるものだ。
 まず、先の研究者達は次のように指摘する。
《火山活動で最も驚くべきことは火山のものすごいエネルギーであるが、平均的な規模の噴火の際で、石炭の四〇万トン分に相当する量のエネルギーを放出している。大噴火の際には石炭五〇〇万トン分のエネルギーを、火山からの一瞬の爆発で放出しており、地殻と火山がエネルギーを引き出している場所のエネルギー埋蔵量を概算してみるとこの数字は驚嘆に値する。
 火山が放射性物質から放出される熱で活動しているとして、一回の噴火に要するエネルギーは一年かかってマントル数百万立方メートルの中で作られるエネルギーに相当していることを計算は示している。この放射性崩壊熱がどのようにしてマグマ溜まりに集中するのかは全く解らない。火山活動の原因をガス圧に求めようとする試みが為されているが、この仮説の同調者達は次のように考えている。数百年、数千年に亘って、マグマからそれに溶けているガスの気泡が放出されると、気泡が上昇するにつれて、その周囲の媒体の圧力が低下するので、ついには気泡は破裂し、マグマの一部をもぎ取って地表面に放り出す。
 噴火の周期性についてはマグマの外殻によるガスのせきとめによって説明される。外皮を突破し、「栓を抜く」為には、ガスは蓄積して力をためなければならない。この仮説の弱点として、この科学者は、マグマの外殻が一度破られると、ガスは全て抜けてしまい、新たにガスをためるような過程は起こり得ない。即ち、既に栓を抜いたビンから何度もシャンパンをあふれさせることは不可能である。
 火山活動のエネルギー源を探して、学者達は地球内部へ眼を向けるはめになった。謎を解くカギは地球深部に秘められていると考える火山学者もいる。だがマントル内部には爆発できるほど恒常的なエネルギー源もガス源もない。既述したように、放射性物質は地球内部に一様に分布しておらず、主として花崗岩の中に、つまり大陸地殻内に集中している。しかし火山放出物中に放射能が高いという証拠も見つかっていず、その水やガスの同位体組成は地表面の水やガスと同じである。》
 《地殻下の高温流体の分泌物も存在しているが、その量はそれほど多くなく、地球内部に分散しているので、地球上の長期に亘る火山活動の熱水部分すら保障することはできない。相変わらず、火山活動については解らないことだらけである。火山が若い海洋底に集中しているのはなぜなのか? 噴火が何度も見られ、噴火の継続時間や活動が大きいのはなぜなのか? また蒸気やマグマの大きなエネルギーはどこから得られるのか? 全く解らないという。それでも、火山活動は陸地ではなく主として海洋に固有の現象であるということができる。
 通常、火山活動の原因は上部マントルに求められている。深さ二〇〇~四〇〇キロメートルのその場所にはアステノスフエアと呼ばれる軟化した物質の層が存在しているが、そこからエネルギーや物質がやって来て、大気圏へと放出され、火山丘を作るとする仮説がまだ支配的である。その為には小さい火山丘でさえ、高さ二〇〇~四〇〇キロメートルに及ぶ垂直な導管をもっていなければならない。砂の層を通って蒸気が放出される過程をモデル化した実験で解ったことだとして、蒸気を噴出する地点の間の距離は砂層の厚さに依存していて、平均すると厚さの三~五倍であるが、海洋底上の火山丘の間隔は二五~三〇キロメートルだ。
 通常、火山の密集を説明する為に、どろどろ溶けたマグマの中継地が深くないところに存在すると仮定している。多くの火山丘の出現を説明する為には、海洋地殻の下に巨大なマグマ溜まりがあり、しかも数十万を数える火山の数を考えると、深さ数キロメートルという極めて浅い所に単一の連続したマグマ溜まりを考えなければならない。
 ここで排水殻説の助けを借りて、海洋における火山活動の原因を考察してみると、海洋地殻の排水殻は、火山噴火の為に必要な普遍なマグマ溜まりの存在する深さにある。排水殻は過大な圧力をを持った高温の水蒸気性溶液で満たされ、海水や水溶液の重さによる海洋の排水殻の静水圧はほぼ一〇〇〇気圧であるが、陸地の地殻の排水殻中のそれは三〇〇〇~六〇〇〇気圧(地殻の厚さが三〇~六〇キロメートルのとき)に増加する。大陸下の排水殻中の静水圧がより高いのは、大陸が海水面から平均八七五メートルの高さにある為だけでなく、また大陸地殻内の割れ目や断層が、大陸沿岸部の排水殻から海洋の排水殻へと上昇する蒸気状の溶液よりも重い溶液によって満たされている為でもある。
 大陸地殻と海洋地殻はU字管のような役割をしており、しかも一方の管、即ち大陸地殻のほうが海洋地殻よりも静水圧が高い。その為に海洋の排水殻は大陸の排水殻を充填している高塩の水溶液ないしは蒸気状溶液の放出の場となる。溶液が絶え間なく流入して来るため海洋の排水殻に過大な圧力が生じ、それが海洋底の多数の火山活動を誘発している。
 この噴火は「安全弁」に似た働きをする。圧力が深さ四~五キロメートルの海底の水圧に打ち勝つことができる間は、地殻を突き破ってこのような「安全弁」が働くが、最終的には圧力が低下して火山は休止する。しかし、静止期間は長くはない。
 排水殻は全地球をカバーしており、至るところに高圧の蒸気があるのだから、しばらくすると圧力は再び水圧に打ち勝つ程になる。噴火の際にはいつも大量の高温蒸気を吹き出し冷却すると、この蒸気から大量の火山灰が降って来る。火道や排水殻の中の所定の場所の圧力が急激に低下すると、珪酸塩、珪酸アルミニウムその他の物質の溶解度が低下し、それらの物質は粘っこいゼリー状の塊となって沈殿する。この鉱物性の「どろどろした溶液」は火道に溜まり、海底に溶岩、凝灰岩、軽石の形で堆積する。
 深さ三~四キロメートルの海中で起こる噴火は多くの場合大気中には蒸気さえも吹き上げない。というのは蒸気は臨界値を越えた圧力と水中での急激な冷却によって水となるからである。海洋底の排水殻中の過大圧力は大陸の排水殻の高圧によって永遠に支えられており、海洋底の驚くべき活発さは排水殻の存在の当然の結果である。そこでは圧力が下がっても絶えず元に戻り、様々な組成と濃度を持った沸騰した液状とガス状の溶液に満ちている。
 さて、火山の産物は、各種の化合物、ガス、物質、元素の総体であり、火山の化学作用には、ある種の天然の集合体、即ち加熱、圧縮、反応、混合などの様々な変化が起こる、まだ充分に解明されていない装置の複雑なシステムが存在している。そして排水殻の水が関与した火山灰の生産工程の説明として、圧力二〇〇〇~四〇〇〇気圧に達している火道中から、火道沿いに上昇した蒸気は膨張して冷却し、圧力が低下する為、各種の化合物や鉱物の溶解度が著しく低下して、溶液中に含まれていた物質が分離して濃厚な液状物質が生ずる。
 恐らく、これは溶液が上昇する火道の口またはその周囲に集まり、蒸気やガスの流れがそれらを強い圧力で上へ押し上げ、これらの物質は途中で細かく砕かれ、火山灰の雲や微細な溶岩粒の集合体に変化する。また火山噴出物の化学組成と海水中の元素の組み合わせとが類似しているのは、正に火山活動と海水の塩分組成の形成に排水殻が一役かったことを証明している。というのは海水の塩分組成を始め、海洋底のリン鉱層や鉄マンガン鉱層の化学組成は多くの点で排水殻の活動に規制されているに違いないからである。
 ここで溶岩を五〇〇~六〇〇℃、ときには一〇〇〇℃以上の高温に保っているエネルギー源が何であるかは非常に重要な問題であるとして、残念ながら排水殻の溶液はそのように高温ではない。しかし火道内には溶液とともに、硫化水素、亜硫酸ガス、メタン、水素、塩素、酸素などの多くのガスが含まれており、そこでは熱を発生する激しい化学反応が起こっている。例えば金属酸化物は水素やメタンと容易に反応する。これらの反応は鉄を還元し、降ったばかりの火山灰は、二価の鉄が空気中の酸素によって三価に変わるため急速に黒っぽい色や褐色になるのが普通である。
 もう一つの熱源として、堆積岩に絶えず集積し、固形物質の循環に加わってマントル内へと入っていく分散した有機物質が、高温・高圧の下で変質形成する各種の化石燃料がある。石油やガスのような移動し易い燃料は排水殻の貯溜層の中に集積することがあり、その発熱量(堆積岩一立方キロメートル中にある約二〇〇〇万トンの有機物質)は通常の火山噴火のエネルギーの一〇~一〇〇倍に相当している。
 また火山噴火の際に生ずる他の塩素、臭素、フッ素などの派生ガスの起原について、岩石が普通に溶融する際にはこれらのガスは発生せず、排水殻中でシリカが他の化合物の塩と反応して珪酸塩を作って酸を分離し、この酸が蒸気と一緒に地表面に噴出する。》

 以上のように、当該地球物理学者は、火山活動について諸説を紹介しながら、その矛盾や限界を論破するのであるが、噴火の原理はなおも未知のままである。火山噴火のエネルギーが様々なガスの発熱反応であるとしても、それは飽くまでもエネルギー量であり、瞬時に大爆発を発生させるエネルギー源や原理については何も示唆していない。排水殻内の溶液は、溶岩ほどの高温ではないと言うものの、花崗岩中に多く濃集され、地殻内部に多量に存在するといわれる各種の放射性物質は一体どこに行ってしまったのだろうか? そのまま地殻内部に不活発の状態であるとは思われず、全てはこの豊富な放射性物質に多くの謎が隠されているように思われるのである。

http://www4.ocn.ne.jp/~mukzke98/kazanbainokosatu.html

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